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【WEB版】転生無敗の異世界賢者 〜ゲームのジョブで楽しいセカンドライフ〜  作者: 蒼月浩二@転生無敗 漫画(3) 6月27日発売


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第94話:不可能なんて決めてないんだが

 商業地区で買い物を楽しんだ翌日。


 ヴィエール帝国に向かうため、俺たちは朝早くから王都を出発した。


 長距離の移動になるので、今日は少し高度が高い。なので、より遠くまで見渡せる。


 エルフの里に向かった時も距離としては長かったが、あの時はまだ暗かったので少し新鮮な気分になる。


 王都は、円形の城塞都市。


 改めて異世界らしい景色だと感じる。


 目的地までは王都から北に千キロほど。


 普通ならかなりの時間を要する旅になるのだが、スイなら三時間ちょっとで運んでくれる。


 竜同士で何か取り決めをしたのか、今日のところはスムーズに担当が決まったようだ。


「本当に休憩なしで大丈夫なのか?」


「大丈夫です。お気遣いなく」


「大丈夫ならいいんだが……」


 千キロというとピンとこないが、東京——大阪間の距離が五百キロほど……と例を挙げれば想像しやすいだろうか。


 この距離を休憩なしで移動すると宣言されれば、少し心配にもなる。


 とはいえ俺とスイは弱音を言えない関係性ではないし、本当に大丈夫なのだろう。


「そろそろ朝食にしますか?」


「そうだな」


 移動中に食べれば良いということで、今日は朝食を食べずに出発した。


 昨日、アレリアとアイナが作ってくれたものを食べる感じだ。


 鮮度に関してはなんの心配もない。


 俺のアイテムスロットに保管しておく限りは腐ることはないからな。


 アイテムスロットからバスケットを取り出し、容器を取り出す。


 二人が作ってくれた朝食は、サンドイッチ。


 一般的な卵サンドとハムサンド、カツサンドなどが並ぶ。


 そして、俺がリクエストしたツナ卵サンドもちゃんと入っていた。


 彩りも良く本当に美味しそうだ。


「すごいな……大変だったんじゃないか?」


「まあ、量が量だけにさすがに大変だったけど……私は楽しかったわよ」


「一人で作ってたわけでもないですしねー」


 なんだかんだで、料理で喧嘩も起こらなかったようで、何よりだった。


 そして、サンドイッチを食べてみる。


 ——美味い。


 俺はグルメ評論家ではないので詳細な批評はできないのだが、家庭的で優しい味に感じる。


 素材を生かした味付けがされており、いくらでも食べられそうだ。


 よく聞く表現でアレなのだが、まさに変に凝った料理よりも『こういうのでいいんだよ、こういうので』という言葉が率直に出てくる。


「アースちゃんもどうぞ〜」


 ぱくっ。


「美味しいんだナ〜!」


「アレリア、抜け駆けはよくないわよ!」


 俺が味わう中、競うように餌付けするアレリアとアイナの二人。


 アースは二人が餌付けしているからいいとして、今日一番の功労者であるスイだけが仲間外れになるというのはちょっと気になる。


「スイも食べられるか? 飛びながらだと食べられないなら無理にとは言わないが」


 人間は飛ぶことができないので、飛ぶというのがどういうものなのかわからないのだが、マラソンで走っているような感覚だとしたら、きちんとした食事をとるのはかなりきつい。


 だから、念のため聞いてみたのだ。


「ありがとうございます。大丈夫です、食べられます」


「そうか、良かった」


 俺オススメのツナ卵サンドを手にとった。


「ユーキ、どうやってスイちゃんまで届けるのですか……?」


「口元までは手が届かないと思うし、無理すると吹き飛ばされそうでちょっと不安よね。一度どこかに降りた方がいいんじゃないかしら」


「ああ、それは問題ないぞ。まず吹き飛ばされそうって心配はしなくていい。スイの身体の周りには、魔力による見えないオーラの壁があるんだ。これが風除けになってる」


 そうじゃないと、新幹線の最高速を超える速度で移動している俺たちはひとたまりもない。


 俺に関してはステータスが高いのでなんとか耐えられるかもしれないが、アレリアやアイナではまだまだ厳しいものがあるだろう。


「そして、口元に手が届かないって問題だけど、これも大丈夫だ」


 俺はツナ卵サンドをアイテムスロットに収納する。


 アイテムスロットは、自分の手元にアイテムを出すことが多いが、近距離であれば俺の手元じゃなくてもアイテムを取り出すことができる。


 だから、例えば——


「わっ! スイちゃんの口元にサンドイッチが⁉︎」


「す、すごいわ……!」


「ま、こういうことだ」


 ちょっとした工夫で、便利なスキルは更に便利なものになる。


 スイは満足そうにムシャムシャとサンドイッチを食べるのだった。

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