タカマーノ邸
タカマーノ邸の応接で待っていたサラたちに、入って来るなり
「ほら、我が自ら来てやったぞ」
という王子に対して
「決闘の景品は決まりましたか?」
とハリーが返す。
「どうしてもミスリル短剣はやるわけにはいかない。代わりの物で許せ」
「その代替品、この2週間で何か思いついたのですか?」
「サラを我の側室に迎えてやる」
「それをお断りしたから決闘になったのですよね?」
「いや、女官などでなくきちんと妻である側室である」
「まったくありがたくありませんのでお断りします」
「なに!?」
「全く同等とまでは全然望みませんので、金品等の代替案は無いのですか?」
「無い。金目の物はミスリル短剣の調達費用に消えた」
「そうまでしてなぜミスリル短剣が必要なんですか?」
「それは・・・」
言いよどむ王子に代わり私が、とタカマーノが説明をはじめる。
アルテーラ王国の王子3人の中で誰を王太子にするか決める選考が控えているとのこと。第2王子は海軍閥の後ろ盾を活かして、最近見た強力なガレー船、五段櫂船の設計図と大工を海賊国家から入手してその力を示したのだという。第1王子は文官たちの後ろ盾を活かして、コルマノン王国にあるというエルフ村から貴重な品を入手しようとしているが上手く行っていないと聞いたらしい。
自分は第3王子で王太子は諦めているが、海軍閥の力をかさにきている第2王子とは合わなく、わがままな自分に対しても面倒見が良い穏健派の第1王子が王太子になることを後押ししたい。
そのため、第2王子のガレー船の成果が目立たないようにするため、ドワーフ村から国宝ともいえるミスリル短剣を入手すれば、後ろ盾の陸軍閥の面子も保てるのではないか、と考えた。第1王子が上手く行っていないことを聞いて慌てて、ダニエーレの私財を処分し陸軍閥からの少なくない協力金も使ってドワーフ村に発注したのだという。期限が明後日のため焦っていて、ドワーフ村にも無理を言っていたとのこと。




