250.頑張るお役人さま
トシュテンの報告を聞いた伯父の顔は、普段のそれからは想像もつかぬほど大きく歪んだものであった。
「ば、馬鹿な! そんな馬鹿なことがあるものか!」
「……一つ、どうしても確認せねばならぬことがあります。コレは、伯のご指示ではないのですな」
「貴様! 伯がそのようなことをっ! …………こと、を……」
勢いで怒鳴りつけた後、自信なさげに語尾が弱まっていく。
頬がひくりと動くトシュテン。
「伯父上?」
「い、いやありえん。少なくとも私の耳には入っていない。うむ、うむ、ありえん。そうだ、伯も時間が欲しいとおっしゃっていた。その猶予でやることが他領の略奪だなどと、そのような愚かな方では断じてない」
では、と疑わし気な目で伯父を見ながらトシュテン。
「兵を出します。よろしいですか?」
「無論だ。一刻も早くその賊をこちらの手で処分せよ。誰が後ろについているかまではわからなかったのだな」
「はい。襲撃を受けた側の目撃証言のみですから。とはいえ、規模を考えますに、誰かしらが後ろについていると考えるのが妥当かと」
「誰がついていようと、賊共を根絶やしにした事で文句を言ってくる者はおるまい。……いや、待て。既に二回の襲撃を受けていると言ったな。ならば、メシュヴィツ家か」
「メシュヴィツ家、ですか? あそこはここで動くほど愚かでもなければ、大きな決断をできる家でもなかったかと……」
「ああ、その通りだ。だが、禁輸品の貯蔵量が妙に多かった。運の良い家だと思っていたのだが、経済制裁後に入手したというのであれば、あの運の良さも手際の良さも理解はできる」
「ともかく、そちらはお任せします」
「うむ、お主には是が非でも賊を退治してもらわねばならん。間違っても、他領に奪われるなぞあってはならぬ。そして、必要ならば全ての証拠を抹消せよ」
「心得ております。……メシュヴィツ家が本当に絡んでいた場合でも、最悪身柄ではなく死体の確保になりますが」
「構わん。ただの賊であってくれればいいのだが、こういう時、大抵予想というものは悪い方悪い方に当たるものよ」
トシュテンは礼をしてすぐさま屋敷を飛び出していく。
残された伯父は、次の動きをしようと足を踏み出したところで、一瞬眩暈に襲われ危うく倒れそうになってしまう。
「……くっ。ああ、やはり、私も動揺、しているのだな」
それとわかった伯父は深呼吸を三つした後、今度こそ力強く足を踏み出す。
アクセルソン伯にこれを話し、断固たる態度を示してもらうのと同時に、メシュヴィツ家に対し疑惑を追及し責任を取らせるためには、伯父が力強くこれを責めたてねばならないのだ。
トシュテンが集めた兵士、総数四十弱。
敵は百を超えるとトシュテンが手に入れた情報にはあった。だが、トシュテンはだからと足を止めるつもりは一切ない。
目標である土地に入る前に、斥候として放っていた者の内の一騎が戻ってきた。
「報告します。敵数、およそ百五十」
四倍近い兵差がある。集まった兵たちは皆、給金無しでもトシュテンに従うほどの筋金入りであるが、それでも自殺を望んでいるわけではない。
ふむ、と顎をなでるトシュテンに、報告者は続ける。
「オルヘスタル家別宅に賊の主要人員が二十ほど集まっております。腕利き剣士が集まっているそうですが、さて、何処まで利くものか」
「貴族は?」
「それと思しき方が別宅にいる、と噂されておりますが、確証までは」
貴族の別宅、別荘は、普段親交のある間柄ならば他家に貸し出しても不思議ではない。
だが、貴族の別宅を貴族以外に貸し出すというのはあまり聞かない話だ。
「連中も馬鹿ではあるまい。こちらが探りを入れているのに気付けば用心もしよう」
そこでぎらりとトシュテンの目が光る。
