第78話:伯爵が想像以上だったんだが④
「なんの話だ? そんなことをした覚えはないが。それよりも、お前のせいでロイジウス領は大変なことになったそうだな。俺は王都から救援に来ただけだぞ」
「……! しょ、しょうがなかったんだ! 『黄眼の翼竜』が怒るとは思わなかったんだ!」
いきなりの言い訳。
べつに問い詰めているわけではないのだが……こんな言い方をするということは、自分が何をしでかしたかは理解していると見える。
「その辺の事情は知らんが、そもそも無理に土地開発をする必要があったのか? 王国全体として特に食糧不足には陥っていないし、これ以上農地を広げる必要はないと思うが」
「オ、オマエには関係ないだろ! これはボクの領地の問題だ!」
「お前の領地のせいで俺たちがわざわざ出向く羽目になったんだが……?」
冷静に考えて、『賢者』である俺でなきゃスイを連れて行くことはできず、アースとの問題は平和的に解決できなかっただろう。
そしてアースのステータスを見る限り、アレリアとアイナが二人でかかっても荷が重い。
この二人が無理なことを他の者になんとかできるとは思えない。
そして、もしこの土地が復活しなければ、王国は深刻な食糧危機に陥っていた。
こいつ——ダストの責任は大きい。
「オ、オマエが悪いんだ! お前が余計なことさえしなけりゃ……!」
「えっと……俺が何かやったのか?」
まったく身に覚えがないんだが……?
「オマエが旧硬貨で税金を払えなくしたから、ボクのお金が減っちゃったんだ!」





