117. <支援者たち>
1.
歪に捩れ、断面を鋭利に尖らせた草に皮膚を切られないよう、慎重に進む。
しゃがんで、というより匍匐前進に近い姿勢で、黒い森を保護色とした<暗殺者>は小走りで進む。
彼女は<追跡者>でもなければ<狩人>でもない。
この森に一人残った<古来種>の痕跡を辿るには、戦いと争いの址を探して歩くしかなかった。
そして、目の前には無残に崩壊した簡素な城壁がある。
かつて大規模戦闘において、雲霞のように押し寄せる<灰斑犬鬼>や不死者の群れに果敢に挑んだ<冒険者>たちが拠った、小さな砦。
そこは今、やすやすと<灰斑犬鬼>とおぞましい蔓草の浸入を許し、朽ちた姿で<暗殺者>の前に立っていた。
(四つ目の砦……も、ダメか)
ため息を吐き、彼女はそろそろと体を後ろへと後ずさらせた。
勿論、タクフェルの情報を手に入れているユウには、この砦が、森の奥で待っているはずのレイドボスである<蝕地王>の封印をかねていることを知っている。
砦が陥落する度に、<蝕地王>が力を回復していくことも承知の上だ。
だが、クエストが始まってしまった以上、砦は絶え間ない攻撃に晒され続けることになる。
仮にユウが砦のボス――おそらく<灰斑犬鬼の族長>を倒したとしても、
たった一人のユウに砦を守ることなど出来ようはずも無い。
だから、ユウはあっさりと砦の奪回を諦め、次の目的に移行していた。
即ち、<緑衣の男>の捜索と合流だ。
ユウがこの<深き黒森のシャーウッド>から脱出して、そして再突入するまでおおよそ半日。
可能性は高くないものの、あの恐るべきボス二体を彼が撒けたとすれば、まだ生存を信じていてもよい時間だった。
<森の射手>という職業は、他の多くの<古来種>同様、彼固有の職業だ。
<緑衣の男>とタクフェルの話を総合する限り、この職業は<暗殺者>や<盗剣士>から弓に関する能力と特技を選別した、かなり攻撃的かつ速度重視の構成であるようだ。
また、ユウが見たところ、<蠢きもがく死>――元は<古来種>の<施療神官>だったモンスター――も屍竜も、それほど動きの早いモンスターではない。
<緑衣の男>が殲滅ではなく、生存を目的として戦えば、逃げ切れない相手ではないとユウは見ていた。
一方で、<蠢きもがく死>や<屍竜>が黒い泉を越えてユウたちを追いかけなかったことも気にかかる。
泉は広く、<屍竜>の全身すら容易に沈めてしまうほどだ。
彼らが追いかけなかったのではなく、追いかけられなかったのだとすれば。
(この世界は死体が残らないからなぁ……)
せめて血や死体、あるいは遺留品でも残っていれば、<緑衣の男>の生死だけでもわかるのだが。
うんざりと、そう埒も無い思考に足を突っ込みつつ、ユウは何度目か分からないほどの撤退を開始していた。
次の砦へ。
無数の<灰斑犬鬼>が、熱心な衛兵のように巡回する中、ユウは音もなく闇に溶けて消えた。
2.
