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ノワール・ルージュ  作者: 花屋敷
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第56話

 完全休養日の翌日2人は地上で乱獲クエストで軽く身体を動かして夕刻にギルドに戻ってくると換金をしてから併設の酒場に2人で座って打ち合わせをしていた。


「来週くらいに出発しようか。ラウンロイドに行ってそれからリッチモンドを目指す」


 デイブの提案にOKするダン。そして今週は地上メインで身体を動かすことにする。2人ともランクを上げたりポイントを稼ぐ目的であくせく活動をする気はなくてマイペースで活動をしていた。


 打ち合わせが終わって酒場でそのまま雑談をしているとギルドの扉が開いてランスらのパーティメンバーが中に入ってきた。彼らも酒場にいるダンとデイブを見つけて手をあげてくる。そうしてカウンターでカードの記録と換金を終えると酒場にやってきた。


「久しぶり」


 デイブが明るい声で声をかけると、


「久しぶり。レーゲンスから戻ってきたのか」


「少し前にね。そっちはここからラウンロイドまで足を伸ばしてたんだって?」


 2人が座っている隣の空いているテーブルにランスらのパーティ5人が座り思い思いに飲み物を注文する。


「少し前に戻ってきたんだ。それでここヴェルスで疲れをとったらレーゲンスに戻るつもりさ」


 そうしてレーゲンスはどうだった?と聞いてくるランス。デイブがダンジョンをクリアしたことを言い、その場所を言うと、


「そこって難易度が高くて攻略されていないダンジョンだぞ。そこをクリアしたのか?」


 戦士をしているスコットが聞いてきた。そうして聞かれるままにそのダンジョンについて話をする。聞いている5人の表情が途中から変わってきた。


「ランクSやランクSSの複数体でスキル上げをして、最後はSS以上の強さのボスの魔人。それを2人で倒してダンジョンクリアしてきたって。デイブはあっさりと言ってるけどそれって普通じゃないだろう」

 

 スコットに続けて精霊士のジョアンナも


「普通ならランクSの複数体のフロアで詰むわね。おそらく連戦になるだろうしそうなると私もミオも魔力が持たない。ランスら前衛だって体力を回復する時間もないだろうし。中衛の2人だからこそクリアできたとも言える」


「ジョアンナの言う通りだ。ダンはジョブ特性もあるしな。それにしても2人でクリアしちまうとはお前らどんだけ強いんだよ」


 最後は呆れた声で言うランス。そうして向こうの誰かと仲良くなったのかと聞いてきたのでデイブが、


「向こうではトムのパーティの連中と仲がよくなったよ。色々教えてもらった。そうそうランスに教えてもらった宿もよかった。値段はそこそこで飯も美味かった。良い宿を紹介してくれありがとうな」


 ランスは自分の推した宿をよかったと言ってくれたので表情が緩む。そして


「トムのパーティか。そりゃよかった。彼らはレーゲンスでNo.1を張っている。そしてレーゲンスのギルド所属の冒険者のまとめ役もやってるんだ」


 なるほどと頷いていると戦士のボブがニヤリとして


「レーゲンスで誰かに喧嘩を売られたりしたかい?」


 それを聞いてダンとデイブは顔を見合わせると


「2人絡んできたな。同じパーティらしい。1人は名前を言ってたけど誰だっけかな。最近ランクAに上がったとか言ってたが」


「確かジニーとか言ってたな」


 デイブが言いかけて名前を思い出そうとしていると横からダンが言った。その名前を聞いてやっぱりあいつかと声をかわすランスのパーティメンバー。


「ジニーはランクBの時から素行には問題があるんだよ。最近ランクAに上がったとは聞いてたけどランクは上がっても性格は変わってないみたいだな」


「それでぶちのめしたんだろう?」


 ボブの言葉に頷く2人。それ以上は言わないがその2人がどうなったのかはここにいる5人には容易に想像がつく。


「俺が言うのもなんだけど他所からきた冒険者に喧嘩を売ってくる馬鹿がいてすまなかった」


 ランスが謝ってくるがデイブが顔の前で手を振って、


「いやそれは平気だよ。それにここでもいたんだよ。ダンに喧嘩を売ってきたこの街所属の馬鹿が」


「ダンに喧嘩を売ったのかよ」


 デイブの言葉に笑いながら言うランス。デイブも半分笑いながら答える。


「ダンが鍛錬場でぶちのめした。後で聞いた話だと10日程寝込んで動けなかったらしい」


 そりゃそうなるわと周囲が納得する。その後もお互いの近況報告をし、そして話が途切れたところでデイブが


「俺達は来週にラウンロイドに行って、それからリッチモンドに行くつもりなんだ」


「武者修行かい?」


「場所が変わると魔獣も変わるからな。ラウンロイドじゃあ途中まで攻略しているダンジョンもあるし、それのクリアとかあとはあちこち移動して腕を磨こうと思ってさ」


「なるほど、その向上心があるから強くなれるんだな。俺たちは一旦レーゲンスに戻るけどしばらくしたらまた武者修行に出るつもりだ。またどこかで会うかもしれないな」


「そうだな。その時はよろしく」


 そうしてランスらのメンバーと握手をしてダンとデイブはギルドを出てアパートに戻っていった。


 翌日からは地上のクエストを受けながら身体を動かした2人。ワッツとレミーの店、そしてミンの店に行き先を伝えた。2人の女性からは頑張ってねと言われ、ワッツからは


「お前らならまぁどこに行っても問題ないだろう。大陸を廻って腕を磨いて知見を広げるのはいいことだ」


 と背中を押される。その翌日2人はギルドに顔を出してギルマスのプリンストンにも武者修行に行ってくると言う。


「ラウンロイドに行ってそれからリッチモンドか。今回も長くなりそうだな」


 ランクSに最も近い目の前の2人。今回の長旅から帰ってきた時の彼らのポイントの溜まり具合が楽しみだ。話をしながらそう思うギルマス。


「そうだな。まぁ特に期限も決めていないし2人だけだし、長くなっても気楽なもんだよ」


 デイブが言うとダンも続いて


「デイブが言ってるけど特に目的や期限がある訳じゃない、一つは鍛錬だけどもう一つは知らない街に行ってみたいという観光気分でもあるんだよ」


 となりでデイブもそうそうと笑いながら言う。


「お前ら2人ならまぁ何が起こっても対処できるだろう。気をつけて行ってこい。そしてヴェルスに戻ってきたらまた顔をだしてくれ」


 そうして必要な挨拶を終えた2人はギルドを出るとその足で城門から外にでて北にあるラウンロイドに向かう街道を歩き出した。



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