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ノワール・ルージュ  作者: 花屋敷
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第34話

 スコットの言葉にありがとう、そうするよと言ってギルドを出たデイブ。

 デイブがギルドを出ると残った5人が顔を見合わせて


「2人組でランクAになってる。2人とも相当強いってことだよな」


 デイブとのやりとりを黙って聞いていたボブが口を開いた。


「そうなるわね。普通なら2人組だとあの歳でランクAになれないでしょ?ポイントが貯まらないんだもの」


 ジョアンナが言うとそうだよなと頷く他のメンバー。


「その通りだ。あの2人は滅茶苦茶強いぞ」


 そう言ってレーゲンスから来た5人組にスミスが声をかけてきた。隣にはミゲルや他のメンバーも座っていた。


「隣に座ってたらデイブとのやりとりが聞こえてきてたんでな。昨日ここに来たんだって?」


 そう言って自己紹介をするミゲルらのパーティ。お互いの自己紹介が終わると


「今そこに座っていたデイブ、あいつは赤魔道士だ。そして今日はいないがダンという暗黒剣士がいる。この2人でペアを組んで活動しているんだが2人とも半端なく強いぞ。ランクAになったのは最近だが実力は以前からランクAクラスだと言われている」


 スミスが言うとその後をミゲルが続けた。


「あいつらは2人組だ。護衛クエストを受けることができない。それでもポイントを貯めてランクAになっている。それがどういうことかわかるだろう?」


 護衛クエストができないと聞いて納得すると同時にポイントの高い護衛クエストを一切せずにギルドポイントを貯めてランクAになっている。つまり2人でポイントの高い格上の魔獣を倒しまくっているということだと理解する5人。


 ミゲルの言葉を理解した彼らがなるほどと言い、


「それほどなのか?」


「あいつらはランクCの時に2人でダンジョンをクリアしてる。そのダンジョンのボスはランクAクラスだ。その時点でランクAの実力があったってことだな。そして昨日は途中でランクSが複数体出てくるフロアを攻略して最後はボスまで2人で倒してクリアしてきている。ちなみに俺達のパーティはまだクリアできていないダンジョンだ」


「そりゃ凄いな」


 ミゲルの話を聞いてびっくりする彼ら。2人でランクSの複数体を倒しまくって最後はボスまで攻略するなんて普通はあり得ない話だからだ。


「今のギルドのランクポイントはあんた達や俺達の様な5人で活動することがベースになっている。奴らは2人だ。その時点でハンデがあるがそれを全く感じさせない。ジョブの構成もいいんだろう。赤魔道士と暗黒剣士、2人とも剣も魔法も使える。そして2人とも片手剣の二刀流使いだ。2人だが実質4人でやってる感じなんだろう。そうでないとあの若さでランクAには上がってこないからな」


「確かに」


「それでも普通じゃありえない」


 精霊士のジョアンナがまだ信じられないといった表情で言う。それにはミゲルのパーティで同じ精霊士をしているジョンがそれが普通の反応さと言ってから、


「正直あの2人はランクAじゃない。もっと上の実力があるとここにいる俺たちは見ている。少し前、このギルドであいつらに絡んできたランクBの戦士をダンという暗黒剣士が鍛錬場であっという間にぶちのめしている。俺も見ていたがダンが何回剣を振ったのか見切れなかった。それほどに早く剣を繰り出してきていた。ランクAが何人もあの模擬戦を見ていたがダンの剣捌きを完全に見切れた奴はいなかっただろう。相手がランクBだということを差し引いてもあの剣捌きは普通じゃありえないレベルだ。悔しいがあの2人は別格だよ」



 彼らと別れたデイブはアパートに戻って夕刻にダンと夕食をとりながら今日のギルドで得た情報を話する。


「道中は長いがそれ以外は特になさそうな感じだな。水はたっぷりと持参しよう」


 そうして打ち合わせをした2人は3日後にここを出てレーゲンスに向かうことにしてそれまでの明日、明後日も休養として体を休めることにする。


 翌日の午前中、2人は武器屋と防具屋に顔を出して旅の予定を話した。2人からしっかりと鍛錬してこいと背中を押され、そのまま今度は雑貨屋黒猫に顔を出すと店主のミンにもレーゲンスに武者修行にいくことを話をして旅の準備で来たんだよと言う。


「レーゲンスまで結構あるわね」

 

 そう言ってミンは長旅のおすすめのグッズを持ってきた


「2人は魔法袋を持ってるから少々大きくても大丈夫でしょう」

 

 そう言って彼女が勧めてきたのは寝袋。


「夜は交代で見張りをするんでしょ?テントの中でこの寝袋で寝ると寒くないのよ。それにほらっ、前がチャックですぐおろせるから万が一の時もすぐに活動できるの」


 寝袋を手に取ると軽くそして中も暖かそうだ。荒野での野営となると夜は気温が下がる。この寝袋だと問題ないなと言い2つ購入してそれぞれの魔法袋の中に収納する。


「あとは大抵持ってるんじゃないかな。以前も遠出しているんでしょ?」


「ラウンロイドまで行ったよ」


「じゃあその時の装備で行けるわね。気をつけてね」


 ミンの雑貨屋を出た2人は通りを歩いていて昼飯まで時間あるからちょっとギルドの鍛錬場で体を動かすかと2人でギルドにやってきた。


 朝のピークは過ぎていたがそれでも何組かの冒険者達が酒場のテーブルに座って打ち合わせをしている。その中にレーゲンスから来ていたランスらのパーティを見つけたデイブ。席に近づいて挨拶をすると隣に立っているダンを彼らに紹介する。


(これが噂の暗黒剣士か)


 ランスはじめメンバーはダンを見ていた。この街のランクAによると目の前にいる暗黒騎士の剣捌きは尋常な鋭さ、速さらしい。見た感じでは凄腕の冒険者には見えない。


 挨拶を終えるとスコットが、


「いつレーゲンスに出発するんだい?」


「明後日だよ。今日はちょっと体を動かそうかと鍛錬場にやってきたんだよ」


 そう言うとダンと2人でギルドの横にある鍛錬場に続くドアを開けて出ていく。


「俺達も見てみようぜ」


「どれほどの腕前なんだろう」


 ランスの言葉にメンバー全員が立ち上がると後をついて鍛錬場に向かっていった。そうして酒場にいた他の冒険者達も


「DDの鍛錬か、見てみようぜ」


 と鍛錬場に向かう。


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