「今日は議会の日ではなかったはずだが? ルシウス」
「ふん」
議場に着くや否や、さっそく皮肉げな視線を向けた同僚に、ルシウスと呼ばれた男は鼻を鳴らしただけで応じた。
その木で鼻をくくったような態度に、一瞬アルバの額に青筋が浮かぶ。
「……まあいい。 さぞ興味深い話なんだろうね」
言外に、いい話でなければ引きずり落としてやるという意識をこめ、アルバは自分の席に座った。
小さな部屋だ。
中央には、やや大振りな円卓が置かれており、6つの椅子が置かれていた。
アルバが座った時点で、そこには1つを除いて4人のエルフが座っている。
アルバ自身を含め、空席の1人を除く3名は<冒険者>のエルフだ。
この<妖精王の都>に秩序をもたらした、4つのギルドの首領達だった。
残る2つの席には現在、2人の<大地人>エルフが座っている。
プラークリーにある2つの巨大な<大地人>勢力、即ち貴族による元老院の議長と、
神殿高司祭だ。
この場にいない1人を含む、この6人が、現在の<妖精王の都>を統括する政府なのだった。
「<シードラゴンズ>のマナナン総長がおいでにならないが」
「先ほど欠席の連絡があった。コノート伯との折衝が終わりそうにないとのことだ」
誰かの報告に、あちこちから忍び笑いがもれた。
その声は、決して好意的なものではない。
「<海流王>も今度は手に負えかねておられる」
嘲りの対象を目の前のルシウスから今いない別の同僚に変えたアルバの言葉が、
この一座を漂う冷え冷えとした空気を端的に表していた。
元はそれぞれのギルドは、決して敵対的な間柄ではなかった。
同じ街を本拠地としていることもあって、人材や資源のやり取りはむしろ活発だったのだ。
だが、<大災害>とその後の秩序再構築において、4ギルドがいち早く折り合ったことが裏目に出た。
表立って対立することはないものの、現在ではその関係は冷戦期の米ソか、
あるいはイスラエルとアラブ諸国のそれに匹敵するだろう。
当然、活気があるのは一面だけだ。
はみ出し者や弱者が表立って消えた途端
彼らは共通して対立すべき『敵』を見失ったのだった。
悪意を顔に押し出した<冒険者>たちを恐る恐る見回し、
元老院議長たる壮年のエルフが口を開いた。
<大地人>である彼は、いずれの<冒険者>とも距離を置いている。
このエルフたちの会議において、いつのまにか司会進行役を担うようになっていた。
「え~、……おほん。では臨時の評議会をはじめる。
ルシウス卿、提案をお聞かせ願う」
「では」
立ち上がったのは、アルバよりややたくましいエルフだ。
銀髪をショートカットにした頭の下には、アルバと同様かそれ以上に贅を凝らしたローブが翻っている。
「さて先日。この<妖精王の都>に一人のソロプレイヤーが来た。
……そこなるアルバ卿を頼ってはるばる来たようだが、寛大にもアルバ卿は話を聞くだけ聞いて追い出したという。
すばらしい寛容の精神の発露と感嘆することしきりであった」
歌うような節回しのルシウスに、アルバが斬りつけそうな顔で睨む。
だが、涼しい顔で彼はそれを受け流すと、不審そうな一座を見回した。
「アルバ卿にお任せしようかと思ったが、その者は今度は私のところに来た。
あいにく、私はアルバ卿ほど弱者に優しくはない。
ギルドの一人に相手をさせたが、ずいぶん面白いことを話してくれた。
もちろんそなたは聞かれただろうね? アルバ卿」
「……そのものは私に悪意を持って来り、狼藉を働こうとした。
ために追い出し、治安維持のため手配した。
ルシウス卿、あなたはそのような犯罪者を匿っているのか?」
「おや? 私の聞いた話と違うようだが。 彼は話し終わった瞬間、罵られて有無を言わさず
君の<ソードプリンセス>に窓から放り出されたと聞いたぞ?」
「強盗の嘘に決まっているだろう! この評議会の議員、街のために骨を折り続けた私と
さっさと街を見捨てて逃げた挙句、都合のいいときだけ戻ってきた輩と、
諸氏はどちらを信じるというのだ!?」
ついに怒鳴ったアルバを、わが意を得たりとばかりにルシウスが片眉を上げた。
「おや? 『都合のいいときだけ戻ってきた』?
先ほど、アルバ卿は『悪意を持ってきた』といったが?
