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さみしがりやの座敷わらし

夢で見た内容を、雰囲気を出来るだけ変えないで文字におこした感じです。

新たなスタイルの習作めいております。

雰囲気重視の為、あやふやな部分もあるかもしれません。

――泣き声が聞こえる。


「お母さん、まだ帰ってこない。さみしいよぉ……怖いよぉ」


 古い洋館に越してきた親子。お母さんは、忙しい音楽の教師。まだ小さな男の子は寂しくて、慣れない洋館で泣いていて。


――あぁ……大丈夫。怖くないよ。


 そう伝えたくて、気付けば【ボク】はそこにいた。


「君はだぁれ?」


 急に現れた【ボク】に、男の子はびっくり。そうだよね。でも……。


「一緒にあそぼ?」


 温かいココアに、洋館にずっとあったボードゲーム。これならルールは知ってるんだ。そう、ここの事は何でも知ってる。男の子が楽しくなる様な事は沢山知ってる。だから泣かないで。


 お母さんが帰って来るまでの時間が、男の子にとって嫌な時間にならないように。【ボク】は頑張った。




――男の子のお母さん。毎日夜遅くに帰ってくる。中々男の子を構ってあげられないのを悪いと思ってる。自分を責めてる。でも【ボク】は、お母さんがすごく頑張ってるの知ってるよ。だから――


「毎日お疲れ様」

「こんな時間に遊びに来たのね。あの子は寝てるわよ」


 男の子の友だちとして、疲れたお母さんは【ボク】を受け入れる。お母さんに温かいココアを出しながら、男の子がどんなに今日も楽しくお母さんを待っていたか、お母さんがどんなに好きかを、聞いた話を伝えてあげる。


「あなたはいい子ね」


――えへへ。【ボク】までここの子になったみたい。なんだか嬉しいな。




 今日はお母さんがすごく早く家に帰れた。今日は僕がこっそり洗い物しておかなくても大丈夫。洋館に置いてあるピアノ。お母さんが楽しそうな曲を奏でる。洋館がすっと明るくなる。思わず【ボク】も出てきてしまう。


「今日は早いのね。あなたは夜に来るものだと思ってたわ」


――うん。だってお母さんが楽しそうだから。


「うちの子もね。毎日楽しそう。あなたのおかげよ。あなたもいっそうちの子になっちゃえばいいのに」


――言われて嬉しいけど、胸が熱いけど、【ボク】なんかがそうなってもいいのかな。だって……。【ボク】は固定していないよ。


「あなたの望みが一番叶う様に、なったらいいわ」


 ピアノに込められた幸せの魔法。【ボク】の、二人にとって都合がいい見た目が、初めて【ボク】自身の望みで変わろうとする。固定化されようとしてる。


 中性的な、男の子が望んだ遊び相手から、お母さんが望んだ男の子のお兄さんな状態から【ボク】は……。【ボク】の望みは……。


「あなた、女の子だったのね」


――うん。そうみたい。


 二人に寄り添いたい【ボク】は初めてきちんとした姿になれた。影法師の様に、影の奉仕の様にじゃなく、【ワタシ】に。


 ワタシはきちんと顕現して、一人のワタシとして相対する。ちゃんと会いたかったワタシに。これがワタシの望みでもあったんだ。これなら大好きな二人とずっといられるね。




――洋館の優しい精霊だったワタシは、いつしか人間として望まれて、ここに誕生した。夜の魔性から、昼の化身に。


 幸せになるために。二人だけじゃなくて、ワタシも含めてが幸せになるために。

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