第六話
「それじゃあ、個人的なもの以外はジークのところに持っていけ! ちゃっちゃと動いて、さっさとフランベルジュ伯爵家との合流地に向かうぞ!」
バンさんが夜中に到着した後、軽い打ち合わせをしたせいで再び寝たのが空が明るくなり始めた頃だったのだが、俺は日が完全に上ると同時に容赦なく叩き起こされて、ヴァレンシュタイン子爵領から来た騎士たちの持ってきたものをマジックボックスに詰め込んでいく作業をさせられていた。
「お~! まだまだ入るか! すでにサマンサ様の三倍……いや五倍は詰め込んだはずだが、この様子だと持ってきた分のほとんどを預けても大丈夫そうだな! だがまあ、全て預けるわけにもいかんから、半分程でやめておくか」
バンさんたちが持ってきた十台の荷馬車の内、六台目に騎士が手を付けたところで荷物を俺に預けるのを止めて、バンさんは六台目以降の荷物を空いた五台に割り振って重さを均等化させるように指示を出していた。
「お疲れさん。出発までは少し時間があるから、それまで寝てていいぞ」
そう言ってバンさんが俺の背中を叩いたが……今からだと、目を閉じた次の瞬間に叩き起こされることになるだろう。それくらいなら、寝心地は悪いだろうが移動中に荷馬車に乗って横になった方がいい。
そう思いながら個人的な保存食として持ってきていた干し肉を口にくわえていると、
「う~……あ~……眠い~……」
目をこすりながら、まるでゾンビのような足取りで宿から出てくるディンドランさんの姿が視界に入った。
「おはよう、ディンドランさん」
「おはよ~……」
ディンドランさんは俺を見つけると、あくびをしながら近づいてきて、俺の口から干し肉を奪って食べ始めた。
「せめて、新しいのをくれくらいは言わない?」
「別にいいじゃない、減るもんじゃないでしょ」
いや、確実に俺の干し肉が一枚減っているんだけど……それ以前に、男に対して今の行動はどうなのか? と思っていると、その場面を見ていたらしいケイトとキャスカと目が合ったので、ディンドランさんを指さして何か言ってやってくれと目で訴えたものの、
「無視しやがった」
二人そろって目を逸らされた。
まあ、今のディンドランさんは寝起きの獣のような雰囲気があるので、触らぬ神に祟りなしと言う感じなのだろう。
「あ~もう、眠い! バンさんも、年寄りは朝が早いと言っても限度があるし、若者を自分のペースに巻き込まないでほしいわ!」
干し肉をかみちぎりながら、ディンドランさんは不機嫌そうに叫んでいるが……当然、まだ近くにバンさんには丸聞こえで、
「ディンドラン! 眠気覚ましに走ってこい! こっちの準備が終わるまでに町内を一周出来なかったら飯抜きだ!」
流石のディンドランさんでも、達成できないような指示が出された。しかし、
「あの地獄耳が!」
ディンドランさんは、文句を言いながらも素直に指示に従って走り出した。
「あいつ、口と性格を直さんと嫁の貰い先が無くなるぞ……それはそうとジーク、お前戦闘の指揮が下手らしいから、戦場では俺が指揮を執る。分かったな?」
走り去っていくディンドランさんを呆れたような顔で見送った後で、バンさんは俺の方へと振り返りいきなりそんなことを言い出した。
これには近くにいたケイトやキャスカ、それに王都から一緒に来た騎士たちは驚いていたが、バンさんの連れてきた騎士たちは驚いた様子が見られなかったので、ここに来る前に話をまとめていたのだろう。
「お前らは不満があるみたいだがな、こっちは一回二回会った程度の若造に命預けられる程能天気ではいられないんだ。少なくとも使える奴だと判断できるまでは、俺の指示に従ってもらうぞ! 分かったな? いやならここで帰れ!」
その言葉を聞いたケイトやキャスカたちが食って掛かろうとしたものの、バンさんの殺気交じりの眼光に気圧されていると、