自分を襲いに来たことのどこが『都合がいい』のかね? 後学のために知りたいね、ぜひ」
絶句したアルバの斜め向かいから、別の声が響く。
耳に心地よいその声は、この場の3ギルドマスターの最後の一人、
エルフの<森呪使い>、スカサハだ。
「ルシウス卿に同感ね。 アルバ卿、あなたの言葉は実に面白いわ」
黒髪を結い上げ、毒々しいほどに赤い唇を半円形に吊り上げたスカサハの言葉に絶句したアルバが周りを見回す。
だが、ルシウスとスカサハは明らかな侮蔑をこめて見返し、
残る<大地人>二人は顔をうつむかせ、目を合わせようとしない。
このエルフたちの会議で孤立無援。
そう悟ったアルバは、内心のプライドがひび割れたことに激怒しながらも、やむなく着席した。
「……失礼。ちと昨日ギルドで会議があってね。少し記憶を取り違えたようだ。
ルシウス卿、話を押しとどめて申し訳ない」
「それはそれは。徹夜もほどほどになさっては? いくら<冒険者>といっても、
われわれは体力のある人間や狼牙族ではなく、エルフなのだから。
……さて」
嫌味を言い終えて満足げに、ルシウスはロバートから聞いたことを披露した。
「それなるアルバ卿はすでに御存知のことだが、先日、わがアルスター騎士剣同盟の一角、
かつてのコーンウォールでレイドクエストが発生した。
クエスト名は<蝕地王の侵攻>といえば、ぴんと来る者もいるだろう」
「あの、変な日本人とモンスターごっこどもに出し抜かれたクエストね」
過去を思い出したのか、スカサハの顔が一瞬歪む。
ひとつ頷き、ルシウスはむしろ淡々と語りだした。
「議長殿と高司祭殿にとってはずいぶん前の話だと思うが、
<蝕地王>は六つの砦によって封印されたはずだった。
あのクエストに参加した<古来種>が、ソロプレイヤーの話ではまだ生存していたという」
「……おお」
<大地人>エルフの二人から嘆声が漏れる。
<古来種>に対する彼ら<大地人>の崇敬の念は、さながら聖人崇拝に等しい。
フン、とそんな二人を無感動に眺めやったルシウスは、何も聞こえなかったかのように話を続けた。
「自然に封印が緩んだのか、誰かが解いたのかは知らないが、ともかく<蝕地王>は蘇った。
証拠にそのプレイヤーは、<蝕地王>の重臣である三つのボスのうち、二つまでに遭遇したという。
彼の願いは、この<妖精王の都>に、討伐の手伝いをしてほしいということだった」
「……それは聞いた。だが、数百人のこの都の<冒険者>が、なぜそんなことをしなければならん。
死んだ者は元の世界の記憶をなくすという。
そんなリスクを負ってまで、なぜ海峡の向こうまで遠征しなければならない?」
強い口調で反論したのは、またしてもアルバだった。
押し黙ったルシウスを一瞥し、なおも言い募る。
「あの<五月の異変>以来、われわれは団結して<妖精王の都>のために努力していた。
噂に聞く<ビッグアップル>や<サウスエンジェル>のような無法地帯にさせないためにな。
いまや、そちらの元老院議長閣下や高司祭閣下もご存知のように、
われわれはこの<妖精王の都>で、<冒険者>も<大地人>も区別なく暮らしている。
すべてはわれわれの安全のため、この街のため、人々のためだ。
確かにレイド報酬は魅力的だ。
だが、あるかどうかもわからぬ流れ者の言葉に従って、私は私のギルドの者たちに
死んで来いとは言えぬ」
「確かにそうだ。すばらしい。ギルドマスターとしてかくあるべきであろう」
ぱちぱちと乾いた手をたたくルシウスと、黙ったアルバがにらみ合う。
やがて、手を下ろしたルシウスが、にやりと笑ったまま言った。
「だが……アルバ卿は肝心のことを仰っておられないようだ。
