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残念な魔女見習い ~火傷痕コンプレックスからの魔法成り上がり~  作者: かず@神戸トア
初級冒険者サラ

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宿屋変更

先日はたまにしか泊まらないからと落ち着いた宿を選んでいたが、毎晩泊まることにするならば、費用面から少し質を落とした宿に変更することにした。


裏道の日当たりが良くない立地になる、食事は出ずに共同の調理場だけになる、体を拭くためのお湯が有料になる等の条件悪化である。

もちろん、単に狩った魔物の素材等を売却するだけのその日暮らしであれば、もっと質の高い宿に泊まることは可能である。サラの回復魔法や魔法回復薬があり、他の冒険者よりも支出が少ないこともある。ただ、良い武器・防具に買い換えるにしても、上位の技術の講義を受けるにも、先立つものは必要であるとの考えからである。


そのため、まずは確保した宿に野営道具類を置き、ハリーは料理道具と野菜系を調達に、リリーは消耗品で苦労した矢じりや矢柄(やがら)などを仕入れに出かける。

サラは魔術師委員会に赴き、魔法によるお湯の入手方法を相談する。火魔法と水魔法の複合魔法で中級の≪熱湯≫があることを聞きつつ、それはまだ先が見えないため、火魔法初級の≪火球≫で温めることにする。講義費用を支払い、≪火球≫の魔術語「ignis(イグニス)-sphera(スペエラ)」と、使い方の初歩までを教わる。当然、すぐに攻撃に使えるほどではなく、宿で冷めたお湯の温度を少し温めなおす程度から訓練をはじめる。

また、水魔法の中級に攻撃力が向上する≪氷刃≫や汚れを落とす≪洗浄≫があることを再確認し、少し先の習熟目標として定める。


その晩は格の下がった宿屋で、3人はハリーの料理を食べたが、昨日からの簡易な食事に比べて暖かい美味しいものであり、少しホッとして涙が出かけた。

その後は、昨夜は雑になった武器の手入れだけでなく、ローブやブーツの手入れなども行い、湯あみにはならないが宿から購入したお湯で体を拭うことにした。覚えたての小さな≪火球≫でときどきお湯を温めなおしながら。

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