第85話
まだ日付が変わらないまま、キャロルが自慰をした後に就寝に就いていた。
すっきりしたキャロルは、無事に眠る事が出来ていた。
「スー、ス―・・・・・・・・」
穏やかな寝息を立てて眠るキャロル。
その部屋で突然、扉が開いた。
何者かが、キャロルの寝室に侵入した。
そして足音を立てに無い様に慎重に歩き、ベッドの所まで来た。
「スー・・・・・・ん、んん?」
誰かの気配を感じて、目をこすりながら起きるキャロル。
誰が入って来たのだろうと見ようとしたら、侵入者はいきなりキャロルに伸し掛かった。
「きゃあああああああっ!?」
突然の事で、悲鳴を上げるキャロル。
だがセーラも居ない今、誰も来る事は無い。
思わず目を瞑ったが、誰がこんな事をしたと思い目を開けようとしたら、侵入者は何処からか布を出して目隠しをした。
更に両手首を掴み、紐のような物で縛った。
「だ、だれ? どうして、こんな事をするの!?」
怯え混じりの声で、訊ねるキャロル。
侵入者はその声に何も答えない。侵入者は手を伸ばしパジャマの引き千切った。
「きゃあっ!?」
露わになった胸元には、白いブラジャーを着けていた。
侵入者はブラジャーをずり上げる。そして顔を近づけて、乳首を口に含んだ。
「あ、あああっ。いやぁ、やめてぇぇ!?」
抵抗するキャロル。
「出来るだけ優しくしてやるよ」
部屋が薄暗い為、今迄気付かなかったが、声を聞いて自分を辱めている者が分かった。
誰であろう信康だった。
「さて、そろそろ楽しませて貰おうか」
信康は唇を舐める。
その様はまるで、獲物を前にした獣みたいであった。
少しすると、キャロルはあられない姿のままで、呼吸していた。
やがて、呼吸が整うと信康を睨んだ。
「・・・・・・・こ、こんな事をして、分かっているのでしょうね?」
「無論だ。だが、お前には出来ん」
「な、なにを、言っているの? べつに、あたしがあなたに、おそわれたとほうこくすれば、いいだけじゃない」
「これを見てもか?」
信康はポケットから丸い水晶を出した。そして、起動スイッチを押した。
『うんん、・・・・・・もっと・・・・・・・・・』
水晶からキャロルのあられのない姿で自慰をしている姿が音声と共に浮かび上がった。
キャロルは驚愕の表情でその映像を見る。
『ふ、ふうううっ、うん・・・・・・んっ』
そこに映っているのは紛れもなく自分だと分かった。
「もしかして、それは記憶水晶なの!?」
「その通りだ。当初の目的で使わなくて、余っていたから丁度良かった」
元々はカルレアの犯した姿を記録しておいて、それをネタに脅す予定だった。しかしカルレアが信康の言う事をすんなりと聞いたので、記憶水晶など使う必要がなくなった。
代わりという訳ではないが、丁度使って良いと思える相手が出来たので使う事にした。
先ずはリビングのテーブルに、この記憶水晶を仕込んだ置物を置いておく。
次にキャロルが常飲する飲み物の中に、ルノワが用意してくれた即効性の媚薬を入れる。
薬の効果で自分を慰めるだろうと思い、待っていたら予想通りにしてくれた。
(本当は他にも手を考えていたが、まぁ良しとしよう)
信康は記憶水晶の起動を止めた。
「な、なにが、もくてきなの?」
「そんなものは決まっている。お前の全てが欲しい。それだけだ」
信康はまっすぐキャロルを見る。
その視線の圧力に本気だと分かったキャロル。
「・・・・・・・す、すきにすればいいわ。でもあたしのこころまで、すきにできるとおもわないことねっ」
キッと睨みながら言うキャロルを見て、信康は薄く笑う。
「そうか。じゃあ、試してみるか」
信康は再び、キャロルに伸し掛かった。
「ま、まだするの!?」
「当然、それにさっきみたいな事を言えるんだ。まだまだ出来るだろう」
「い、いや、いやぁ・・・・・・・・」
悲痛の悲鳴をあげるキャロル。しかしその悲鳴には、艶やかな色気も交じっていた。
セーラは自室にいた。
自分の好きな男が親友を抱いている所を見るのが、苦痛だったからだ。
キャロルの部屋を出て、廊下の壁にもたれ座り込む。
(・・・・・・・・どうして、こんな事をしたのだろう?)
今更ながら、自分がした事に罪悪感を感じていた。
親友を陥れて、信康に捧げた事に。
最初は、カルレアとしている所を見られたので、口外させないようにキャロルの恥ずかしい所を記録させるだけだと聞かされていた。
なのに、ここに来て、信康が「そそるな。やっぱりヤルか」と言って部屋に入って犯そうとした。
正直、こんな展開になるとは予想も出来なかったセーラ。
しばしの間、静かになった。そして再び、嬌声が上がる。
嬌声が上がっているにも関わらず、部屋から信康が出て来た。
キャロルの嬌声が聞こえるにも関わらず、信康が此処に居る理由は一つしかない。それは当然、影分身の魔符を使用しているからだ。
「・・・お疲れ様です」
「ああ・・・風呂に入りたいのだが、良いか?」
「わ、分かりました。今から準備しますっ!」
セーラは慌てて、風呂の準備取り掛かった。
「頼む」
信康はそう言って、風呂はセーラに任せて、キャロルの部屋から聞こえる嬌声を聞いていた。
やがて、風呂の準備が整うと、セーラと共に風呂に入って行った。




