第79話:伯爵が想像以上だったんだが⑤
ああ、そういえばそんなことをしていたな。
新生王国になり、俺が最初にしたことは、新貨を発行し、旧交貨と等価交換することだった。
交付税という形で手間賃を払っていたので、まともな領主からはむしろ喜ばれたものだが——
「なんでお前のお金が減るんだ? 額面が減ることはないはずだが」
「う、うるさい! とにかくボクのお小遣いが減っちゃったから木を売って金に変えようとしただけだ! 悪いか⁉︎」
なるほどな。
つまり、ダスト伯爵はセルベール国王時代に納税をチョロまかし、私服を肥やしていた。
旧貨の等価交換は認めているものの、大量の硬貨を一度に交換することで俺の命令で調査が入ることを恐れ、実質的にお金を使えなくなってしまったのだ。
しかし、一度覚えた浪費癖は抑えられず、足りないお金を補填するために、ロイジウス森林の木を売り払おうと考えたのだろう。
ロイジウス領は王国の食糧生産地として有名だが、豊かな土地で作られた良質な木材もかなりの人気がある。
「悪いに決まってるだろ。結果的にはそれでアース——『黄眼の翼竜』の怒りを買い、領地だけに留まらず王国全体が危機に陥る寸前にまでなったんだからな」
「説教はもう十分だ! オヤジみたいにグチグチ言いやがって! てめえら、やっちまえ‼︎」