「バン、当主代理に対して何をしているのですか?」
殺気に気が付いたディンドランさんが、俺の前に駆け込んできてバンさんを睨みつけた。
「ディンドラン、まだ走り終わっていないだろ? さっさと残りを走ってこい」
しかし、バンさんは気にせずに町内一周の続きに向かわせようとしたがディンドランさんは動かず、むしろ殺気を強めだした。
「お前も説明されんと分からんか……いいか、お前たちはともかくとして、俺たちはジークのことをほとんど知らん。知っているのは個人の実力はあるが、指揮能力は低いということだ。野盗程度の相手ならジークの勉強の為に指示に従ってやってもいいが、今回は国と国の戦争だ。おまけに、俺でも経験したことのない連合軍と来ている。そんな中で、俺が連れてきた五百人の命を預けることが出来ると思うか? 下手をすると、子爵家どころか他のところにも被害を出すことになるかもしれんのだぞ?」
俺が指揮能力が低いというのは、カラードさんからの手紙にでも書いてあったのだろう。
確かに、俺の一番の不安点はそこだ。それこそ一対一なら、俺とまともに戦えるのはあの戦場では一握りもいないかもしれない。だが、全体を指揮するとなると経験と勉強不足が出てきてしまい、それを自覚してから日が浅いということもあって、改善されているはずは無いだろう。
そのことを考えるのなら、バンさんの言うことはもっともで、もしかするとフランベルジュ伯爵たちも口に出さないだけで不安に感じていて、バンさんが申し出たら内心ではもろ手を挙げて歓迎するかもしれない。
「それでも、ジークは子爵家の嫡男で、今回の子爵軍の責任者です! 一度後進に身を譲った身でありながら、ジークを押しのけてバンが指揮を執るのは筋が通りません!」
一瞬気圧されたディンドランさんだったがすぐに反論し、それにケイトたちも同調しようとしていたが、
「なら、俺たちはここで子爵領に帰るぞ。不安のある中で命を賭ける程、俺たちはジークを信頼していないし忠誠を誓っているわけでもない。カラード様には申し訳ないが、賭けで五百人の部下を死なすわけにはいかないからな。俺たちを使いこなせとは言わないが、最低限の仕事が出来ると安心させることが出来ないのは、ジークの自業自得だろう? それに、手柄を奪おうと言っているのではない。後ろに下がって見て学べと言っているのだ。もしそれで今回の戦争中に俺を認めさせることが出来れば、その時は喜んで指揮権を返そう。これはカラード様も通ってきた道だ。納得がいかなくてもしろ。もしもジークが一人前だと証明できたのなら、その時は喜んでこの身を差し出そう」
バンさんの暴挙ともいえる脅しに、ディンドランさんは今にも飛び掛かろうとしていたが、
「ディンドランさん、ここはバンに譲ろう。こんなことで戦争を離脱することになれば、最悪子爵家の存続にかかわる。それに、好き勝手やれるのも今の内だけだ。老い先短い老人のわがままだから、ここは俺たちが少し我慢すればいい」
俺がバンに殺気を向けながらディンドランさんを説得すると、バン側に着いた騎士たちからも殺気を向けられたが……バンやディンドランさん程ではないので特に気にはならない。
「言ったな若造が……吐いた唾が飲み込めると思うなよ?」
「そっちこそ、後でボケたふりで誤魔化そうとするなよ?」
この一見のせいで、俺たち王都組の五十人と、バンが連れてきた領地組五百人の間に溝が出来てしまったが……まあ、何とかなるだろう。
幸い、こちらの五十人は子爵家の上位の騎士から編成されているし、俺とディンドランさんがいるので総合的な戦力で負けてはいるが大きく離されているわけではない。もっとも、戦争において数はとても大事な要素なので、俺たちがヴァレンシュタイン子爵軍内に置いてバンの風下に立つことになるのは避けられないだろう。
