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長距離に於る転移魔法について

 

【主題】

 

 数ある魔法の中に転移魔法や転移陣またはゲートといったものがあります。皆様ご承知の通り、今いる場所から別のある場所へと一瞬で移動する魔法や魔法的手段です。勇者や物語の主人公、時空魔法の使い手などが使用する事が出来、多数の作品で目にします。

 この転移魔法について常々思う事があります。戦いの場や都市内だとか建物内などの短距離で使用するのと同様に、都市間や地方間また場合によって国家間などの相当な長距離でも一瞬(・・)で移動する事が可能な様に描かれていますが、その際の描写が間抜け過ぎる場合が大半で思わず失笑を堪えきれません!

 

 それが何かと言えば『時差』についてです。

 

 

【考察】

 

 『時差』。それは世界が球体であり加えて自転運動をしている時、自転1回転=1日とした場合にある1地点とその正反対(裏)側の地点とでは半日の時刻差が生じ、その地点間の随意地点では角距離に応じた時刻差が生じるとしたものであり、その時刻差の事を時差と呼びます。

 つまり(角距離が)長距離であればある程に時差は大きくなり、世界の大きさにもよりますが普通であれば徒歩で数週間から馬や馬車で十数日以上の経度方向への時間距離があれば、1-2時間程度の時差が発生しても可笑しくはありません。

 

 ここまで説明すればお解りになるかと思いますが、転移魔法しかも長距離の転移魔法を行った際に時差の描写をする作品は非常に少ないのです。転移魔法の条件としてよく描かれるのが、知っている場所・行った事のある場所しか転移出来ないというものです。この為、作品内での新しい場所への最初の移動は徒歩や馬車などで行われる事が大半ですが、その旅程総計に何日何週間かを要しているのにも拘わらず、後日転移する際には時差が全く考慮されません。本来であれば、ある国から他国等に転移した場合には「転移前:午後→転移後:夜」とか「転移前:夕方→転移後:昼」など、転移自体は一瞬でも時刻には変化があって然るべきなのにです。

 

 

【処方】

 

 転移魔法+時差の描写は、転移魔法が存在する作品でも本当に数少ないものでしか描かれていません。私が目にしたものでは2桁には届かないと思います。長距離転移の際に時差が発生しないというのは、その移動が南北緯度方向へのもの(=時差は生じない)に限らないのであれば、あとは作品の舞台世界が球ではなく水平の盆の様な形をしており、太陽がその周りを巡る天動説的な世界である事を意味しています。

 

 きっと、そういった作品世界では地盤の下には巨大亀に乗った3頭の象が居て世界を支えているのでしょうね(笑)!!

 

 

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