表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/210

東京でのレッスン・西師匠との対話

7月の西師匠のレッスンを受けに行った。

当たり前だけど、東京は暑い。ヒートアイランドだっけ?

建物の中が涼しい分、外に出ると、クラっとくる。


東京の家に土曜日に戻ると、今度は、誰もいなかった。

皆、仕事で出てるのだろうけど、僕はコンビニで夕食と朝食を買い、

それ以外は、ピアノ練習に時間を使った。

都築さんが、音楽室と僕の部屋だけは、適温にクーラーを設定してくれてた。


今回は、総仕上げの曲が2曲もあって、練習時間も足りない自覚もある。

正直、あせりまくりだ。

ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・


レッスンは、ショパンのエチュードから始まった。

10-5の仕上げと、25-5だ。

黒鍵のほうは、八重子先生も僕も仕上げを忘れてた。

僕は、黒鍵のような明るい楽しい曲が好きなので、時間があるときは、

弾いてたけど・・

案の定、何度もやり直しさせられて、やっとOKがでた。


「裕一君、この曲、さらい忘れたでしょ?八重子も忘れたんだな。

謝肉祭を弾くうちに忘れたかな?

八重子先生がOKを出しても、僕に最後は聞かせる事。いいね」


僕は、自分のうかつさを反省したけど、確かに「謝肉祭」やソナチネ

で、時間がなかったのは事実だ。


エチュード、25-5は、次にもう一度仕上げという事になった。

僕は、”悪い出来じゃないと思うんですけど・・”と言ってみると、


「うん、悪くはないよ。”感動した”ってほどじゃないけどね。

指の拡張は、あまり根を詰めずに地道に練習すること。

でないと、シューマンみたいに、指の故障のもとになるしね」


ベートーヴェンノピアノソナタソナタ18番は、

1楽章は全般的にひっかかった。僕の音がpで弱すぎるって指摘だ。

でも、前にやったソナタでは、pってこのくらいだった。

って思ったのが顔に出てたのだろう。


「あのね。曲の強弱は少しは幅があるんだ。この曲は

明るく元気な曲だから、pでも少し大きめの音でも

曲の感じがでていい。その分、fも大きな音になるけどね」


「でも、前巻の曲の時に、pでもっと落として、fは、今以上でした」

「む・・あの曲の事だ。よくわかるよ。そのさじ加減が、演奏者の解釈

って範囲になる。裕一は、頭と定規で考えようとしてるけど、それじゃ、

メリハリもなくなる」


師匠とのレッスンは、今日は座礁しっぱなしだ。

続く、2,3楽章は、なんとかクリア。問題の高速の3楽章だ。

「いつもなら、”弾けてないのに速く弾くな”と注意する曲だけど、

裕一君、もっとテンポアップしよう。

でないと、この曲のいいところが出ないから」


だよね・・・これはもっと練習か。


結局、ソナタは18番の3楽章の仕上げと、22番の譜読みが課題。

エチュードは、10-5の仕上げと、10-8の譜読み。

エチュードは、だんだん難しくなってきてる。

OKのでた曲でも、何度も復習しないと。


最後は、シューマンの謝肉祭の中の前口上と次の曲、道化を

師匠の前で弾いた。

「裕一君は、シューマンは好きかい?」

「好き嫌いというより、まだよくわからないです。楽譜通りに弾いても

上手くいかないのは、わかりました。」

「シューマンは、はまるとはまるんだけど、今はまだ難しいかもしれない。

プロも手を焼く曲がある反面、子供用の易しい曲は素晴らしいものがある」


僕は、そういえば、若菜ちゃんが音楽室にいたとき、

「ユーゲントアルバム」から」、曲を弾いたっけ。

今度、美里ちゃんに聞かせてあげよう。

「師匠、短いけど、この道化って曲、不思議だなと思ったんです。

ちっとも道化らしくないし。不思議な響きだし」


それを話だすと、「謝肉祭」全般の事からヨーロッパでの道化とか

長くなるので、大学合格してからかな。

との先生の言葉。


「そうそう、僕から、”くじ引き自由曲”をあげよう。

これらの曲の中から、どれか一つを選んで」

みようと思えば、曲の題名を見ることが出来たけど、見ないで

積み重なった楽譜の中から一つ取り出す。

ガーシュインの「サマータイム」だった。歌曲をピアノ用に編曲したもの。

横田君なら、喜びそうだけど


時間オーバーしたので、僕は暑い中、ダッシュで空港に向かい、

家に帰った。

ー・-・-・-・-・--・-・-・--・-・-・--・-・-・-


高校も夏休みになったけど、僕らはそれぞれ忙しかった。

脇坂と竹中さんは、夏期講習合宿にでかけてた。

山崎は家にはいたけど、あいかわらず英語の勉強と帳簿とのにらめっこ。


あれから、もう一度、健吾君が遊びにきて、夕方、バーベキューパーティ

になった。ここの地方にしては、珍しく暑い日の夕方。

健吾君は、たいぶ打ち解けて、山崎の強面にも慣れ、いろいろ話してくれた。


・両親は離婚して、今の父親とは血がつながってないこと。

・祖父母は本州に住んでること

・伯母が札幌に居て、遊びに行きたいと思ってる事。

・3歳になる弟が、かわいい顔をしてるけど、憎たらしい事


この年頃だから言えるだろうな。中学生になると、僕もそうだけど

内向的になったりして、難しいのかも。


花火で楽しむ健吾と美里ちゃんをみながら、この家で暮らせるのも

後、半年ちょっとと思うと、寂しいきがする。

東京で、みんな一緒に暮らせないかな。


まあ、それは無理な話なんだけどね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