「後でこっそり伯爵に謝っとかないとな……」
こちらの事情で迷惑をかけてしまうことになるのだから、謝罪は必須だろう。場合によってはせっかく築けた信用を損なってしまうかもしれないが……そこは戦争が終わった後に取り戻せるように頑張ろう。
「ディンドランさん、昨日手配した馬車はいつでも動かせる?」
「ええ、朝一番で馬につなげるように用意させているけど……何かするの?」
ここに来るまで速度を重視したので馬車は用意していなかったが、バンたちと速度を合わせるのならあった方がいいだろうと思い、昨日町で三台も買い集めたのだ。
ただ、野菜などを運ぶ為の荷車しかなかったので、頑丈だが荷台に乗っていると腰に来そうなのが欠点がある。
昨日揃えた時はこんなことになると思っていなかったので、荷物を運ぶだけならいいだろうと思っていたのだが、こうなった以上その荷馬車を使えるようにしなければならない。
まあ、荷車なので荷物を積む分には何も問題ないのだが……荷台で寝るのには不向きなのだ。多分、そのままの状態で寝っ転がれば、振動が酷すぎて体のいたるところにダメージを負うことになりかねない。
なので、
「私物の毛布や布団を厚めに敷いて、その上を布で覆えば即席のベッドの完成……っと」
移動中でも横になれるように、ソファー代わりにも使えるベッドのようなものを作ってみた。
「あ~……結構寝心地いいわね……」
作ったそばから横になったディンドランさんは、そのまま寝落ちしそうになり、
「いたっ!」
ケイトに頭を叩かれて飛び起きていた。
「痛いわね、全く……ジーク、移動中の休憩はこれでいいとしても、もし途中で雨が降った時はどうするのよ?」
「その時は、蝋引きした布で荷台全体を覆うしかないね。それと、その時は毛布なんかは回収しないといけないけど、代わりに飼い葉を布で覆って代用するつもり。寝心地は落ちるだろうけど、無いよりはましだろうし」
こうして、同じ子爵軍内に二つの派閥が出来てしまい、伯爵家との合流地点までピリピリとした雰囲気の中で二日過ごしたのだが……着いたら着いたで、衝撃の情報を知ることになるのだった。
「男爵、着いて早々に悪いが、すぐに移動しなければならなくなった。どうやら、すぐにでも戦争が始まりそうという知らせが今朝早くに来たのだ」
俺たちが合流地点の街に着いたのは昼過ぎだったのでまだ明るい時間帯だったのだが、この街を出た後は陣を張る場所に直行する計画だった為、すぐに移動するよりは準備を整えてしっかりと休憩を取った方がいいということで二日後の出発を予定していたのだ。
そんな中、俺たちよりも先に到着していた伯爵の元に、先行していた連合軍の一部から連合軍に反発している侯爵軍が予定よりも大幅に早く到着し、すぐにでも仕掛けるつもりかもしれないという連絡が来たとのことだ。
「町を占領しているファブールの数はおよそ五千、それに対して侯爵軍は六千程とのことだ」
当初、侯爵軍は連合軍に合わせて五千程になるとのことだったが、千ぐらいなら誤差の範囲内という考えなのだろう。まあ、ヴァレンシュタイン子爵軍も五百の予定が実際には一割程増えているので、おかしい話ではないが……陣を張る場所こそ離れているものの、俺たちと足並みを揃えて仕掛けるという話だったので、全軍がこれだけ早く着いたというのは明らかに手柄の横取りをもくろんでのことだろう。
「ファブールの援軍はこちらに向かってきている最中ですよね?」
「援軍の到着は、このままの速度だとこちらの予想通り開戦予定日の二日後になるだろう」
援軍は三千、多くても五千もないだろうと予想しているし、ファブールに潜入している工作員からも大体その範囲に収まりそうだという報告もあったので、侯爵軍は千人くらいの差があれば攻め落とせると踏んだのだろう。
