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第185話 ダブル魔導王からのクライマックス

「ならば僕は、お前が守ろうとしている全世界を破壊する! 趣が無いななんて思って後回しにするんじゃなかった! この大陸ごと圧縮し、次なる魔力の星に変えてやる!」


 魔導王の全身が光り出す。

 こいつ、一つの大陸を浮かべて破壊できるくらいの魔法が使えるんだよな。

 そういう意味ではドラゴン級の化け物なのだ。


 俺と達人だけなら、魔導王はボコれてもこの魔法を止めるのは難しかったかも知れない。

 だが、今回はオクタゴンも来ているのだ。


『それは俺様の能力とかち合うなあ。俺様は全世界に領域を広げ、そいつを深く沈めるように動くぞ』


「な、なにぃーっ!?」


 魔導王が驚愕に叫ぶ。

 彼が放った凄まじい魔力は、なんだかヌメヌメした気持ち悪い領域とぶつかり合ったのである。

 そして、互いに相殺を始める。


 大陸はびくともしない。

 そもそも魔力が届いていないのだから当然だ。


『これは、俺様とお前の力のどちらかが強いかの勝負だな。もっとも、相殺され過ぎて残った力では、大陸をどうこうできないだろうが』


 ニヤニヤ笑うオクタゴン。

 こと、領域を使う力に関してはこいつが世界最強なのである。


 ヘルプ機能でこの様子を観察していた俺は、すぐにオクタゴンが魔導王の魔力を押し切ったのを確認した。

 残る領域が、大陸をちょっぴりだけ沈めた。


「あっ」


『あっ』


 俺とオクタゴンが同時に声を発する。


『済まんな兄弟。俺様はちょっと大陸を持ち上げねばならん。だが、大陸に降りかかる魔力は俺様がはねのけるぞ。任せろ。だが、俺様に頼りすぎると大陸全土がイースマスになり、人間どもが狂気に陥るからあまり俺様の力を使わせ過ぎるなよ』


「あまりにも諸刃の刃である。まあいいや。たのんだぞ兄弟」


 オクタゴンは外へ飛び出していった。

 あいつは縁の下の力持ちって感じだな。


 さて、魔導王をどうするかだが。

 既に、至近距離で達人が魔導王とやり合っている。


 俺たちが会話している間、場を繋いでくれたんだなあ。

 いや、何も考えていないのかも知れないが。


「マナビ! 達人と魔導王がやり合ってるところに、とても加勢できないよ!」


 ナルカが悲鳴をあげている。

 全く死の線が見えないそうだ。


 彼女の能力、本当の格上相手には通用しないのな。

 カオルンもフリズドライも、あの戦場に飛び込む隙を見つけられないでいる。


 バトルが高度過ぎるのだろう。


 高速で瞬間移動を繰り返しながら、至近距離の魔法に打撃を混ぜる魔導王。

 それに対して、前転と牽制の弱攻撃を交えて的確に対処していく達人。


 明らかに達人の動きが地味なのだが、間違いなく魔導王との近接戦闘では最適解だ。

 魔導王が瞬間移動で消えると、達人はあちこちをくるくる振り向きながらジャブを繰り返す。

 達人に死角なし!


