第81話:伯爵が想像以上だったんだが⑦
「そ、そうだ! ボクがいなくなったら領地はどうなる! 他に領主の仕事ができる奴なんていないぞ‼︎」
「何を勘違いしてるか知らないが、実際お前のせいで村がボロボロになってもしばらくどうにかなってただろ。お前がいなくても領地の仕事はちゃんと回る。安心しろ」
「そ、そんな……⁉︎ や、やめろ——っ!」
うるさいので、アイテムスロットに収納した。
「ユーキ、さすがです!」
「いつも通りだけど、その……かっこよかったわ」
何か今のですごいこととかっこいい要素あったのか……?
まあいいか。
「やるべきことをやっただけのことだよ」
これでダスト伯爵の件は終えたのだが——
「大公爵様、申し訳ございませんでした!」
「我々はどんな罪でも償います……」
「だ、だからどうか……命だけは……家族もいるんです……」
兵士たちが、一斉に額を地面に擦り付けて謝罪してきたのだった。
こんなことを頼んだ覚えはないのだが……。
どうするかな。
正直、こいつらを厳しく断罪する気にはなれない。
この兵士たちは領主に雇われ、領主を守るために仕事をしていただけなのだ。
とはいえまったくのお咎めなしというのも違う気がする。