これではいささか我々の信頼を損ねるものと言わざるを得ないな。
……私は、この遠征には参加すべきと考える」
「なぜ?」
間髪入れず帰ってきたスカサハの問いかけに、ルシウスはちらりと二人の<冒険者>エルフを見やり、
もったいぶった調子で言った。
「ソロプレイヤーの彼――ロバート君とともに戦い、今は<深き黒森のシャーウッド>を探索している仲間は、ヤマトから来た<毒使い>だそうだ。
そのレベルは――94」
◇
(やはり、知らなかったらしい)
目を見開いて固まるアルバを見て、心の中でルシウスはほくそ笑んだ。
この忌々しい気取り屋をやり込めるために、もう一つ二つ皮肉を言ってやりたい気持ちを抑える。
どうせこれまでのやり取りで、アルバは十分にやっつけた。
これ以上追い詰めて、アルバが街に内乱を起こしでもしたら元も子もない。
<大災害>以来、アルバの人格には唾棄したいほどの軽蔑しか抱いていないルシウスだったが、
アルバが握る<レンスター同盟>の総合戦力はいまだに強大なのだ。
気を取り直し、ルシウスは見栄を張るときにだけ掛ける、<知識の片眼鏡>をおもむろに着けた。
「アルバ卿もスカサハ卿も、<ノウアスフィアの開墾>の実装が
この世界への漂流のきっかけになったことは承知のことと思う。
時間帯から類推して、<異変>の発動時間が日本サーバにおける<開墾>の実装とほぼ同時と思われることもね。
ウェブでも推測されていたとおり、数年間維持された90レベルというレベルキャップが開放されるであろうことも、二人には聞き及んでいるところだろう。
……その、ヤマトから94レベルの<毒使い>が来ている。しかも、<蝕地王の侵攻>クエストに、だ。
これは、何らかの推測をせねばならぬ案件だと思われる」
「どういうこと?」
スカサハの疑問に、無知な生徒に教える教授のように、ルシウスは席を立ち、
手にした小さな紙を指揮棒代わりにくるくると丸めて歩き出した。
「まず、前提を言おう。
弧状列島ヤマト――日本サーバには<ノウアスフィアの開墾>が適用されていると思われる。これが一。
そこから、呪薬の製造が可能なスキルを持ち、単独での戦闘力もある<毒使い>が来た。
これが二だ。
より広範な呪薬を調合できる<調合師>という職業もあるが、彼らの多くは生産系であり、
地球の反対側まで行って帰還できるほどの能力を持つものは少ないだろう。
さて、<蝕地王の侵攻>クエストの概要を思い出してほしい。
飲み込まれた<古来種>が、毒属性モンスター、<蠢きもがく死>として生まれ変わったことでもわかるとおり、あのクエストは毒属性の敵が多く現れる。
<蝕地王>自身にしてからが、毒属性モンスターだ。
当然、討伐すれば幻想級を含む多くの毒や素材、アイテムが手に入る」
「……それは」
「ここまでくれば二人には分かるだろう。
<異変>が起きて一年。すでにある程度の秩序を回復した地域は多い。
中でも、災害に慣れた日本人ならば、いち早く秩序を回復していることだろう。
そこから毒に特化したクエストに、<毒使い>が派遣された。
少なくとも、調査のために来た。
ならば、何かしらの目的があると考えても無理はない」
実際、ロバートがギルドの下っ端を通じてルシウスの耳に吹き込んだのは、
『ヤマトの<毒使い>がやってきた』
『その<毒使い>のレベルは94だ』
この二つだけだ。
だが、ルシウスはヤマトにおけるユウが何者なのかも、どのように北欧サーバまで来たかも知らない。
そのため、実際には偶然に過ぎないユウの来訪に、彼は意味を見出していた。
「その<毒使い>はヤマトから特命を受けて派遣された一人なのではないか?
