表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/68

おししょーは、重戦士とやり合う。


 ティーチは、すり足で前に出た。


 纏鎧している状態であれば、一足で届く間合い。

 おそらくは、バックラーの間合いであろう位置に足を踏み込んだ瞬間、何かにぶつかるような圧を感じた。


 ーーー気当たり。


 お互いの間合いが重なった状態で、軽く曲げた右腕を突き出しつつ(けい)を発する。

 最速で突き出した掌底を、ティーチはバックラーの構えた大盾のど真ん中に叩きつけた。


 衝撃が抜けた気配がするが、手応えがない。


 ーーーダメか。


 大盾は、おそらくは神秘金属の類でできているのだろう。

 聖気を乗せた発勁(はっけい)で凹む気配すらなく、硬い感触が返ってきていた。


 さらに、突き抜けた(けい)は、おそらくは鎧に阻まれてバックラーの体には届いていないか、バックラーの体捌きでいなされたようだ。


 ーーーこれで頭を打ち抜ければ、楽に終わったんだがな。


 洗脳が、聖気を打ち込むことで解けることは分かっているのだ。

 

 バックラーの性格的な部分から、それでも戦闘が続く可能性はあるが、降参すれば命を取ろうとまではしないだろうという予感もあった。


 掌底の一撃を防がれると同時に、大盾が動く。

 右手が弾かれる前に引いたティーチは、左側から微かに風を感じて身をかがめた。


 すると、後頭部ギリギリの位置を鉄板のような大剣が、ゴッ! と音を立てて横薙ぎに行き過ぎる。

 

 ーーーいや剣の音じゃねぇ!!


 どんな膂力をしているのか。

 仮面の下で冷や汗をかきながら、ティーチは身をかがめたまま、さらに前に出る。


 柄と刀身がほぼ同じ長さの特殊な形の、騎兵槍のような大剣は、射程が長い分重いはずだ。

 それを片手で、避けるのがギリギリの速度で振り回すのは、仮に鎧の加護や補助魔法を受けていても尋常ではない。


 ティーチは、バックラーの腕下から懐に潜り込み、体を捻り込んで、左拳を放った。


 大楯を払って剣を薙いだ動きにより、相手の右脇腹に隙ができている。

 ガラ空きの場所に、一撃は叩き込める、と思ったのだが。


 こちらの左拳がバックラーを捉えると同時に、腹のあたりに凄まじい衝撃を感じた。


「ガッ……!?」


 息が詰まり、そのまま吹き飛ばされながら、ティーチは相手の膝によるカウンターを食らったのだと理解した。

 相手は微動だにせず、片足を上げた状態で、フルフェイスの兜の奥からジッと冷静な目でこちらを眺めている。



 ーーー勇者パーティーの盾。


 

 一合で分かるその強さに、しかしティーチは怯まなかった。


 少なくとも、カノンやレイザーを相手にするほど間合いの不利はなく、速度も追いきれない程ではない。

 そしてティーチは、相手がどれほど頑丈でも、その【纏鎧】の防御を突破する必要はないのだ。


 ーーー頭さえ狙えれば。


 相手の頭は身長差から高い位置にはあるが、軽くでも聖気を込めた何かの攻撃が当たれば良いのだ。


 手数。


 ティーチに必要なのはそれだった。

 おそらく獲物などを持たない分、速度はこちらが有利なはずだ。


 【纏鎧】そのものは、体を覆う鎧がそれであり、大楯と大剣は鎧とは別なのだ。

 故に得物自体は、攻撃力や防御力に相応の重量がある。


 ーーーよし。


 両手足の先に貰った聖気を集めたティーチは、着地と同時に体勢を立て直す。


 そのまま無理やり呼吸を整えて、再びバックラーに挑みかかった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] その一撃が届かない・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