現地調達
午後も順調に狩りを続け、ゴブリン以外にオークや狼などを倒し、食材も確保できた。
サラはときどき薬草を見かけたが、調合道具もないため場所だけ記録して採取は諦めた。
自分たちだけの野営ははじめてであり、少し早めに野営準備を行う。昼食時にも使用した小川近くの少し開けたところで、焚火の準備をする。
ハリーが訓練中の料理技能を使って、肉の切り分けと味付けを行ったので、3人とも余りに不満な晩御飯にはならずに済んだ。
「思ったより美味しかったわ」
「普通に美味しいと言えよ。サラはどうだ?」
「美味しかった」
「それより、思ったよりも矢の消耗が激しいのに困ったわ」
「それよりって・・・そうだな、前の時は弓士のアルクさんは矢じり以外の部分の消耗が多いから、棒と羽根は現地調達していたな」
「棒は矢柄ね。じゃあ私たちも鳥などと材料になりそうな木を見かけたら現地調達にしましょうか」
各々、片手剣や短剣などの手入れも行いつつ、他に現地調達が必要そうなものを相談する。
「俺は、料理に添える香草が欲しい」
「私は矢の材料ね」
「特にない」
魔法回復薬を現時点では消耗していないことと、補充するにも薬研等の調合道具が無いためである。もっと魔法を習熟すればこれらの道具が無くても調合できるのだが。
並行してハリーは、晩に食べきれなかった肉を軽く塩漬けして燻製にして簡易保存食にしておいた。
ハリーとリリーの≪水生成≫訓練も、微々たるものだが生成する数量が増えてきていることを確認し、見張り交代に入る。
交代見張りの折、サラは風魔法≪そよ風≫の延長≪集音≫を訓練する。これは遠くの人の話し声を聞くだけでなく、周囲の広範囲の音を拾うことで周囲警戒にも使用できる。
ハリーとリリーは、さらに上達してきたサラの気配察知ほどではないが、狩りを続けて来たことにより習熟してきた気配察知を訓練して交代時間を消費した。




