表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳ハンターヒロユキと、感情自律型AIシリーズの、伝送路悪魔 討伐記  作者: 秋野PONO(ぽの)
第二章 歴史とAIの根源

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/26

第6話 ヘンリ―所長の、結果的に長い独り言ー前

2050年、この世界線のAIの歴史です。

こんな世界線の日本もあるんだなーぐらいの感じでお願いします。


 おう。ヒロユキ。どした、え?アーバンクロノスについて教えてほしい?


 どういう風の吹き回しだ。

 あ。そろそろ昇給試験か。

 ……あ?AIの歴史も知らん奴に受けさせん、っておっさんどもに言われた?


 なるほど。え?俺が一番詳しいから教えてもらえってDr秋月が言ってた?

 ……っていってもなぁ。

 ちょっとなげぇ話になるぞ。それに俺だって、そうたくさん知ってるわけじゃない。


 特にな、初代感情自律型AIの「アーバンクロノス」については謎が多い。

 教科書だって記述に苦労するぜ、あれも非公開、これも非公開ってな。

 まぁいいや。歴史込みになるからおとなしく聞けよ。


 まず、日本のAI産業の歴史だ。


 さかのぼること25年前、2025年、世界中に衝撃が走った革命が起きたことは知ってるな。

 そうシンギュラリティを超えたAIの出現、「不気味の谷」を華々しく超えたAIの誕生の件だ。

「不気味の谷を越えた」ってのは簡単に言うと、「AIが、人間の外観や動作と見分けがつかなくなった」=完全な人間となんの遜色もない見た目になった、事件のことだ。


 日本の「感情自律型AI」の開発史はここから始まった。


 なんで、他ならぬ、日本で感情自立型AIの開発が行われた?

 眠たくなる経緯は端折るが、当時のエンジニアたちはほぼ全員、その不気味の谷を越えたAIを見て、こう思ったんじゃね?って当時の教官は言ってたな。


――これって、あの国民的猫型ロボットが作れんじゃね?


 って。

 まぁこれはジョークだと思うが、実際、その後の日本の「感情自律型AI」開発への熱意はすさまじかった。たった2年で原型の、コードネーム・アーバンクロノスが完成しちまった。


 開発したのは当時も今も日本電脳産業の要、「東日本電脳電気電信産業公社」(略称・日本公社)だ。

 当時の日本公社のメイン開発者は現社長の西崎敏也、今のうちの会長の山根凛子、そして現在ウェストの社長の小田・ヨジュンだ。もちろんその他50人以上の開発者がいる。

 アーバンクロノスってのはまぁいわゆる開発用コードネームだな。当時はそいう中二病っぽいかっこいいコードネームが流行った。


 正式名称は「コードネーム・アーバンクロノス、タイプ・感情自律型AI 保育園のケン先生」だ。

 あ?もう1回?

 だから「アーバンクロノス、タイプ・感情自律型AI 保育園のケン先生」だ。

 だから……、「アーバンクロノス、タイプ・感情自律型AI 保育園のケン先生」だ。


 何回も言わせんなよ。


 ……知らなかったのか。まぁ教科書からは削除されてる。

 そう、アーバンクロノスは当初、保育士ロボット(物質体あり)として開発されたAIだった。

 当時保育士の深刻な不足は問題になってたし、ガキどもの情緒の正常な発達のために感情表現や情緒が豊かで成熟したペルソナが必要だったってのは、まぁ……すげぇうなずける。


 実際1年ぐらいは稼働したみたいだな。「ケン先生」として。

 ただ、その後すぐに引退して、伝送路回線監視用AIとして調整され、その後数年運用されることになる。

 ……なんでかって?うーん。人格的にも、優しくてすげぇ安定した作りのAIだった、らしいんだが、まぁ強いて言えば、高性能すぎた?うちのばばぁ曰く。

「なーんか違うんだよね。保育園の先生って言われても」

 ……って。まぁ。性能が良すぎて、保育士にしとくのもったいなかった、ってことだろうな。

 当時量産体制もできてなくて、1体作るのにすげえ金かかった、って言ってたし。


 ともかくも、その後1年半、アーバンクロノスは、日本の伝送路監視AIとして活躍した。

 当時、世界中で人間が伝送路上で生活できるようになる基盤が築かれ、世界中でその安全を守る監視AIが稼働していた。


 そこそこ平和だった。


 んでも、その平和は全然長続きしなかった。


 お前も知ってるよな。2030年の「世界同時多発伝送路回線危機」を。


 発端はドイツの研究所の分配器故障、からの人身事故、一瞬で100人以上亡くなったらしい、からの残データのエンダー化、みたいな感じだったらしい。


 当時伝送路上で暮らしていた人間は億超える数すでにいたらしい。この事件で世界中で1千万人以上の人間が死んだ。

 エンダーという存在が、なぜか積極的残酷に伝送路の人間を襲って殺す、ということが分かったのもこの時だな。


 ドイツ含めたEU諸国で100万人。アメリカ、中国200万人、およそあらゆる伝送路を持つ先進国はすべて莫大な人名損失を経験した。


 日本?死者14人だ。


 冗談みてぇな数字だな。各国なん百万人と死者を出しているのに。

 この数字は、どうやら当時東西の伝送路を一人で保守していたアーバンクロノスの功績らしい。


 アーバンクロノスが日本の伝送路上の100万人を守った結果、ってことになるのかな。


 当時、感情自律型AIを導入していたのは、日本ただ1国だった。

よろしければ評価、イイネボタン、感想などいただけるととても嬉しいです。感想は、1話読んだだけだったとしても、とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