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世界最速のレベルアップ ~無能スキル【ダンジョン内転移】が覚醒した結果、俺だけダンジョンのルールに縛られず最強になった~  作者: 八又ナガト
第二章 ダンジョン踏破者と奪うモノ

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96 懇願

 何者かに足を掴まれたような感覚がして、華はその場で転んでしまう。

 見ると、足首にはツタが幾重にも絡まっていた。

 それによって立ち上がることすらできない。


「ツタ? なんでこんなものが私の足に……! いや、それよりも早くほどいて皆を追わないと!」


 しかし、絡まったツタを外すのに手間取っているうちに、皆は先に進んでいく。

 このままだと置き去りにされてしまう。

 そう考えた華は、待ってもらうために声を上げようとする。


「皆さん! 待ってくださ――んむっ!」


 しかしあろうことか、ツタが今度は華の口をふさいだ。

 まるで助けを呼ぶことを止めるかのように。


(そんな! こんなことしてる場合じゃないのに! 皆との距離がどんどん離れていっちゃう! 早くこれをほどかないと――)


 必死にほどこうとしていると、力を失ったように突然ツタが滑り落ちていく。


「ごほっ、ごほっごほっ。なんで、いきなり外れたの? ううん、それよりも早く皆を追わないと――ッ!」


 悲劇はそこで終わらなかった。

 立ち上がり必死に駆けだそうとする華の前に、突如として巨大な壁が出現する。

 いや、違う。これは壁ではなくトレントだ!


「下がってください!」

「ッ!」


 ――その言葉を聞き、反射的に華は後ろに飛び退いた。

 すると、先ほどまで華がいた場所にトレントの鈍重な一撃が落とされる。


「……はあっ、はあっ」


 もし回避が遅れていたらどうなっていたか、考えるだけで体の震えが止まらなくなった。

 そんな華の横に、柳がやってくる。



「申し訳ありません。突然トレントが狙いを僕から変えたせいで、対応が遅れてしまいました」

「…………は、はい」

「大変心苦しいのですが、片桐さんたちへの道が防がれてしまいました。こうなってしまった以上、追いかけるのは難しいでしょう……」

「そんな……!」



 柳は眉をひそめ、残念そうな表情でそう告げた。

 彼の言葉を聞き、華の鼓動が早くなる。

 柳の言う通りなら、自分はもうここから離れることはできない。命の危険に晒されながら、柳とトレントの攻防を見届けなければならない。


 絶望する華。

 しかし柳は覚悟を決めたような表情を浮かべると、おもむろに口を開く。


「天音さん、貴女に一つお願いがあります」

「……え?」


 そして、信じられないようなことを告げた。



「この窮地から脱するために、貴女のユニークスキル――技能模倣(ストック)の力を貸してもらえませんか?」



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― 新着の感想 ―
[一言] あーテイム系の能力者か、って思ったけど 模倣を貸してくれってことは強奪系か柳
[一言] 面白いです更新ありがとうございます!!!
2020/09/21 08:39 退会済み
管理
[一言] 「ユニークスキル狩り」する為に職員なんかやってるんか
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