「だからこそ、小休止の後オルヘスタル別宅へ正面より強行突入する。残る者共が集まりきる前に勝負を決めるぞ」
兵たち全員から、応、との頼もしき声が聞こえた。
トシュテンたちが目標の土地に入り街道を進む間に、ぎょっとした顔の農民たちと何度かすれ違ったが、殺気立った兵士たちなんてものに声を掛けるような無謀な者はおらず。
オルヘスタル家別宅は、都市の中でも中心部に位置しており、ここに辿り着くには街を通り抜けなければならない。
となれば、賊たちもこれに気付かぬはずがない。だが、相手は明らかな正規兵だ。これの足を止める権限なぞ賊たちにはないし、この領地の貴族の庇護を受けていたとしても、貴族からの指示でもなくば即座にこれを咎めるなんて真似もできるわけがない。
街中でこれを見つけた賊たちが対応に戸惑っている間に、トシュテンたちはオルヘスタル家別宅の前へ。
「行けい!」
トシュテンの言葉に、兵士たちは一斉に屋敷へと突入していく。
詰問するだのといった生ぬるい手は一切行なわず、使用人だろうと何だろうと、屋敷にいた者は片っ端から斬り殺していく。
相手は正規兵にしか見えない。そんな兵に何事かと問う使用人、侍女たちへの返答は全て剣にて行なわれ、咄嗟に剣を手に立ち向かった者もいたが、こちらも数人がかりであっという間になます斬りだ。
屋敷の庭を抜け、兵たちが建物の中に突入した頃、トシュテンは建物入口から周囲の状況を窺っている。
正門にはまだ敵の援軍の姿は見えず。
「遅いわ、愚物共めが」
そう呟いたトシュテンは不意の怒声に振り向く。
どうやら敷地内に別の建物があったようで、そこにいた敵たちが屋敷の入り口に向かって突っ込んできていた。
数は六人。笑わせるな、とトシュテンはこれらを迎え撃つべく、部下たちと共に迎撃の備えをするが、次の瞬間、敵が六人から八人に増えた。
一塊となっている六人の両脇に一人ずつ。
だが、この二人は、すぐ傍の賊を走りながら斬り倒してしまう。
二人、四人、六人。
姿を現してから六人を斬り殺すまで、五歩も走ってはいない。それだけの間に、新たに現れた二人は六人を斬り倒してしまったのだ。
そしてその剣を見たトシュテンの全身が硬直する。
『な、なんだ、と……』
剣は見えた。だが、剣の軌道が見えなかった。
いや、見えはしていたのだが、トシュテンにも全く理解出来ぬ挙動を剣がしていたせいで、見えたが見えない、なんてことになってしまっていた。
トシュテンの全身から汗が噴き出す。
『い、いかん。アレは、アレら、は、絶対にイカン』
咄嗟に、トシュテンは声を張り上げた。
「そちらの方々! 私はアクセルソン伯配下の騎士トシュテン・クロンヘイムと申します! お二方は如何なる所以あって彼奴らを狙っておられるのでしょうか!」
十分な敬意と共に会話を求められれば、戦場只中にあろうと話ぐらいは聞いてやるのが凪と秋穂である。
そう、この襲撃者は金色の凪と黒髪の秋穂であった。
凪が返す。
「あー、こっちの所属はー、なんだろ、まあギュルディ王の味方で、凪と秋穂よ。隣で賊を働いた馬鹿をぶっ殺しにきたんだけど、アンタたちも?」
「如何にも! されどここはアクセルソン伯領なれば! 賊の首級は我らにお譲りいただきたく!」
凪は、どうする、といった顔で隣の秋穂を見る。こういうとぼけた反応をした段階で既に、凪はコイツらに首級ぐらいは譲ってもいいと考えているのが秋穂にもわかった。
秋穂は肩をすくめ、手を前に出す。どうぞ、という意味だ。
「りょーかいしたわー。ただ、敵さん援軍あるから急いだ方がいいわよー」
「おお! おわかりいただけたか! かたじけない! では!」
そう言うとトシュテンも屋敷の中へと駆けこんでいった。
『急ぎ邸内の捜索を進め、貴族がいた痕跡全てを消してしまわなければ』