 背後に現れた魔導王が魔法を放っても、すぐ振り返ってジャブで相殺してくる。


「ええい! なんだこいつ! なんだこいつ! 僕の魔法が全く通らない!! 僕がたかだか千年眠っている間に、どうしてこんな奴らが三人も出てきたんだ!!」


「そりゃあお前、千年前に魔導王打倒を誓った魔法使いユーリンってのがいてな」


「ユーリン……!? 僕を召喚したあの男か! まだ生きていたのか!? そして、僕を倒すために異世界召喚を続けてたとでも?」


「そのまさかだ。いやあ、虚仮の一念岩をも通すよな。それで、俺と達人がやって来た。オクタゴンだけじゃあんたを止めるのは無理だっただろうなー」


 魔導王、とにかく手数が多い。

 陰謀に、手下の召喚に、現地施設を使っての尖兵生産、自ら動いての暗殺、いざとなれば大陸ごと破壊。

 取ってくる戦法の数が多いのだ。


 領域展開特化のオクタゴンでは、とても対応しきれない。

 だが。

 これらは俺のヘルプ機能で事前にチェックし、対抗できた。


 アカネルがちょこちょこ対策本部に顔を出し、魔導王の動きを逐一連絡していたためである。

 そして、いざ魔導王が近場に現れても、達人がいれば対処できる。

 この精神的余裕よ。


「俺たち三人が揃い、現地戦力とも共闘できるようになった時点で、あんたは詰んでいたのだよ。残念だったなあーかわいそう」


「貴様ーっ!!」


 かわいそう呼ばわりされて、魔導王が激高する。

 だがまあ、達人を相手にしながら何かする余裕はあるまい。


 なので俺は一つ予測を立てる。


「あいつ、これから代償を払って最後の手段みたいなことして、こっちに攻撃を仕掛けてくるぞ。もう俺らをどうにかするためなら死んでもいいくらいの勢いで来る」


 俺が呟くと、ナルカの胸元に収まっていたミニアカネルが頷いた。


「はい。ヘルプ機能が時空魔法の使用を感知しました。魔導王が過去と接続しています。その代わり達人に押され始めてますが」


「達人が魔導王をぶっ倒すか、魔導王が魔法を行使するかの勝負だが……さすが腐っても魔導王だなあ。やりやがった」


 魔導王の背後の風景が歪む。

 ……と思ったら、この巨大な浮遊城の後ろ半分が消し飛んだ。


 空にポッカリ、真っ黒な穴が空いているように見える。

 そこに、もう一人の魔導王が浮かんでいた。


「もう一人呼んできた。とんでもない代償を払ったけど、仕方ない。僕はムカつく奴らを放っておくのが何より嫌いなんだ……!!」


 魔導王が凄い笑みを浮かべた。

 だが、俺はそれをヘルプ機能経由でしか見てないぞ。


 なぜなら……。


「ふん、未来の僕が情けない。だが、僕がこうして二人いれば勝てないものなど……なにぃーっ!?」


 過去の魔導王が絶叫する。

 なぜなら!


 俺が既にジャンプしてそこにいて、チョップを振り下ろしきったところだったからだ!


「ウグワーッ!!」


 あらゆる魔法的防御を突き抜けて、叩き込まれる俺のチョップ。

 絶妙な角度で放てば、魔法防御を全て誤認させてすり抜けられる……!

 俺が今作った弱点である。


 出現して早々に脳天唐竹割りを食らった魔導王が、のたうち回りながら落下した。


 俺も落下するが、カオルンが飛んできてキャッチした。


「まっ、マナビがいきなり飛び出したからびっくりしたのだ!」


「悪い悪い。だけど、味方も知らない動きってことは、魔導王には予想も出来なかっただろう。見ろよあの顔!」


「「貴様貴様貴様貴様貴様ーっ!!」」


 二人になった魔導王が、すっごい形相で俺を睨みつける。

 だが、現代の魔導王は気を散らしたせいで、達人のダッシュ中パンチを食らってしまった。


 オイオイオイ、終わったわあいつ。


「ウグワーッ!」


 地面に叩きつけられ、バウンドした魔導王に達人のコンボが炸裂し始める。


「お、おいやめろ貴様!! くそっ、こうなれば」


 達人を邪魔しようとする過去の魔導王に、俺が投げた石があらゆる魔法的防御を突き抜けて当たるのである。


「ウグワーッ!?」


「おいおいおい、終わるのはあいつだけじゃない。お前も今ここで終わるんだぞ」


 決着をつけようではないか。



面白い!

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― 新着の感想 ―
[一言] 2人では足りなかった。 やはり魔導王と魔導王RXとロボ魔導王とバイオ魔導王と 4人そろえなければダメだったのだ。(お前は何を言ってるんだ
[一言] 哀れ魔導王!まさかこんな奴らが同じ時代に3人いるとかわかんねぇだろ。
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