表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信康放浪記  作者: 雪国竜
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

374/418

第368話

プヨ歴V二十七年十月二日。朝。




 信康はステラと連れ込んだ飲食店は、どうやら宿泊施設も兼用している店だった。


 ステラの愚痴を聞きながら美味しい料理に舌鼓を打った後、ステラと共に寝台に潜り込んだ。


 部屋に朝日が差し込み、小鳥の囀りが聞こえて来た。


「・・・・・・」


 信康は目を覚まし、上半身を起こした。


「・・・・・・もう、朝か」


 少し嗄れた声が出た。


 昨日は結構遅くまで楽しんだので、喉がカラカラであった。


 信康は手を動かすと、ステラの身体に当たった。


「ん・・・・・・」


 軽く当たっただけなので、起きる気配はなかった。


 信康は眠気を完全に覚ます為に、ステラの身体を撫でる。


「ん、んん・・・・・・」


 撫でただけだが、反応があった。


「ん・・・・・・ノブヤス?」


 足を動かした事で眠りが覚めたのか、ステラは瞼を痙攣させてから目を覚ました。


「おはよう。今日はどうするんだ?」


「・・・・・・今日はゆっくりしたいわ」


「そうか・・・・・・」


 ステラの返事を聞いた信康はまだ靄かかっている頭で考えていた。


 そして、無言で抱き着いた。


「ちょっと、もう」


 ステラは抱き着いて来る信康に困った顔をしつつ、好きにさせていた。


 二人はそのまま部屋を出る事無く、一日を過ごした。


  プヨ歴V二十七年十月三日。朝。




 結局信康とステラは二日目の祭りに参加せず、そのままその高級宿で一日を過ごした。


「もうっ。こんなにして」


 ステラは足を生まれたての子馬の様に足をプルプルと震わせながら顔を真っ赤にしていた。


 それは怒っていると言うよりも一日中求められて、嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちを誤魔化す為の様に見えた。


「すまん」


 信康はそれしか言わなかった。


 何せ昨日の朝から、食事以外は全てステラと時間を費やしたのだ。


 幾等なんでもやり過ぎと言われても言い返せない状況である。


 すると信康は不意に、ステラに顔を近付けた。


「忙しかったから、その埋め合わせの心算だったんだ。嫌だったか?」


「そ、そんな事ある訳ないわ」


 信康がステラの耳元に囁くと、ステラは嬉しそうにそう微笑んだ。


 その顔を見てニヤリと笑う信康。


 二人はそのまま並んで歩く。


 競技場に向かう前に信康は借りて来た馬の様子を見ようと、ステラは信康はどんな馬か見ようと思って、競技場の厩舎に向かう。


 競技場に着いたので、そのまま厩舎に向かった。


 厩舎に着くと、何故か職員が眠っていた。


 最初は寝ずの番をしていたのかと思ったが、よく見ると二人居た。


 その二人共、眠っていた。


 しかも椅子に座りながら、足元には陶器の瓶が置かれていた。


「これは・・・・・・まさかと思っていたが、たかが競技で此処までするかっ」


 信康は職員の足元に落ちている瓶を拾い、その口に鼻を寄せて匂いを嗅いでこの中に何が盛られているか分かった。


 そして、その瓶を床に叩きつけた。


「どうやら、やられたみたいね」


 ステラは職員が寝ている事と、信康の行動から何が起こったのか分かったみたいだ。


 ヒヒーン!!


 馬の嘶きが聞こえて来た。


「・・・あいつに任せてるから大丈夫だとは思うが・・・人から借りている馬なのだから、間違っても殺さないでくれよっ」


 信康は自分の馬が繋がれている馬房に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