なんてことを考えていたトシュテンだ。もっとも涼太による遠目遠耳の術により、この邸内に貴族であるギデオン・メシュヴィツがいることは二人に知れているのだが。
トシュテンの部下は非常に優秀であり、邸内の捜索を確実にこなしながらも逃げ道を塞いでおり、結局邸内にいた全ての人間を殺し尽くすことに成功する。
もちろん、その中にギデオン・メシュヴィツも含まれている。
「無礼者! この私を誰だと……」
と叫んだところでギデオンはさっくりと斬られていた。
或いはギデオンはギュルディ王による懐柔を受け、王に利する行動を、と考えてのこの行動であったかもしれないが、どの道、これはここにはいなかったことにすれば、賊はあくまで賊でしかない、という話になる。
なのでギデオンの顔は特に念入りに斬り潰した上で、ようやくトシュテンは一息つけた。
そこで、階下で敵援軍を待ちかまえる仕事を任せていた兵の一人が走ってきた。
「トシュテン様、その、ご報告すべきことがあったのですが、何と申しますか、報告すべきことは終わってしまったというか、また新たに報告すべきことが生じましたといおうか……」
何とも要領を得ないことを言う兵は、ともかく、窓から外を見てほしい、と言う。
こんな無能な兵ではなかったはずなのだが、と首を傾げながらトシュテンは言われるがままに、屋敷入口側の窓から外を見る。
「っ!?」
そこには、恐るべき数の賊が遺体になって転がっていたのだ。
既に戦闘は終わっている。
恐らくは敵の援軍だろう。百以上はいたはずの彼らは、一人残らず庭中に撒き散らされている。
そして、これを為したと思しき二人だ。名前を聞いて少ししてから、黒髪の秋穂と金色の凪の名に思い至ったトシュテンの想像していたより遥かに恐ろしい怪物の片割れ、金色の凪が、笑いながら手を振ってきた。
「こっちは終わったわよー、そっちはどう?」
いや、終わったわよ、ではないだろう、そんな綺麗に掃除しましたみたいな顔でそこら中に臓物ぶちまけておきながらその神々しさすら感じられるほどの美しい笑顔はなんだ、と内心で文句を垂れきった後で、トシュテンは返事をした。
「こちらも終わりました。きょ、協力感謝いたします」
ほんのちょっとだけ言葉が上ずってしまったのも無理からぬことであろうて。
トシュテンは、めちゃくちゃ恐ろしくはあるが、この凪と秋穂がどういった意図があってここまで乗り込んできたのかを改めて確認すると共に、今後どう動くつもりなのかを確認しなければならない。
なので心底嫌だが、後片付けは部下たちに任せ、自身は役に立つとは到底思えないが護衛を二人引き連れ、屋敷の個室を使って話し合いの場を設けた。
そこに、遠くから監視していた涼太が合流し、合計六人での話し合いとなったわけだ。
そして開口一番楠木涼太くんはこうのたもーた。
「ああ、そちら側にも色々言いたいことはあるんだろうが、こちらは既に、この屋敷にギデオン・メシュヴィツがいて、コレが襲撃を指揮していたことは掴んでるんだ」
トシュテン、開幕先制右ストレートに大きく表情を歪めかけたがこれを強固な意志力にて堪える。
だが、基本善人な涼太は彼を追い詰めるつもりもあまりない。
「もちろん、俺たちが動くより先にそちらがギデオン退治に動いていたことも理解している。本当に僅かな差だったけど、俺たちが襲撃する前にそちらが屋敷に突入していたんだ。これは、お互いの齟齬を無くすためにもとても重要な事実だと思っている」
その上で、と涼太は付け加える。
「俺たち、別にギュルディ王の指示で動いているってわけじゃないんだ。別件で来た途上で盗賊の件を聞いたって話で。無理に火種を作ろうだなんて考えてはいない。というか、そっちではギュルディ王が仕掛けた策略だとかそーいう話、聞いているのか?」
