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信康放浪記  作者: 雪国竜
第三章

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第388話

 翌日。



 第四騎士団と第五騎士団の援軍が来た事で、早朝から軍議が行われた。


 傭兵隊からは、総隊長のヘルムートと副隊長のリカルドが出席した。


 残りのメンバーは用意された一画で、退屈にそうにしていた。


「ああ、暇だな」


 バーンは欠伸を掻きながら、この場に居る者達に言う。


「同感。まぁ、別に俺達が参加しなくても、作戦なんか攻城戦するだけだからな」


「言えてるな。後は誰が、噛ませ犬になるかだな」


 信康は同意とばかりに頷きながら、作戦なんか決まっているだろうと呟くとロイドも頷いた。


「可能性で有り得るのが、傭おれ兵た隊ちか」


 カインは顎を撫でながら呟く。


「あり得るわね」


「金で雇われた兵隊に相応しい役割だろうとか言いそうですね」


 ライナとサンドラはカインの言葉に頷く。


「はっ。相手がそのつもりなら、わたし達が噛ませ犬じゃないって所を見せつけてやろうじゃないっ」


 テイファは笑みを浮かべながら楽しみで仕方がないという顔をしていた。


「はぁ、流石はアマゾネスだな」


 信康は呆れ半分であったが感心していた。


 何も向こうの言う通りにする事はない。


 なので、傭兵部隊だけで砦を攻略しても問題はない。


 第三騎士団の面子を潰すという事を除けば。


「まぁ、軍議でどんな作戦になるかで決まるという所ね」


 ヒルダがそう言うと、その通りだなと皆頷いた。


 それからは、雑談に興じた。




 そうして話していると、ヘルムート達がやって来た。


「隊長。リカルド。お疲れ様」


「おう、まぁ、そんなに疲れなかったがな」


 ヘルムートは空いている席に座る。


 リカルドも適当な席に座る。


「早速だが、軍議で決まった事を話す。準備が出来次第、第一目標はアグレブに南にある砦だ」


「砦か。で、先陣は?」


 バーンは気になっているのか、うずうずしながら訊ねる。


「先陣は第三騎士団だ。で、俺達、傭兵隊は後詰だ」


「後詰ですか」


 意外そうな顔をするカイン。


「ああ、向こうさん。どうやら自分達の手で砦を落して、士気向上を図りたい様だ」


「成程な」


 ロイドは納得した。


「という訳で、各自、出撃準備を整えろ。各軍団よりも出撃が遅れる様な無様な事をするなよっ」


「「「はっ!」」」


 ヘルムートの号令で信康達は椅子から立ち上がり敬礼して、そのまま自分の部隊に向かい出撃準備に掛かった。

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