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物語の都合でざまぁ&処刑されるクズ王子、記憶を取り戻して転生し、魔法学校からやりなおす!  作者: 江本マシメサ
第六章 懇願――使い魔探し

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58/90

クズ王子は、話し合う

 さあ、帰ろうと一歩踏み出したところでふと我に返る。

 転移用のブローチは一方通行で、帰る時は大森林を横切って王城に戻らなければならない。

 サーッと、一気に血の気が引いた。

 カイひとりならば、大森林を突き抜けることは可能だろう。けれども、私を護衛しつつ大森林を脱出するのは困難だ。

 前回はゴッガルドとドロテーアがいたからなんとかなったが……。足手まといにしかならない自分自身が、なんとも恨めしい。


 突然立ち止まった私を、カイは心配そうに覗き込む。


「クリストハルト殿下、どうかなさったのですか?」

「あ、いや、これから大森林を通過して戻ることを考えていたのだ」

「ああ」


 どのように大森林を攻略していこうか。カイと話し合おうとしたところに、メルヴ・イミテーションが挙手する。


『メルヴガ、転移魔法デ、好ナ所ニ、連レテ行ッテアゲルヨ!』 

「転移魔法だと!? 使えるのか?」

『ウン』


 しゃがみ込んでメルヴ・イミテーションに感謝の気持ちを告げる。


「感謝する」

『イエイエ』


 大森林に踏み入れなくてもいいとわかり、ホッと胸をなで下ろす。

 次なる問題はどこに転移するか、である。

 なんでも、一度行ったところならばどこでも行けるらしい。同行者の記憶を元に、座標を定めるのだという。

 王城の私室や、魔法学校の寮はダメだ。きっと、捜索の手が回っているだろう。


「残るは、ゴッガルドのいる保健室か……」


 ただ、彼を巻き込んでいいものなのか、迷ってしまう。

 それに信用していないわけではないが、仮にゴッガルドがフェリクスと繋がりがあったらせっかくの計画が台無しになる。


「カイ、何かいい案があるか?」

「そうですね。魔女ドロテーアの工房を訪ねるのはいかがでしょうか?」


 なんでも、前回カイが街へ赴いたときに、ドロテーアに声をかけられて工房に招待されたらしい。


「なんの用事だったんだ?」

「少し、その、私が珍しい血筋でして、血を分けてくれないかと、言われまして」

「魔女ドロテーアめ。カイを素材扱いするなんて……!」


 それなりの金を積んだようだが、カイは断ったらしい。


「なんと言いますか、私の血が欲しいと興奮したように語っておられて、少し怖くなりまして」

「まあ、気持ちはわかる」


 国家専属魔女である彼女だが、国と深い繋がりがないことは前回会ったときに聞いた。

 また、ドロテーアが魔法を使う素材集めに熱心だということもわかっているので、それなりの報酬を出したら味方になってくれるのではないか、と期待できる。


「クリストハルト殿下、私の血も、交渉にお使いください」

「いや、お前の血はドロテーアに渡さない。その代わりと言ってはなんだが、こんなことがあろうかと、いろいろ持ってきていたのだ」


 前回、ドロテーアが所持していた異空間に繋がる小さな鞄を指輪と交換したのだ。


「指輪というのは、いつもクリストハルト殿下が嵌めていた、金色の指輪ですか?」

「そうだが」

「あれは、王家の紋章入りの、貴重な品なのではないのですか?」

「まあ、そうだが、鞄がどうしても欲しかったのだ」


 ちなみに、王家の紋章が入った指輪は転売できない。ドロテーアは融かして魔法の素材に使うと話していた。

 そんなことはさておいて。

 ベルトに付けていた鞄を手に取り、ひっくり返して中に入っていたものをカイに見せる。

 そこには金貨に銀貨、宝石や短剣、装身具の数々に金塊、銀細工に珍しい魔法巻物などなど、これまで贈られてきた金銀財宝を宝物庫から持ち出して鞄の中に移していたのだ。


「これは、私の全財産だな」


 これらがあれば、しばらく生活に困らないだろう。

 ドロテーアが魔法の素材に欲しいと望む品もあるはずだ。


 ただ問題は、国王陛下のほうが先に彼女へ依頼している可能性があること。


「その辺、カイはどう思う?」

「そうですね。魔女ドロテーアは聖獣の件でも最後のほうに頼っていたようなので、そこまで重用しているようには感じませんでした」

「たしかに、そうだな」


 行動を起こすならば、なるべく早いほうがいいだろう。

 他に頼れるような人物も思いつかない。


「よし、では、魔女ドロテーアのもとへ行こう。メルヴ・イミテーション、頼めるか?」

『ワカッタ!』


 メルヴ・イミテーションはジタバタと手足を動かし、何やらもごもごと呪文を唱える。

 足元に魔法陣が現れ、身体が僅かに浮いた。

 ふよふよと浮上するメルヴ・イミテーションを脇に抱き、カイに手を伸ばす。


「カイ!」


 差し出した手を、カイは握り返してくれた。

 景色がくるんと回転し、目の前が真っ暗になる。


「うわー!」

『ワー!』

「――っ!」


 バタン! と大きな音を立てて落ちるように着地した場所は、地下の実験室だった。


「――は!?」


 杖を手にしたドロテーアが、信じがたいと言わんばかりの表情で私達を見下ろす。 

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