あまりにあけっぴろげにすぎる涼太の言葉に、トシュテンは内心呆気にとられつつも無難な回答で時間を稼ぐ。
「こちらではそういった話は聞いておりませんが、そのような動きがあるので?」
「いいや。そもそも、ギュルディ王が本気で武力行使をするつもりなら、今更火種を必要とするとも思えない。言っちゃなんだが、アンタん所を攻める理由はもう十分すぎるほどあるのに、今すぐ攻めるなんて話にはなってないだろ」
トシュテンは無言。
「ギデオン・メシュヴィツがリネスタード代官経験者だからと、変な邪推で誤魔化すような真似だけはしないでほしい。その上で、もし黒幕がいるんならそいつからもケジメをつけてくれればこちらから言うことは何もないよ」
トシュテンに課せられた任務を考えれば、条件としては難しくはない。だが、確認しなければならないこともある。
「けじめ、とは?」
涼太が後ろを振り返り凪と秋穂を見る。
「首」
「誰の、を言わないとわかんないよ」
「ギデオンに指示を出した奴の首。他はいらない」
すぐに涼太が口を挟む。
「アレが自分だけで考えてやった可能性もあるぞ」
当初はアクセルソン伯の指示だとばかり考えていた涼太だが、襲撃直前に確認したところ、どうにもギデオンの言動に違和感があったのだ。
「そうなの?」
「半々、かな。そこの騎士サマはそういうことで話をまとめたいとは思っているだろうが」
「んー、なんか話がややこしくなってきたから、涼太に任せたっ」
「はいはい。んじゃ、こっちの希望はそういうことだ。不必要に血が流れることは好まないがもしいるというのなら、商隊の人間を殺せ、と指示を出した奴には死んでもらう。そっちがそうしてくれるってんならこちらからすることは何もない。だが、出来ないのなら、やらないのなら、俺たちがやる」
トシュテンが少し間を空けたのは、そこから言葉が続くかと思ったからだが、涼太の言葉はこれで終わりだ。
今度こそ戸惑いの表情を隠せぬトシュテンは言う。
「……まるで、武侠の者のような言い回しをなされますな」
そんなトシュテンの問いかけに嬉しそうに涼太が答える。
「そう、それだ。伝わってくれているようで嬉しいよ」
「では、真実そちらの要求は言葉通りである、と?」
「ああ、それ以上でもそれ以下でもない。……脅すつもりはないが、現状を正確に認識してほしいので敢えて言うぞ。教会とも、こんな感じの流れで揉めたんだ。ケジメに司教の首を取ったら向こうも引っ込みがつかなくなったみたいでな、そのまま最後まで行っちまったんだ」
まだトシュテンにも戸惑いはあるが、伝え聞く凪と秋穂の所業を考えるに、この言葉は決して伝聞内容から外れるものではない。
そして片鱗のみとはいえその剣を見てしまったトシュテンとしては、伝聞を聞いた時に考えた自身の判断、つまり何処までが誇張で何処からが真実だ、といった分け方が、著しく誤っていたと認めざるを得ない。
『あれはもう伝聞というか、伝説とか伝承とかその類であろーがなー』
涼太の要求に対し、トシュテンは自身の権限の範囲での協力を約束するが、それ以上のものに関しては上の判断を仰ぐ必要があるので、時間が欲しいと率直に告げると、涼太はこれを了承するが、同時に少し意外そうな顔をする。
「自信、ありそうだね」
「……これは、言ってしまってもいいでしょう。メシュヴィツ家にこんな大それたことをする度胸はありません。そして、リネスタードに行って少しはマシになったと言われていたギデオンですが、やはり馬鹿のままだったと言われれば納得もできるという話で」
ぼそりと付け加える涼太。
「リネスタードでも随分とヒドかったって話しか聞いてないけどな」
「……こちらではそこそこ頑張っている、という評判だったんですけどね……」
