第112話:やばい現場を見かけたんだが①
しばらく待ったが、侵入した岩からカタンが出てくることはなかった。
今日のところは調査を打ち切って、明日以降に備えて一旦作戦を練り直そうと思って引き返そうとしたその時だった。
「フヒッ、フヒヒヒヒ……」
不気味な笑い声を上げるカタンの声が聞こえてきた。戻りが遅いので、出口は別なのかとも思ったが、戻る際もこの岩から出てくるらしい。
行きと違い、帰りには何か大きな黒い物体を抱えていた。
まるで、ロケットランチャーのような……。
「ユ、ユーキ……あれって⁉︎」
「し、静かに」
「す、すみません……」
幸い、カタンには聞こえていない。いや、もはや隠れている場合ではないかもしれないが……。
「ミーシャ、あれってもしかしてなんだが……」
「うん、魔法兵器……だね」
その後、カタンに続いてどんどんあの岩から人が出てきた。
カタン以外は顔が見えないようマスクを付けている。
マスクと言っても前に俺が変装ように使ったような一般的なものではなく、ガスマスクのようなものだ。
数は……十、二十、三十……どんどん増えていく。
全員がその手に魔法兵器を持っていた。
最終的に、百人規模の固まりとなった。
「おーし、帝都を陥落させるぞぉー! 帝城に攻め込むぞ‼︎」
「「「「「うおおおおおおお——‼︎」」」」」
なかなかに物騒な声が聞こえてくる。
そして、カタンが魔法兵器を壁に向ける。
「————⁉︎」
ミーシャは必死に声を押さえ込むが、気がきがではなさそう。……いや、そりゃそうだ。
「あれくらいならなんとかするよ」
魔法兵器の大半の仕組みは、魔力を吸収する鉱石——魔石に圧縮して溜め込み、トリガーを引くことで発射。魔石が衝突することで破裂し、ため込んだ魔力が一気に発散する。
そうすることで爆発が起こるわけだが、トリガーを引いて魔石を発射するプロセス自体を止めれば、発射はできない。
最初の発射には火縄銃のような簡単な仕組みの火薬が使われているから——
『気候操作』を使い、全員の魔法兵器の火薬を湿らせる。
カタンたちがトリガーを引く。
だが、一発も発射に成功することはなかった。
「な、なぜ不発なのだ⁉︎ おい!」
カタンがガスマスクの一人に詰め寄る。
「わ、わかりません……!」
「わからねえじゃないだろ‼︎」
仲間割れしているところで、俺たちはカタンたちの前に現れた。
「お、お前は——⁉︎」
「よう、久しぶりだな」





