エピローグ~極限遊戯戦記~
――――翌日。
全プレイヤー達に衝撃が迸った。
「ゲームワールドオンラインが完全閉鎖!!!!?」
前にも書いたように、G-1グランプリやアメイジングウォーズによって及んだユーザープレイヤー達の被害が問題視され、ゲームワールドへの転送方法やバグ改善の為に当面の間閉鎖することがトップニュースで明らかになった。
因みにプレイギアでのゲームプレイによる戦歴は残されるようにはなっているが、今まで設けられていたプレイヤーステータスによるレベル制度が全てリセット。
今まで培ってきたものを失われたプレイヤー達の怒号も当然飛び交うなど、混乱の情勢に突入したのだった。
そして、例のプレイヤー達も……
「ねぇ聞いた剣くん!? ゲームワールドが閉鎖するって!!」
「あぁ俺もびっくりしたぜ、あの裁判からいきなり閉鎖宣言だもんな」
学校帰りにギャラクシーに寄る剣とみのり。二つの事件に関与していた彼等にもその混乱の飛び火が掛かっていた。
「……あ、そういやみのりのお母ちゃんってWGCに勤めてたような……?」
その話に持ち込んだ途端、みのりの顔が曇り始めた。
「……実はね、お母さんが左遷になっちゃったみたいで……。他のWGC役員の人達もリストラやら退職にあったみたいで大変らしいの」
「それ洒落にならん奴ちゃうんか……」
実際の所、その通りである。
ゲームワールドオンラインの閉鎖と同じタイミングで、WGCの代表取締役社長の外崎博行は総辞職する結果となってしまった。
それだけではなく、管理してきた役員達も辞職や人事異動、左遷などで経営して初めての大改革が始まっていたのだ。最高管理幹部達の手によって……!
するとギャラクシーに向かう最中に、剣達は今度は槍一郎と出会う。
「よぉ、槍ちゃ……どないしたん?」
「あ……あぁ、剣か」
槍一郎は先程のみのり以上に曇った顔をしていた。
「もしかして槍くんもゲームワールドが閉まったのがショックなの?」
「いや……それよりもショックな事があった。僕いきなりオフィシャルプレイヤーを辞めさせられていた」
「「え゛え゛ええええぇぇぇぇぇ!!!?」」
混乱の被害はWGCが認められた公式プレイヤー『オフィシャルプレイヤー』にも及んでいた。
これも実力不足や構成の曖昧さから、各地域に所属していたオフィシャルプレイヤーが総員で組織解散されていたのだ。勿論槍一郎だけではなく、全国のオフィシャルプレイヤーが。
「そんな……だって槍ちゃん、オフィシャルに居ることを誇りにしてたじゃないかよ!!」
槍一郎はグッと歯を食い縛りながらやるせない悔しさを耐えているのが分かった。
だが時代の流れからはどうしようも出来ない。そんな意味も込めて、憤りから一転柔らかい笑顔を見せる槍一郎。
「…………仕方ないさ! これも運命だとおもって諦めるよ!でもお陰で剣達と一緒に遊べる時間が増えたんだ、結果オーライとするよ」
「槍ちゃん……」
剣達には手に取るようにこれが強がりの笑顔だと直ぐに見抜いた。この葛藤が晴れる日はいつの日か、それはまだ先の話になるのだった……
◇◇◇
――アミューズメントパーク・ギャラクシーに着いた剣達。
早速中に入ると、丁度入り口付近にてレミ、倭刀、そして穂香が剣達が来るのを待っていた。
「遅いぞ皆~!!」
「先輩、俺よりも遅く来るって無いっしょ?」
「お待ちしてました」
皆、来るのを待ちわびていたようだ。
「……で、何のゲームします?」
「まぁ何処かテキトーに気になったもんやったろぜ」
剣達6人が向かったのは2階、VRゲームが主流の階にポツンとレトロゲーム筐体が並ぶコーナーがいつの間にか出来ていた。すると……
「あ、剣くん! これ――!!」
みのりは手前の見覚えがある筐体を指差した。そう、このゲームはいつぞやの……!!
「オイこれ……『ブロック崩し』やん!!!!」
「懐かしいなぁ……!!」
―――皆さんは覚えているでしょうか?
ゲームセンター前で剣とみのりが初めて出会い、巡り合わせたゲーム【ブロック崩し―BREAK OUT―】。
それが今ここに再び邂逅したのだ!
「おぅ皆! やっぱり全員で来よったか!!」
剣達の後ろから、豪樹も参戦してきたのをレミは背後から気付いた。
「あっ豪樹さん! 今日ゲームジムの仕事は?」
「今日はオフ! でも皆の事が気になったから来ちまったわ!! ――『ブロック崩し』やるんか?」
「そうなんすよ! これがあったから、みのりや皆に出会えたんです!! そう思うとちょっとジーンと来ちゃって……!」
剣の快進撃も、思えば最初から順風満帆では無かった。
みのりと出会うまでは、友達を作るまいと塞ぎ込んでいた一匹狼であった剣。
しかしみのりの励ましやライバルと出会えた事で人生を変え、仲間を作り、そして魂の形を作り上げるまで成長したのだった。
そう思うと気の強さで有名な剣でも涙で目が潤んでくる。すると、みのりが剣に言った。
「――ねぇ剣くん。今度は私がブロック崩しやってみてもいい? 剣くんみたいに上手くは無いけれど……」
「……勿論だ! ゲームやるのに上手い下手関係ねぇぜ、皆の前で見せてやんなよ!!」
「やった~~♪」
何の因果か、廻り合いなのか。
剣のブロック崩しから始まった『極限遊戯戦記』が、みのりのブロック崩しで幕を閉じようとは――!!