もしくは攻め落とせなくとも、俺たちよりも先に攻撃を仕掛けたおかげで勝利に大きく貢献したと言い張りたいのかもしれない。
「予定より侯爵軍が早く動いたということは、ファブールの援軍も移動速度を上げる可能性が高いですよね?」
「ああ、だからこちらもすぐに動かないと、着いた時にはすでにファブールの援軍が到着していて、侯爵軍が蹴散らされているということになりかねない。そうなれば、全ての責任を遅参した我々に押し付けるだろう。それと、侯爵軍だけでは数で勝っていても負ける可能性の方が高いだろう」
遅参も何も、勝手に予定を変えたのは侯爵軍なのだから、負けてもすべての責任はそちらにあるだろう……と言って理解できるようなら、そもそもこんな勝算の低い方法を選ばないはずだ。
「全部が押し付けられることはないでしょうけど、そもそもの話押し付けられる理由はないですけど、声の大きいバカが騒げば、多少なりともこちらに非があると見られてしまうかもしれないということですね」
「その通りだ。だから、急ぐぞ。そしてできるなら、到着後すぐに陣を張ってすぐにでも軍を展開できるようにしたい。いけるな?」
「そのことですが、少々よろしいでしょうか?」
「男爵、この者は?」
それまで静かにしていたバンが発言を求めたので、伯爵にバンを紹介すると、伯爵はバンの名前だけは知っていたらしくにこやかに握手していた。だが、
「今回の子爵軍ですが、私が指揮権を預かることとなりました。なので、陣の構築と兵の展開については問題ありません」
と言った瞬間、伯爵の視線が鋭くなった。
「ほう……それは侯爵軍の独断専行並みに驚きの話だな。そうなった理由を、詳しく聞かせてもらいたいのだが?」
「申し訳ありませんが子爵家内部の話になりますので、詳しい話はご勘弁を。ただ一つ言えるのは、男爵の経験不足が原因とだけ」
などと、伯爵の怒気に全く気にする様子もなく、バンは頭を下げた。
それを見た伯爵が俺に視線を向けてくるが、それに対して俺は目を見て一度軽く頷くのみにとどめた。
「他所に話せないのなら仕方がない。ただ、ヴァレンシュタイン子爵家のバンと言う名は知っていても、どういったことをしてきた人物なのかまでは知らん。何か動くときは、事細かに報告してもらうことになるぞ。分かったな?」
「了解いたしました。早速ですが、私はこれから次の目的地にすぐに移動することとなった旨を皆に伝えてまいりますので、これで失礼させていただきます」
伯爵はバンに対して面と向かって信用していないというような発言をしたが、バンはそれも気にした様子を見せずに、逆に挑発するような言葉を残して伯爵の前から去っていった。
「ジーク……いや、ヴァレンシュタイン男爵、お前のところはいったいどうなっているのだ? ……いや、今は少しでも早く現地に向かわなければならないな。男爵も、準備を急げ!」
伯爵は、呆れと怒りを混ぜたような顔と声で問いかけてきたが、すぐに考え直して俺を追い払うように子爵軍の元へと向かわせた。
「ジーク、一体何があったの?」
子爵軍の元へと戻ると、ディンドランさんがすぐに駆けつけてきたが……体は俺の方を向いているものの意識はバンの方へと向かっているので、原因がバンにあるというのは確信しているようだ。まあ、半分はあたりだが。
「敵対派閥の侯爵が先走って戦闘態勢に入ったらしくて、ちょっとまずいことになるかもしれないからここでは休憩せずにすぐに陣を張る予定の場所に向かうことになったんだけど、その話し合いの中で伯爵を怒らせてしまってね。まあ、詳しい話は移動中にでも話すから、今はすぐに出発できるようにだけしておいて。それと、馬車での休憩を増やすから、その順番と割り振りもお願いね。その間に俺は、馬の様子を見てくるから」
