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たとえ転生してもうさぎを愛してる  作者: ガーネット兎
第1章〜バーテンダーはウサギ達と共に〜
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聖王国アランドブルクの暗部は見た

聖王国アランドブルクの暗部は調査の為イメリア公国と魔王直轄地との境界線付近に来ていた。

まず驚いたのが立派な聖結界でイメリア公国が護られていることだ。


さらには時々目を擦りながらイメリア兵は境界線付近にやってきて、聖結界を破壊しようとしている多数の魔王軍に向けてシェイカーの栓を抜いただけで強力な魔法が放たれ魔王軍はバタバタ倒れていく。


なんだこの光景は?これが魔王軍との国境地帯だとでもいうのか?

イメリア兵に恐れがないどころか緊張感すら全くない。


暗部はその魔法入りシェイカーの入手先を調べる為に輸送馬車隊を追跡した。

到着したのは周りに街などない辺鄙な草原とラパンの森の境界線付近にある真新しい倉庫に似た館である。そこに輸送馬車は止まる。


輸送馬車隊はイメリア国から果物、穀物、フルーツの木、布製品、牧草などを大量に運んできていた。

館から一人の男性が出てきた。


「輸送ご苦労様!全部商品を地下に運び込んでください。大事な貿易品ですからな!」


「明日また貿易なんでしょ?これだけ沢山の物資あればうちの国は貿易黒字ですか?」


「いやいや完全に赤字ですよ。なんせ軍事物資を我が国は大量に必要としてます。お金がいくらあっても足りませんよ。」


次の日聖王国アランドブルクの暗部は明日の貿易とやらを影から観察してみる事にした。


ラパンの森から現れたのは馬車に乗るうさぎだ。


「ふーやっと着いた!これから交渉だぞみんな気合い入れてけよ」


モカの指示が出るが他のうさぎ達は寝ていた。


「スヤスヤ」


「着いたぞ起きろ!全然頼りにならない奴しかいねーなー」


あれは精霊術士か?いやかの有名な精霊術士ではないな。確か桐斗という名前で毛がまだらのはずだ。

精霊術士とうさぎ達が館に入る。


「これはこれはモカさん!私は今回担当させて頂く貿易官です。いつも有難うございます。」


「こちらこそ有難うございます。

イメリア公国の果物はとても美味しくみな感謝してます。」


「いえいえこんなものしか貿易品に出せず心苦しい限りです。

聖うさぎ王国の魔法入りシェイカーは魔王軍との戦いに大活躍です。

大変感謝しております。

うちどもはもっと欲しいくらいですよ」


「実は今までお譲りしていた魔法入りシェイカーの品の中でココナッツドリーム入りシェイカーが1番高額で銀貨20枚だったはずですが、

今回更に威力の上がる品をお持ちしました。

ココナッツドリームは普通魔法に属しますが、

このエメラルドミストとフローズンダイキリ入りシェイカーは最高級魔法に属します。

どちらも範囲魔法の為多数の魔物をより多く殲滅できます。いかがでしょう」


「是非最高級魔法入りシェイカーが欲しい。

金ならいくらかかっても構わないと公王から言われております。」


「威力としては最高級魔法はは普通魔法の3倍以上はあります。なのでエメラルドミスト入りシェイカーは一本銀貨50枚、

フローズンダイキリ入りシェイカーは聖魔法入りの為一本銀貨60枚でいかがでしょう?」


「ちょいと試し撃ちしてよろしいでしょうか?」


捕獲した魔物達を檻に入れた場所が地下にあった。

貿易官は試しにエメラルドミスト入りシェイカーの栓を抜く。

以前試したココナッツドリームならココナッツの雨でこの魔物達は半数は死に半数は虫の息だった。


今回は風刃が乱舞して全魔物が切り裂かれ即死になった。

次の魔物の檻に移動して今度はフローズンダイキリ入りシェイカーの栓を抜く。

すると魔物は聖なる大剣で切り裂かれ1匹残らず死滅した。


「これはかなり良い品ですね。確かにこの威力は従来の3倍はあります。言い値で全部買い上げましょう。」


「毎度有難う御座います。」


ペロは舌をペロリと出す。上手くないから


「では今回はお試しという事もありさほど新商品は数がありません。

よってエメラルドミスト入りシェイカーは200本、

フローズンダイキリ入りシェイカーは200本、

ココナッツドリーム入りシェイカーは1000本お持ちしました。」


「いやいや充分数がありますよ!嬉しい限りです」


一連の貿易を見ていた聖王国アランドブルクの暗部はすぐさま聖王国に引き返した。

とてつもない軍事物資が聖うさぎ王国からイメリア公国に流れている。


これは一大事だ!我々聖王国も

取り入れないと戦力差が明らかに開いてしまう。

あれは戦争のやり方を根本から揺るがす品だ。


数日後ブルク20世はイメリア16世に手紙を書いた。内容は

「貴国は聖うさぎ王国から軍事物資を輸入しているそうですな。我が国にも輸出して頂けないでしょうか?我が国も魔王軍の争いに苦労しております。

同じ同盟国として協力しましょう」


イメリア16世はブルク20世にすぐ様手紙を返信した。内容は

「貴国は聖うさぎ王国を国として認めてなかったはずではないでしょうか?

それなのに聖うさぎ王国の軍事物資は欲しいなんてどんだけ面の皮が厚いのでしょう。

我が国は大量に聖うさぎ王国から軍事物資を得ている訳ではございません。

必要数のみを買ってるに過ぎません。

なので余剰分は御座いません。」


ブルク20世は顔を真っ赤にして怒るがここは抑える。確かに聖うさぎ王国を国として認めていないのは事実である。

しかし内容が報告通りなら手に入れる手段を得なければならない。

魔王軍との争いから人々の犠牲を減らせるからだ。


ブルク20世は更にイメリア16世に手紙を書く


「確かに貴国の言い分も確かだ。では勇者が欲しいと言っているならどうです?

それでも拒否するのですか?

数年前貴国を魔王軍から救っている恩人ですぞ!

貴国の言い値で払う。

100本だけ売ってはくれまいか?」


イメリア16世も流石に勇者に悪印象は抱かれたくない。渋々OKの手紙を出した。


イメリア16世は更に威力のある魔法入りシェイカーを貿易で手にできたと報告があって喜んだ。

ならばと威力の低い従来のシェイカーを聖王国アランドブルクに高値で売り利益を得ようと企んだ。


魔法入りシェイカーの実験をした後それらを纏めた紙を手にした聖王国アランドブルクの大臣達は驚愕していた。

それはイメリア公国から実に買値の5倍もの値段で売ってもらった魔法入りシェイカーの実力をである。


試しに魔王軍との境界線付近にたむろしている屈強な魔物達に向けてシェイカーの栓を抜いて内包する魔法を放ったら半数が死に、それ以外も瀕死の状態になった。


ここまで成すのには人間の兵士だと3倍の兵力で囲み、1時間はかかる上にこちらもダメージを喰らう。

それがシェイカー1本でダメージなく魔物達を撤退させられる。


聖うさぎ王国の底知れぬ実力を知り、フランク皇子には悪いが聖うさぎ王国には手出しできないと結論付けた。



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