好色令息
サラが宰相に魔導書を返却し、ラブリニーとバッソに魔法陣を設置して帰って来た頃。
宰相から王城への呼び出しがあり、慌てて登城する。
いきなり宰相から、
「しばらく王都から離れていて欲しい」
と言われ戸惑うサラ。
「実は、好色で有名な侯爵令息がドラセム伯爵に目をつけたらしい。侯爵家の立場を利用して、貴族・平民関係なくあちこちの美女・美少女に手を出して問題を起こしている有名な奴だ。嫡男でもないのに、女伯爵の婿になるのではなく嫁に迎えたいと官僚達にも言っている。しかも側室、第4夫人らしい」
「はぁ・・・」
「この父にしてこの子ありという法衣侯爵でもあり、その侯爵家の肩を持つ気は無い。ただ面倒ではあるので、しばらく王都から離れる、できればコルマノン王国からも出ていて貰った方が良いだろう」
「またレーベルク帝国ですか?」
「前の偽海賊船のこともあるし、アルテーラ王国はどうだ?冒険者として出かけたついでに何か情報を入手出来たら褒賞も出そう」
「かしこまりました。準備が出来次第で出立いたします」
サラが出て行くのを見届けると宰相は
「無駄金ばかりかかるバカ法衣侯爵のバカ息子のお陰で、貴重な人材が他国へ逃げ出すなんてありえないからな・・・」
とつぶやく。
帰り道の馬車の中で家宰ローデットに聞くと
「はい、面倒な令息に見込まれているとの情報はありました。ただ、未婚の美少女で強力な魔法使い、さらに伯爵まで急出世。当然ながら、他にもたくさん目をつけられていますので、ご報告いたしておりません。おそらく宰相はその侯爵家に思うところがあり、爵位を下げる降爵もしくは剥奪する奪爵のきっかけにお考えなのでしょう」
との話である。
巻き込まれたくないのでなおさら早く出国することを決意するサラであった。