無論、その命令とは<蝕地王の侵攻>を調査し、可能であればクエストを起こし、
そして報酬を手に入れて戻ることだ。
94レベルの日本人<冒険者>の噂がこの<妖精王の都>はおろか、セブンヒルやロンデニオンなどでも聞かれていないことも説明がつく。
どこかのプレイヤータウンに入ってしまっては、帰還が難しくなるからな。
ならば。
その<毒使い>と交渉すれば、少なく見積もっても既存の毒をはるかに越える毒や薬が手に入るのではないか」
「それだけではないわね」
いつのまにか机に肘を置いて補足したのはスカサハだ。
彼女は、どこかうっとりとした目で空中を見ながら囁く。
「過去のレベルキャップ開放のとき、そのままレベルが上がるケースもあったけど、
特定のクエストをクリアしなければならないもの、あるいは……特定のアイテムや呪薬を使わなければならないものもあったわ。
もし、そうであるならば。
そして、日本人がわざわざ英国まで素材を探しに来る必要があるとすれば。
それは……日本で大いに需要がある薬のためじゃないかしら。つまり……」
「レベルキャップ開放用の呪薬、ということか?」
アルバの返事に、気だるそうに頷いて、スカサハは手元からポーチを取り出し、
中のタバコを引っ張り出すと口に銜えた。
カチン、と火打石から火花が飛び、しばらくしてどこか退廃的な甘い煙が空中に放たれる。
その煙に包まれるように、スカサハは呟いた。
「その<毒使い>がどういう意図かは分からないけれど、そうした情報を持っている可能性がある。
それだけでも、私たちが遠征に参加する意味はあるわね」
「そういうことだ」
一言付け加えると、ルシウスは底意地の悪い笑みをアルバに向けた。
「まあ、そうした情報でね。 今彼は、私のギルドで歓待されているよ。
無論、勝手ながら彼の指名手配も私のほうで取り下げさせておいた。
どう少なく見積もっても、彼はわが<妖精王の都>の恩人になりそうだったからね」
「……そういうことなら、私に否やは」
「それに」
アルバの声をさえぎり、ルシウスは高らかに言った。
「場合によっては現在のバランスを崩しかねない情報だ。我々<冒険者>と<大地人>、
そして<冒険者>同士でも信頼に基づき、緊密に連携して対処しなければならない。
この<妖精王の都>を空にすることはできないからね。
4ギルド――マナナン卿はおいておいても3ギルドのマスターのうち、少なくとも一人は
街に残って治安の維持と施政に専念しなければならない。
重要だが、謎に包まれた<ノウアスフィアの開墾>に迫る遠征に比べれば、
名誉においては対等でも、冒険心においてはいささか見劣りせざるを得ない。
スカサハ卿もアルバ卿もわが友人、お二人に任せて私が残ろうかと思ったが、
なんとアルバ卿は英断を下してくださった」
「……おい」
ついに、貴族じみた物腰すら捨てて睨みあげたアルバを、
心底うれしそうに、内実にはありったけの嘲弄をこめて、ルシウスは褒めちぎった。
「あえて興味のない振りをし、<レンスター同盟>とともに<妖精王の都>を守る任務についてくださるとは。
しかもロバート君を叩き出すという行動で、我々の中にあった一抹の不安や疑念も払拭くださった。
確かに、無法なソロプレイヤーを排除するという行動は、この街の基本理念でしたからな。
それを強調することで、『この街は私が守る』『安心せよ』と無言のエールを送ってくださっているのですね。
ありがたい。
それらをあくまで暗黙のうちに、偽悪の衣に包んでなさることに感涙を禁じえない」
無論のこと、すべては慇懃のマントをかぶせただけの罵倒だ。
『情報を全部吐かせず、簡単に追い出したお前は間抜けだ』
と言葉を変えて言っているに過ぎない。
<大地人>二人がその言葉を真に受けて、感謝の目を向けているのも滑稽極まりなかった。
これでアルバは動けない。
自分とスカサハが不在時の<妖精王の都>の動向については、残した幹部によくよく因果を含めれば
裏切ることはないだろう。
あとはクエストの最中にスカサハと一党をしとめれば問題ない。
会議が自分の思い通りに進んだことに喜び、ルシウスは決然とした表情を装って、黙る5人を見渡した。




