東京でのレッスン・西師匠との対話
7月の西師匠のレッスンを受けに行った。
当たり前だけど、東京は暑い。ヒートアイランドだっけ?
建物の中が涼しい分、外に出ると、クラっとくる。
東京の家に土曜日に戻ると、今度は、誰もいなかった。
皆、仕事で出てるのだろうけど、僕はコンビニで夕食と朝食を買い、
それ以外は、ピアノ練習に時間を使った。
都築さんが、音楽室と僕の部屋だけは、適温にクーラーを設定してくれてた。
今回は、総仕上げの曲が2曲もあって、練習時間も足りない自覚もある。
正直、あせりまくりだ。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
レッスンは、ショパンのエチュードから始まった。
10-5の仕上げと、25-5だ。
黒鍵のほうは、八重子先生も僕も仕上げを忘れてた。
僕は、黒鍵のような明るい楽しい曲が好きなので、時間があるときは、
弾いてたけど・・
案の定、何度もやり直しさせられて、やっとOKがでた。
「裕一君、この曲、さらい忘れたでしょ?八重子も忘れたんだな。
謝肉祭を弾くうちに忘れたかな?
八重子先生がOKを出しても、僕に最後は聞かせる事。いいね」
僕は、自分のうかつさを反省したけど、確かに「謝肉祭」やソナチネ
で、時間がなかったのは事実だ。
エチュード、25-5は、次にもう一度仕上げという事になった。
僕は、”悪い出来じゃないと思うんですけど・・”と言ってみると、
「うん、悪くはないよ。”感動した”ってほどじゃないけどね。
指の拡張は、あまり根を詰めずに地道に練習すること。
でないと、シューマンみたいに、指の故障のもとになるしね」
ベートーヴェンノピアノソナタソナタ18番は、
1楽章は全般的にひっかかった。僕の音がpで弱すぎるって指摘だ。
でも、前にやったソナタでは、pってこのくらいだった。
って思ったのが顔に出てたのだろう。
「あのね。曲の強弱は少しは幅があるんだ。この曲は
明るく元気な曲だから、pでも少し大きめの音でも
曲の感じがでていい。その分、fも大きな音になるけどね」
「でも、前巻の曲の時に、pでもっと落として、fは、今以上でした」
「む・・あの曲の事だ。よくわかるよ。そのさじ加減が、演奏者の解釈
って範囲になる。裕一は、頭と定規で考えようとしてるけど、それじゃ、
メリハリもなくなる」
師匠とのレッスンは、今日は座礁しっぱなしだ。
続く、2,3楽章は、なんとかクリア。問題の高速の3楽章だ。
「いつもなら、”弾けてないのに速く弾くな”と注意する曲だけど、
裕一君、もっとテンポアップしよう。
でないと、この曲のいいところが出ないから」
だよね・・・これはもっと練習か。
結局、ソナタは18番の3楽章の仕上げと、22番の譜読みが課題。
エチュードは、10-5の仕上げと、10-8の譜読み。
エチュードは、だんだん難しくなってきてる。
OKのでた曲でも、何度も復習しないと。
最後は、シューマンの謝肉祭の中の前口上と次の曲、道化を
師匠の前で弾いた。
「裕一君は、シューマンは好きかい?」
「好き嫌いというより、まだよくわからないです。楽譜通りに弾いても
上手くいかないのは、わかりました。」
「シューマンは、はまるとはまるんだけど、今はまだ難しいかもしれない。
プロも手を焼く曲がある反面、子供用の易しい曲は素晴らしいものがある」
僕は、そういえば、若菜ちゃんが音楽室にいたとき、
「ユーゲントアルバム」から」、曲を弾いたっけ。
今度、美里ちゃんに聞かせてあげよう。
「師匠、短いけど、この道化って曲、不思議だなと思ったんです。
ちっとも道化らしくないし。不思議な響きだし」
それを話だすと、「謝肉祭」全般の事からヨーロッパでの道化とか
長くなるので、大学合格してからかな。
との先生の言葉。
「そうそう、僕から、”くじ引き自由曲”をあげよう。
これらの曲の中から、どれか一つを選んで」
みようと思えば、曲の題名を見ることが出来たけど、見ないで
積み重なった楽譜の中から一つ取り出す。
ガーシュインの「サマータイム」だった。歌曲をピアノ用に編曲したもの。
横田君なら、喜びそうだけど
時間オーバーしたので、僕は暑い中、ダッシュで空港に向かい、
家に帰った。
ー・-・-・-・-・--・-・-・--・-・-・--・-・-・-
高校も夏休みになったけど、僕らはそれぞれ忙しかった。
脇坂と竹中さんは、夏期講習合宿にでかけてた。
山崎は家にはいたけど、あいかわらず英語の勉強と帳簿とのにらめっこ。
あれから、もう一度、健吾君が遊びにきて、夕方、バーベキューパーティ
になった。ここの地方にしては、珍しく暑い日の夕方。
健吾君は、たいぶ打ち解けて、山崎の強面にも慣れ、いろいろ話してくれた。
・両親は離婚して、今の父親とは血がつながってないこと。
・祖父母は本州に住んでること
・伯母が札幌に居て、遊びに行きたいと思ってる事。
・3歳になる弟が、かわいい顔をしてるけど、憎たらしい事
この年頃だから言えるだろうな。中学生になると、僕もそうだけど
内向的になったりして、難しいのかも。
花火で楽しむ健吾と美里ちゃんをみながら、この家で暮らせるのも
後、半年ちょっとと思うと、寂しいきがする。
東京で、みんな一緒に暮らせないかな。
まあ、それは無理な話なんだけどね




