全道大会
陸上の全道大会がはじまった。応援をする裕一はヘタレだった
高体連の全道大会は、各市持ち回りになってる。
例えば、去年が旭川なら今年は札幌、来年は函館 というように、
数年先まで、開催地と当番校が決まっている。
(もちろん、種目別で)
今年の全道大会は、当番高校が桜花高校で、開催地は釧路だ。
やった。陸上部は全員で行く事になった。
山崎は、例によって留守番なんだけどね
1日目は、1回戦と準準決勝、二日目が準決勝と決勝。
二日目も想定して、いつもの宿をとったそうだ。験かつぎだ。
全道大会に進んだ、リレー(男子100m×4)、林部長200m、
女子、朝岡先輩200m 坂本副部長800m
大会当日は、風もなく、天気はまあまあで、決して暑くはないので、陸上日和。
競技が始まり、エントリーの4種とも1回戦を突破。
選手は緊張もせず余裕の表情だった。
昼は、うちのばあちゃんの”おにぎらず”だ。
サンドイッチのようにして、ノリでご飯をはさむやり方だ。
これだと、チキンライスもできるし、中の具もいろんなものが入れられる。
部員の皆は、驚いてた。中身の具が確かめられるのは、ありがたい とか・・
大好評のうちに、あっという間になくなった。
フと朝岡さんと、林部長が食欲のないのに気がついた。
朝岡さんに聞くと、何か緊張してるようだ。今度の大会は顧問に反論してまで
頑張ったから思いいれが強い分、プレッシャーもあるのだろう。
僕は、カロリーを補給するのに、ゼリーをもってきた。とバナナと。
バナナは、高カロリーで吸収もよく、マラソンの補給場所にも置かれてる。
林部長は、考えあっての事だった。
あと、2種目あるので、一回目は若干軽く、2回目は、バナナ1本くらい分の補給
ここらへんは、選手の経験と考え方なんだろうな。
僕は、まだアドバイスできるほど、陸上を知らないのが残念。
午後の競技では、朝岡先輩は準準決勝で敗退。坂本副部長はなんとか準決勝に残る
林部長の200mは、あれ、いつもの部長らしくないタイムで敗退。
僕が、お疲れ様でした。ってタオルを何気なく持っていくと、
部長の目はギラギラしてた。
「ヤマ、俺は200は、捨てた。リレーにかける。3年間、この4人で走って
きた競技だから、なんとか決勝まで行きたい。そのためには、明日は、リレー
に全力をかける」
部長の決意は、他のリレー選手にも伝わっている。以心伝心。
部長が200を捨てるであろうことも予想できてたのかも。
いよいよ、二日目。
800mの坂本副部長は、準決勝で敗退。あの冷静な副部長が目をウルウルさせてる。
朝岡先輩が号泣して副部長に抱きついた。
なきたいのは、坂本副部長のはずなのに、朝岡先輩を慰めてる。
「ほら、気をしっかりもって。まだ競技があるのよ。応援、頑張らないと。
今度、私と一緒にジョギングしましょう。長距離もおもしろいのよ。ね」
そう。マラソンなどは、エントリーそのものが難しい大会もある
いよいよ、リレーの準決勝が始まった。
みんなドキドキしながらも、見守ってる。
僕はといえば、ヘタレ根性丸出しで、応援したいものほど、結果が怖くて
見る事ができないでいる。キャンプで下を向いて、心の中で必死に祈った
でも、残念ながら、決勝にはいけなかった。
リレーの4人が帰ってきた。
皆に肩を叩かれながら、激賞されている。全道大会の準決勝までいくのだから
僕らにしたら、すごい事なのだ。
「俺ら4人、3年間、頑張ったよな。悔いないよな」
目をうるませながら言い合う4人。
この4人で1人の公式の競技も、これで終わり。
思うえば、ここの高校生活って、卒業してしまうと、お互い離れ離れになる。
改めて、そう気がついた僕は、淋しいような気分と、もっとこの生活を大事に
しないと、と思ったのだった。
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帰ってきても、何か胸が一杯だった。
僕は、ばあちゃんとじいちゃんに大会の出来事を話し、
メールでなくて電話で山崎の大会の様子を伝えるほうを、優先した
結局、練習する前に僕は居間でイネムリを始めたので、祖母に寝室に追いやられた。
夢の中で、ベンちゃんがベンちゃんにリレーのバトンを渡してる。
起きて、大笑いしたけど、夢の中では必死に僕は応援してた




