襲撃
・水曜日の投下分です
いやぁ、順調順調。
美少女巫女の董青ちゃん13歳は満足げに里を見渡します。
河伯教団の孟津支部には次々に家や工房、風呂場に共同食堂などが建設され、人口も増えています。
匈奴からまとめて家畜を買い付け、放牧場には羊や馬の声が響きわたり。
豚や鶏もあちこちで餌を探しています。
うんうん、里を作るのも二回目ですし、どんどん進んでいきますね。
いやぁ、これも私が美少女巫女だからですね、早く何皇后様のような美女になりたいものです。
「本当にありがとうごぜえます」
「故郷から逃げてきたときはもう野垂れ死にしかないと思ってただ」
「おらたちの命は巫女様に救っていただいたんで」
里に落ち着いた信者の皆さんが口々にお礼を述べるので「皆さんを健康にするのが河伯の願いです」とか適当に言っておきました。
黄河の神の願いとは私の願い。三国志対策なのです。
しかし、こうやって土地を捨てて逃げられるのは貧民の1/10にもならないそうです。
そもそも地縁血縁がないと生きていけない時代ですし、一番よくあるのが故郷で土地を売った相手の奴隷になることです。
こうやって重税や臨時税、兵役などのたびに地方豪族は奴隷と土地を増やし、それだけでも奴隷分が減税になるので儲かるのですが、さらに役人と結託して脱税して財産を蓄えているのです。
だから、私が今やってるのは1/10を助けているにすぎないのですが……誰も最初から完璧じゃないです。今できることをするだけでしょう。
「巫女様!」
「巫女様!万歳!」
信者の皆さんに集まられてしまいました。
って万歳はダメです。危険です。
「さすが巫女様!」
うん、それぐらいでいいですね。マンセーとかウラーとか合わないですし。
そこに武装した護衛の青年、公明くんも参加してくれました。
「さすがです巫女様!」
ふふ、もっと褒めていいですよ。
公明くんですが、前の里と同じように、防御柵をつくったり、河東の鍛冶場で作らせた弓矢や矛を信者さんたちに訓練させています。
またここも山賊に襲われるかもしれませんし、山犬や狼だって出るので防衛は大事ですね。
洛陽では官吏の給料で大量に配られる穀物が安いので、装飾品などの高級品を作って穀物を買って、それで貧民に施して信者を増やし、拠点を強化していく流れが奇麗に決まってますね。
とても順調に里づくりが進んでいます……って趙雲さん、なんで引いてるんです?冷汗かいて。
「……いや、黒山軍の張燕親分にはああ言ってもらったが……実際に見るとこれは……。黄巾残党が砦を作っていると言われてもおかしくないのでは」
「……おおう」
ふふふ、しかし私はそこまで迂闊ではありません。同じネタで二回も失敗はしませんよ!見てください、もう戸籍はできているんです。
私は竹簡の束を趙雲さんに見せました。
「これをどうするのです?」
「叔父上に渡します、そうするとですね」
董旻叔父様経由で河南尹すでに事前に相談は済んでいます。
今の河南尹は何進大将軍の弟さんなので、多少の献金をすることで話は早く済みました。
……賄賂なんですよねぇ。でも、戦争になるぐらいならやむをえません。いまは難民を救い、三国志を防ぐのが最優先です。それが私たち董一族や河伯教団の安全にもつながるのです。
「ということで、洛陽で降伏の手続きをしてきます。子龍さんはこの里の防衛をお願いします」
「ははっ!!」
趙雲さんに留守を任せ、私は公明君を連れて上洛しました。
……
……
男装に着替えて、官吏型の私に変化します。
河南尹の役所に赴き、戸籍登録を行います。
河南尹さんは特に興味もないようで、属吏と手続きだけ確認を進め、無事に正規の里として登録され、戸籍も貰えました。
これで問題はないですね。
と思っていたら、董旻叔父様がバタバタと向こうから走ってきます。あら、叔父様、お役所で走るなんて行儀が悪いですよ。
「お、おい、青!今聞いたんだが。お前んところ討伐されてるぞ?」
「はい?」
― ― ― ― ―
慌てて里に戻ると、里の近くに百名ちかい兵隊の群れがおり、趙雲さん率いる村人たちとにらみ合っています。
そして、その討伐部隊の旗にはでかでかと「孫」の字が。
先頭に立った赤い頭巾の偉丈夫が叫びます。
「やいやい、世を騒がす黄巾の残党とはおめえらだな!この江東猛虎、孫文台が討伐してやらぁ!!おとなしく武功になりやがれ!」
何やってんですか孫堅さんっ?!!!
……気に入ったんですねそのあだ名。
・いいねくーださい♪