あのままだと、ディンドランさんが準備を後回しにしてでも俺に話を聞こうとしてくるかもしれなかったので、強引に仕事を押し付けてから俺は馬の方へと走っていった。
まあ、世話と言ってもついて早々に他の人がやっているはずなので、飼い葉や水を与える必要はないのだが、もしかすると軽い怪我や疲労があるかもしれないので、魔法でのけがの治療と疲労を軽減させる薬でも与えようかと思ったのだ。
「ついでに、砂糖でも食わせてやるか。こんなことになるのなら、王都から馬車を数台持ってくるんだったな。あと、交代用の馬も」
バンがあんな行動をとるとは思っていなかったので、速度重視の為に馬車と余計な馬は持って行かずに、足りない分はバンたちから分けてもらえばいいと思っていたのが裏目に出てしまった。
ここに来るまでに馬車は手に入ったものの荷車だったので、出来れば箱馬車か幌馬車が欲しかった。
もっと言えば馬車用の馬も欲しかったが、流石に軍馬についてこられそうな馬は見つからなかったし、そもそも普通の馬も売ってもらえなかったのだ。まあ、馬に関しては大きな街などでないと難しい話だと分かっていたし、馬車に関しても無いよりはずっとましなので贅沢は言えないのだが……やはり、後少しとはいえ、ギリギリの状況が多少マシになったくらいなので、きつい状況が続くのは変わらない。
「伯爵に借りることが出来ればよかったけど……あの様子では言い出せなかったしな」
流石俺でも、あの状態の伯爵に馬や馬車を貸してくれというのはためらわれた。もしあそこにエリカでもいたら話は別だが……いないので仕方がない。
だから、少しでも馬の負担を軽くするのと機嫌を取る為に回復魔法と薬、そして効果があるかは分からないが、お菓子という名の賄賂でも贈ろうというわけだ。
こういう時に、回復魔法が使えるのは非常に便利だ。それと、数十頭の馬に使えるだけの魔力量があるというのも。
「ジーク、フランベルジュ伯爵家の準備が終わりそうよ。こちらも、いつでも馬に乗れるようにしておきましょう」
最後の馬に賄賂を食べさせていると、速足のディンドランさんがやってきた。
「分かった。ディンドランさんの馬の鞍は他の人が付けていたはずだから、すぐに乗れるはずだよ」
俺が軽く馬の状態の説明すると、ディンドランさんは頷きながら自分の馬の元へと向かっていった。
実は少し前から他の王都組の子爵軍が来て馬の確認しながら鞍をつけていたのを見て、大体の状況が予想出来ていたので、俺もそれに合わせて馬に回復魔法を使い、薬やお菓子を食べさせていたのだ。
ちなみに、何故か俺が近づくと大抵の馬は怯えるので、ほとんどの馬に対しては恐怖で暴れださない内に手早く回復を済ませて、薬やお菓子は残って世話をしていた他の騎士に任せていた。
「こいつは全く怯えないのに、なんで他の馬は俺が近づくと怯えるのかがよく分からん」
俺はもっと菓子を寄越せとでもいうように、俺のポケットに鼻を突っ込もうとしている愛馬の首を撫でながら、少し嫌そうな顔をしながら俺の元へと引いてこられているディンドランさんの馬を見て小さく愚痴をこぼした。
その日から四日目で、俺たちは無事に陣を張る予定地に到着したが……その間、まともに伯爵と話すことが出来なかったのが悔やまれる。
どうも、かなり伯爵は怒っているようで、話しかけようとしても昼間は基本的に伯爵のそばに他の人がいる状況だったのでバンのことを説明できず。夜は夜で疲れを残さないようにと、早々に自分の寝床に引き籠られていたので、どう見ても明らかに避けられていたのだ。
「これが余計なトラブルを生まないといいけどな……」
そう思いながらも、同時に「無理だろうな……」とあきらめる俺が居たのだった。




