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秘密事

 シエラちゃんとシルフィーナさんが本物の悪魔だと知ってから数日が経ったが、シエラちゃんが解き放った魔力はかなり強くてコントロールが上手くいかないらしく、未だ自由に羽や尻尾を隠せていないでいた。

 ではどうやって学校生活を送っているのかと言えば、そこはシルフィーナさんの力を借りて羽や尻尾を隠している。しかしシエラちゃんの溢れ出る魔力を遮って羽や尻尾を隠すのはシルフィーナさんでも困難らしく、三時間に一回は認識阻害をかけ直してもらう必要がある。


「シルフィーナさん、お待たせしました」

「いえ、それではシエラ様、いつもの様に背中を向けて下さい」

「うん」


 そろそろ制限時間である三時間が経とうかという頃、俺は不思議研究会の部室に待機してもらっていたシルフィーナさんの所へシエラちゃんを連れて来た。

 シエラちゃんが学校の時はこうしてシルフィーナさんに来てもらっているわけだが、メイド姿のシルフィーナさんが校内をうろつくのは目立つので、こうして部室で待機をしてもらっている。


「いつもすみません、シルフィーナさん」

「いえ、シエラ様のお世話をするのは私の楽しみ――いえ、務めですから」


 シルフィーナさんの本音がダダ漏れしている事については、気付かない振りをしておくべきだろう。


「シエラちゃんが本物の悪魔だって事は、知られない方がいいと思いますからね」

「はい、それについてはわたくしも同感ですし、魔界でも人間界で正体を明かす事についてはかなり厳しい制限を設けていますからね」

「でもシエラちゃんは初対面の俺に悪魔だって事をあっさりと話したよね?」

「うん、だって悪魔って事を話しちゃいけないって聞いてなかったもん」

「そうなの?」

「うん」

「それについては魔界側の不手際なので、シエラ様のせいではありません。そしてその辺りの事については、私からシエラ様に説明をしております」


 ――そう言えばシルフィーナさんが来てからは、シエラちゃんも悪魔だって話を俺以外にはあまりしなくなった気がするな。


「まあ悪魔だって事が知れたら、色々と面倒な事になるかもしれませんからね。俺も出来る限り協力させてもらいますよ」

「助かります、早乙女様」

「いえ、俺もシエラちゃんがこっちに居られなくなったら嫌ですからね」

「それって、私にずっと居てほしいって事?」

「えっ!? う、うん、そうだね、ずっと居てほしいよ」


 そう言うとシルフィーナさんの力によって隠せる寸前までいっていた羽と尻尾が、またはっきりと姿を現してしまった。


「あっ……」

「……早乙女様、シエラ様が喜ぶのはメイドとして嬉しい事ですが、今は控えていただけると助かります」

「すみません」


 シルフィーナさんの手間を増やしてしまった事を反省しながら近くにある席に座ると、シエラちゃんが小さな笑顔を浮かべながら口を開いた。


「先生、ありがとう」

「どういたしまして」


 その微笑みを見ながらそう答えると、シエラちゃんは俺の大好きな満面の笑顔を見せてくれた。

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