密航船襲撃2
神聖騎士団の裏部隊の隊長ジルベーレ・フィアーノが再び声をあげる。
「乗務員の命を助けて貰い、かたじけない。では、我々は死力を尽くして使命を果たそう。ドラセム卿、覚悟!」
ジルベーレを囲むように残り5人がショートソードとラウンドシールドを構えたなかで、ジルベーレが天使を≪召喚≫する。
「天使アキベカ様、我ら至高教団の敵であり、悪魔の力も用いるあの銀髪女の退治をご支援ください」
密航船での逃亡は無くなったこともあり、海ではなく陸の上を飛行していたサラの方へ向かってくる天使アキベカ。
使用してくる魔法は≪火槍≫と上級ではあったが、サラたちに比べて圧倒的に少ない魔法の使い手の数であり、≪結界≫を使用するまでもなく≪氷壁≫などで簡単に防御が可能であった。
こちらが数十人に対して相手が6人と天使1体程度であり、騎士が剣や槍を用いて接近戦をするわけに行かず、どうしても魔法や弓矢の遠隔攻撃を選択することになる。さらに、魔法使いと精霊たちが大量に居る包囲陣であるので、弓矢ではなく魔法が主にならざるをえない。また、火と水など相反する属性の魔法が相殺してしまうことも回避しつつ、密航船への類焼を避けるためにはどうしても水系統の魔法が中心になる。
結果として、サラが王級土魔法≪重力≫で6人の動きを封じておきながら、6人の周囲に≪氷壁≫を多重に設置し、その中に≪霧氷≫を発動することで、あっさりと6人が戦闘不能になり、天使アキベカの≪召喚≫も維持できなくなる。
念のために姿を消している悪魔ストラデルたちに≪睡眠≫をかけさせておき、≪氷壁≫を解除したところで、サラの≪睡眠≫付与の短剣で傷つけておく。その上で、武装解除・拘束してから回復魔法で治癒して、奴隷商を呼び寄せ犯罪奴隷の手続きをさせる。
奴隷商と共にラブリニーの衛兵を帰らせた後、サラたちは奴隷にした神聖騎士団の裏部隊と、密航船の船長たちを≪転移≫で王都に連れて行く。密航船の見張りも何人か残しておく。




