ロージアン南西地域
全員≪夜目≫をしながら≪飛翔≫して、山間の城壁の上空をこっそり乗り越え、さらにその先に飛んでいく。
しばらくは山に挟まれた道と呼べば良いのかとりあえずの平地が続いていたが、その先は森もあれば平野もある広大な大地が広がっていた。さらに進めば、人型魔物たちの村であるのか所々に灯りのある集落、村が点在しているようにも見えた。
そして、一番手前である、山間の開けた直ぐのところには巨大な陣地が築かれていた。そこには数えきれないほどのかがり火もあり、魔物の氾濫というよりは完全に軍隊として統率の取れた動きをする国家レベルの存在があることに気づかされる。
アルメルス神国は、この辺境の魔物の国と「戦争」をしているのではないのかと。
サラたちはその情報をどう活かせば良いのか分からないため、まずはロージアンの拠点に≪転移≫で帰り皆と共有した後、首都ダラムにいる使節団と王都ワーズにいる宰相たちに目で見た情報を報告しておく。
翌日は、トリストフとカロルが分かれて、トリストフを中心としたメンバが屋敷の調達に、カロルを中心としたメンバは情報収集のために城壁に登って魔物退治の協力を申し出に向かう。
屋敷そのものは何軒か見てまわった結果でそれなりの物を購入することができたので、他の街での屋敷と同様に、屋敷の維持のための犯罪奴隷の女性2人も雇用する。新しい屋敷の≪洗浄≫などはサラも手伝うが、食材の買い出しや皆のための料理はハリーがその2人と共に行うことになった。
そして、その夜に互いの情報交換を新しい屋敷で行う。
「城壁に登ってみたのですが、今日は魔物の襲撃が無く、冒険者たちも暇をしていたので色々と聞けました。先日魔物の大軍を撃退するまでは、ほぼ毎日襲撃があったようです。今は退却したので様子見をしているだけであろうと。また、魔物たちはやはり統制を取る者が居るのではないかと思われているようです。ただ、気になったのは、どの冒険者に話を聞いても、完全に至高教団の信徒になっているような感じであることです。通常、冒険者ならば戦況が悪ければ逃げ出すことも、と思っていましたが、ここで神国のために命を捨てる、骨をうずめると全員が言い、稼いだ金で首都に帰るというどころか、ほとんどを教団に寄付しているというのです」




