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物語の都合でざまぁ&処刑されるクズ王子、記憶を取り戻して転生し、魔法学校からやりなおす!  作者: 江本マシメサ
第三章 危機――原因はなんなのか

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クズ王子は、新たな作戦を思いつく

 西方国境への視察はすでに国王陛下と話し合って決めていた。私が思いついたことなので、きちんと現地の様子を確認したかったのだ。

 そのついでと言ったらなんだが、腕が立ちそうな獣人に声をかけて交渉してみたい。


「でしたら、私も同行させてください。本当に腕が立つかどうか、確認もできますし」

「いや、元よりカイは連れて行く予定だ。私よりも、人の内面を見る才能もあるからな」

「そうだったのですね。その、もったいないお言葉、痛み入ります」


 明日より、支援物資と資材などが西方国境に運ばれるという。しばらくは現場も混乱することが想定されるので、視察は早くても一ヶ月後だと言われていた。


「その間、どうするか」

「魔技巧品で、対策を行うのはいかがでしょうか?」

「たとえば?」

「影縫いの魔法は、光属性の魔技巧品を装着していたら防げるはずです」

「ああ、なるほど」


 光属性の魔技巧品には、影を作らない効果がある。そもそも影がなければ、影縫いの魔法は無効化にできるだろう。


「あとは、室内で戦うための武器が必要ですね」


 ナイフや片手剣だと、オーガ相手に致命的なダメージを与えられない。


「ダンスホールのような広い部屋を、クリストハルト殿下の執務室にするとか?」

「やめろ。無意味に広いだけの部屋では、集中できない」


 執務室が狭いのは広い部屋だと散漫になり、作業が進まない。それに、広い部屋では多勢に無勢となる可能性もある。


「毒を塗ったナイフを用意するのはどうだ?」

「なるほど。オーガは亜人なので、人間の毒も効果があるかもしれませんね」

「そうだな」


 毒の調達はどうしようか。

 そう考えたとき、思い浮かんだのはルイーズだった。

 私を見事に毒殺した、安定安心、確かな実績を持っている。

 自らの唇に毒を塗り、口移しで与えるという見事な手腕を見せてくれた。

 思い出したくもない、忌々しい記憶である。


「ルイーズ嬢はどのようにして、毒を入手したのでしょうか?」

「わからん。ただ、実家が国内有数の大商人だから、毒を扱う商人と顔見知りである可能性が高い」

「そういうわけでしたか」


 せっかく惑わし眼鏡で遠ざけることに成功したのに、再び接触しなければならない状況に陥るとは……。


「あれには、できれば頼りたくないな」


 ただ、個人的に殺傷力のある毒を入手するのは難しいだろう。

 下手に調査して、私が猛毒を探しているという噂が出回るのもよくない。


「薬学の本を調べて、毒草を探してみましょうか?」

「いや、止めておいたほうがいい。毒は素人に操れるものではないのだ」


 となれば、やはりルイーズに頼る他ないだろう。

 まったく、これっぽっちも気が進まないが……。


「男爵令嬢と接触を取るとしたら、どのような条件を出せばよいものか」

「金では動かないだろうな」


 なんせ、金だけは無駄に持っている裕福な一族である。彼女が金を使って欲するものはないだろう。


「金を使っても手に入らないものがいい」

「だとしたら、人脈などでしょうか?」

「そうだな。それは、喉から手が出るほど欲しているかもしれない」


 父親は一代限りの男爵。婿を迎えたとしても、ルイーズの子は爵位を継げない。

 そのため、爵位を持つ者との縁を強く望んでいるはずだ。

 もしも、ルイーズを私の恋人にすると話を持ちかけたら、彼女は喜んで毒を提供してくれるだろう。けれども――。


「私は、もう二度とルイーズと関係を持ちたくない」


 校内にあるサロンや紳士クラブで、社交界にも影響があるような集まりが存在すると耳にした覚えがある。そこに所属でもしていたら、ルイーズへの交渉材料になったのに。


「そういえば私、黒薔薇会の茶会の招待を受けておりました」

「黒薔薇会だと!?」


 黒薔薇会――それは男子寮の寮長でもあるラファエル・フォン・グロースクロイツを中心とする、貴族の嫡男も多く在籍している高貴な紳士クラブだという噂だ。

 

 社交界への影響も強く、そこで流行った遊戯盤が貴族の間で大人気となり、入手困難となった話はあまりにも有名である。 


「それにしても、あの男はなぜカイを黒薔薇会の茶会に誘った?」

「私の実家の事業に興味があるとおっしゃっていました。よく知らないと言っても、それでもいいから参加してほしいと」

「そうか」


 ひとりくらいならば、同行者を誘っていいと言われていたようだ。

 黒薔薇会に女性の会員はいない。別に女性禁制というわけではないものの、紳士クラブのある棟は男ばかり出入りしているため、女性は近づきたがらないのだ。

 男好きなルイーズだ。もしも誘ったら、喜んで付いてくるだろう。


「私がルイーズ嬢と交渉してみましょうか?」

「うーむ」


 心配なのは、ルイーズが毒の取り引きについて口外しないか。その辺の信頼は、まったくない。


「魔法の契約を交わすのはいかがでしょう?」


 契約について口外したら、命を落とす。これくらいの強い契約を立てておいたほうが安心である。


「わかった。それでいこう。毒の用途は、人型の魔物退治用とでも言っておけ」

「かしこまりました」


 ルイーズへの接触は、カイに任せる。油断ならない相手であることを、噛んで含めるように伝えた。


「茶会当日は、私がお前の従者に変装して同行しよう」

「よろしいのですか?」

「ああ。寮長様の目論見も気になるしな」


 そんなわけで、ルイーズと取り引きをして強力な毒を得た上に、黒薔薇会へ潜入するという計画を立てた。


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