気を取り直すトシュテン。
「それで、アクセルソン伯領にご用事とは?」
「海の魚と貝。こうして揉め事になっちゃった以上、自分で獲るぐらいしないと安心して食えそーにないけど」
そこでもまた少し間を置くトシュテン。そしてそれ以上の言葉はない。
「……それだけ、ですか?」
「そう。俺たちもうずっと戦ってばっかだったから、ここらで休暇を取ろうとな。まさか経済制裁真っ只中だとは思いもしなかったけどさっ。海、今行くのマズイかな」
「海沿いの別荘を借り上げてくださるというのであれば、喜んで差し出す者も多数おりましょう。その、お金、払って、くれますよね?」
「そこを不安げにされるとすげぇ傷つくからやめてくれ。当然払うよ。こう見えて、俺たち相当金持ちなんだからな」
では是非お勧めの物件が、と答えたところで思い出したように問うトシュテン。
「ギデオンの死体は必要ですか? 何処かに送るというのであれば手配いたしますが」
「一応確認だけさせてもらえれば、後は好きにしてくれて構わないよ」
「……顔、潰れてしまっているのですが」
「大丈夫、見ればわかる。その手はベルガメント侯爵が逃げるのに使ったらしいからね、気にはしていたんだ」
「恨みとかではないのですね」
「腹が立ったというのはあったけど、恨みってほどでもない。やるせないってのが一番かな。馬鹿に責任を問うたところで、首になるぐらいでしか責任取れないからこその馬鹿なんだろうしね。だからと親族の首寄越せってのは、俺としては八つ当たりに思えてならないんだ」
またも驚いた顔になるトシュテン。
管理者責任を追及しないということは、とかげの尻尾切りを許容するという意味に他ならない。
涼太としては、これもまたケースバイケースだと考えているだけで、今回は追及があまり適切ではないと思っただけだ。
様々な悪事を遠目遠耳の魔術で盗み見てきた涼太だが、今回盗み見たギデオンの様子と、今こうして話しているトシュテンを見て、これはギデオンの独断である可能性が高いと考えるようになっていた。
『これでこっちを甘く見るようなら問題だけど、どーも、そんな単純な対応してくる相手ではないっぽいな』
トシュテンは涼太たちに対し、丁重な態度を崩さない。
涼太にとって話しやすい相手であるよう微調整をしながらではあるが、決して侮っている、見くびっている、といった風に取られてしまうような態度は取らないようにしている。
こういった対応は、ハーニンゲでの対応よりも、リネスタードでのソレに近い。
『ああ、そうか、少なくともこの人は、凪と秋穂がやらかしてきたことが真実であると考えてるんだ。だから、絶対にこの二人の暴力の矛先にならないようにしつつ、動向を監視しようって腹か』
涼太の予想通り、トシュテンは沿岸部への案内を買って出てきた。
賊とギデオンの後処理よりも、涼太たちの方が重要な問題であると考えたのだろう。正しい判断だ。
だが、それはつまり、トシュテンはこのまま涼太たちの移動に同行するということでもある。
『……俺たちとしてもあまり嬉しくはないが、それ以上にこの人がしんどいんじゃないかなーこれ』
猛獣の檻の中どころではない。涼太は思わず彼に問いかけてしまった。
「本当にそれでいいのか? その、距離を空けて、離れた場所から監視してる、ってのでも、アンタがそうする分には文句は言わないぞ」
びくん、と一瞬身体が揺れた後で、トシュテンは顔色一つ変えずに答える。
「ご迷惑でないのでしたら、どうぞお構いなく」
「そ、そっか」
やっぱり役人というのは、エライもんだなあ、としみじみ思う涼太であった。
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