「お手並み拝見だな、みのりちゃん!」
「フレーフレー、みのり☆」
「そーいやみのりさんのゲームあんまし見てないもんな、こりゃ楽しみだ!」
「頑張って下さい!」
「みのりちゃんなら軽く1発クリア出来るって! ガハハハハハ!!」
「そんなにざわついたら集中出来ないよ~~!!!!」
「「「「「あ、ごめんなさい」」」」」
……何かどっかで見た風景ですね。
しかし剣はその事をしっかり覚えていたようで、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。そして剣はみのりの横に寄り添ってアドバイスを交わす。
「なぁみのり、覚えてるか? ブロック崩しの攻略は……」
「『打ってきた玉の反射角度を見極めて待つこと、そしてやたらにラケットを動かさないことが攻略のコツ』! ちゃんと覚えてるよ!!」
「……じゃ大丈夫だな! 今日は俺がプレイコイン奢るぜ」
「――ありがとっ!!」
剣は手持ちの100円玉をみのりに渡し、みのりはそのコインで筐体の投入口に入れる。
ブロック崩しの筐体にある1プレイヤーボタンを押し、画面に無数のブロックが現れた。
パドルダイヤルの調子も良し! サーブボタンを押せばボールが発射される!!
「行くよーーーッッ!!!!」
――――究極のゲーム異世界『ゲームワールドオンライン』は暫しの間旅立つことが出来なくなってしまった。
しかし彼等の周りにはまだ至るところにゲームが広がっている。
そう、世は正に『超次元ゲーム時代』!
未知なるゲームを好奇心を胸に探求する時代!!
故に我々はこの時代を駆け抜けたゲーム戦士『ゲーム・ウォーリアー』にサヨナラは告げない!!
この世に心躍るゲームがある限り、今日もまた剣達はゲームセンターの前に現れることだろう!!!
「――――ゲーム、スタートッッ!!!!!」
【ゲーム・ウォーリアー第一部 BEGINS WARRIORS THE END】
――――――――――――――――――――
――どうも、読者の皆様のご案内役『Mr.G』です!
これが『極限遊戯戦記』の最後の案内となりました!如何だったでしょうか?
さて、今回でエピローグとなるわけなのですが……剣達の物語はこれで終わりじゃありません!!
さっきって『第一章』って出てたでしょう?
つまりこれはゲーム・ウォーリアーの始まりの物語なのです!
実は当初から色々ゲームシステムに不十分は所があったゲームワールドが、この大改革を期にリニューアルする事になった。
それまでにこの壮大なるゲームサーガは一旦休止という事になります。
……ま、本音言うと予想以上に本編が長くなったから一旦区切りたいってのもあるんですけどね。(言っちゃダメだったかしら……?)
それに、読者の皆様には明かしていかねばならないフラグも沢山あるんです。
――天野槍一郎のオフィシャル辞退。
――みのりのPAS覚醒は何時になるか。
――そして未だに明かされていないゲームワールドのエリア、ゲーム等々……!
それらの布線なるものの回収、第一部で培った物を踏襲して……【第二部】を展開させます! 別作品として更新を是非お楽しみに下さいませ!!
……さて、そろそろこの極限遊戯戦記の物語と、読者の皆様と暫しのお別れの時間がやってきてしまいました。
皆様の案内は一旦ここまで。私はこのゲートを閉じて、新しいゲームワールドの準備をしなければなりません。でも、これだけは言わせてください!
――ゲームが大好きだという心を忘れない限り、私は貴方達の前にこのゲートを開いて、同じくゲームが大好きな読者の皆様方にこの壮大なるゲームワールドの世界を案内していきます!! ですから『サヨナラ』は言いません!
全てのゲーム愛に満ちた皆様と、また会えるその日まで……!
『クローズ・ザ・ゲート』――!!
――――ギイイイイイイイイィィィィ……、バタンッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
1年3ヶ月間、『極限遊戯戦記 ゲーム・ウォーリアー』を一読してくれた読者とゲームプレイヤーの皆さん、本当にありがとうございました!
しかし、剣達の物語はまだまだ終わりません!!
新たに進化したゲームワールドの世界へ!!!
8月1日更新予定の『ゲーム・ウォーリアー 第二部(仮)』にて、またお会いしましょう!!
最後に一言。
俺はゲームが大好きな皆の事が大好きですッ!!!!! 愛してるぜッッ!!!!!!
―kazu―




