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物語の都合でざまぁ&処刑されるクズ王子、記憶を取り戻して転生し、魔法学校からやりなおす!  作者: 江本マシメサ
第七章 契約――魔女と共に

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クズ王子は、自らの訃報を耳にする

 それから数日が経ち――驚くほど平穏な時を過ごしていた。

 サファイアが世話する家庭菜園で野菜を収穫したり、鍛冶の体験をしたり、棉糸工房でシャツを手作りしたり、商店で数時間アルバイトしたり。

 私が職業体験をしている間、カイは体を鍛えているようだった。ここにいたら安全だと言っても、万が一を考えて気が抜けないと話していた。

 メルヴ・イミテーションは村の子ども達に交ざって遊ぶ。実に平和な光景が広がっていた。

 獣人やエルフ、ドワーフの子ども達はメルヴ・イミテーションと友達認定してくれたようだ。新たな友達ができたと、メルヴ・イミテーションは嬉しそうにしていた。


 あっという間に一ヶ月が経ち、王都へ情報収集に出かけていたドロテーアが朝刊を差し出す。


「何かあったのか?」

「ええ」


 報じられていた記事を見てギョッとする。紙面には〝王太子クリストハルト殿下、火事に巻き込まれ、不慮の死を遂げる〟とあった。

 火事は故意ではなく偶然で、そのなかに私が迷い込んで亡くなってしまったと書かれている。


「カイが倒した暗殺者が傍にいただろうに、どうして事故という扱いになっているのだ」

「誰かが情報をもみ消したのでしょうね」


 遺体は損傷が激しかったが、王太子の身分を示す金の指輪が嵌めてあり、本人で間違いないと報じられていた。

 どうやら私達の偽装工作は成功していたようだ。


「死体は問題なかったようだな」

「ええ。偽物の死体は丁重に、大聖堂に安置されていたわ」

「そうか」


 明日、私の葬儀を行うらしい。自分の葬式の話を、不思議な気分で耳にしていた。


「一件、王宮内で事件が起きたの」


 それは聖女を巻き込んだ、とんでもない事件だった。


「偽物の死体が発見された日、ちょうど聖女が来ていたそうよ。それで国王陛下が、クリストハルト殿下を生き返らせるように懇願したの」

「死んだ者を生き返らせるなど、聖女の奇跡ではなく邪悪な黒魔法ではないか」

「ええ、間違いないわ」


 国王陛下は私の死に大変動揺していて、錯乱状態になっていたらしい。周囲の制止を振りきり、聖女マナに命じたようだ。


「深夜に、クリストハルト殿下を生き返らせる儀式を行おうとしたの」


 結果は聞かずともわかる。儀式は失敗。国王陛下が望む結果にはならなかった。

 激昂した国王陛下は、聖女マナを偽物と糾弾し、国外追放を命じたらしい。

 それ以降、彼女は行方不明となっているようだ。


「行方不明といっても、元の世界に戻ったのだろうが」

「ええ」


 心配なのは、国王陛下だという。


「国王は意気消沈するあまり、起き上がることもままならないような衰弱状態になって、代わりにフェリクス殿下が政務を執り行っているらしいわ」


 新たな第一王位継承式もできないまま、私の葬儀を迎えるようだ。


「ドロテーアよ。現状をどう思う?」

「国王の突然の錯乱と病気は怪しく思ったわ」

「怪しいというのは、国王陛下を邪魔に思う誰かが陰で操っていた、という話か?」

「ええ」


 聖女マナも、利用価値を見いだせなかったので追放させたように思える。


「やはり、フェリクスが仕組んだことだったのか――!」

「情報が不十分だから、まだ断言はしないほうがいいわ」


 ドロテーアは再び王都に行って、情報収集をするという。


「私も行く」

「そう言うかと思って、こんな品を用意したの」


 ドロテーアが差し出したのは、ルビーが填め込まれた美しい細工のコンパクトである。


「これはなんだ?」

「変装用の変身コンパクトと言えばいいのかしら? 死んだはずのクリストハルト殿下が王都に現れたら、大騒ぎになるでしょう?」

「それもそうだな。して、何に変身できるものなのだ?」

「女の子よ」

「は?」

「性転換する魔技巧品なの」


 つまり私が使ったら女性になるのか。

 なんでも幻術をかけて女性に見せるのではなく、体を完全に変える魔法がかかるらしい。

 国家専属魔女に伝わる、七つ道具だという。残りの六つが気になるところだが、それ以上に気になる点があったので質問を投げかける。


「な、なぜわざわざ女性になる必要がある?」

「情報収集はメイドや貴族令嬢になるのがお決まりでしょう?」

「初耳なのだが」


 どうやら私は女性になるしかないらしい。どうしてこうなった。


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