第306話
「さて、色々な情報は手に入ったが・・・この情報の正誤は後で確かめさせて貰うとして、もし嘘だったら・・・」
信康はそう言ってミレディを睨んだ。
ミレディは嘘ではないとばかりに、首を振るのであった。
「シキブ。拘束は解いてやれ。意識が戻ったら美味い食事めしでも食わせてやれば良いが、暫くこのままだろう。その間にミレディが言っていた愛人連中の住所に向かって、金目の物も鉄貨一枚分残さずに、奪い尽くす事も忘れるな」
「承知しました。機密情報も確保しておきます。ザボニー達はどうしましょう?」
「そうだな。少し考える」
シキブの質問に対して信康はそう答えた後、自室に戻り就寝に就いた。
プヨ歴V二十七年六月二十日。朝。
起床した信康は、兵舎の食堂に向かっていた。
朝食を食べる事は勿論あるが、それ以上に尋ねたい事が出来たからだ。
(ミレディの話だと・・・ザボニーは愛人の家で匿って貰っているが、何れは愛人に預けた金を持って何処かの国に高飛びする予定だったとか。シキブを送ったから、これで高飛びされる前に決着が着けられたな・・・これでプヨ国内に巣食ってる、カロキヤの諜報員共に集中して対応出来そうだ)
ミレディから聞き出した情報によると、カロキヤ公国の諜報機関は羊の皮を被った狼と言い、構成員は全部員で七人らしい。
しかしミレディと違って構成員は全員が暗号名で呼ばれているので、本名も知らない上に何処で何をしているのかも分からない。しかし手に入れた情報を定期的に本拠地である場所に集積している、と言う重要な事は聞けた。
つまりカロキヤ公国の諜報拠点と言えるので、信康はその諜報拠点に張り込みをする心算だった。
(部下の奴等には、何も言わずに張り込ませるか? それか真相を教えて、口が堅い奴等を派遣させるか? それとも直ぐに総隊長に報告して、手を貸して貰うべきか?・・・面倒だ。もう少し情報を集めてから、確実な手段を選ぶとしよう)
食堂に向かいながら、色々と思案する信康。
そうして考え込んでいる間に、食堂に到着してしまった。
仕方が無いので、思案するのを一旦止める信康。
「今日も仕事をしていると聞いて来たのだが・・・」
信康は食堂内を見回していると、丁度運よく捜し人であるヴェルーガが居た。
声を掛けようとしたが人と話しているのが見えたので、声を掛けるのを止めてその話している人物を見た。
「へぇ、そうなんだ。ところで今日のこの後、仕事なの?」
「いえ。今日と明日は休みなので、このままアパートに帰って一休みする心算です」
銅色の肌。ねじれた角。細長い耳。肩口で切り揃えたショートカットにした黒髪。
整った顔立ち。可愛いというよりも男装の麗人を連想させる美人。
その姿形から見てヴェルーガと話している美女は、魔族の女性みたいだ。その女性を見て信康は脳裏に、何かが思い浮かんだ。
(あれ? あの女、何処かで見覚えがある様な?・・・・・・)
何処で見たのか思い出そうと、頭を捻る信康。
そうして考え込んでいると、ヴェルーガ達が信康に気付いた。
「あっ。おはよう、ノブヤス。朝御飯食べる?」
「勿論、頂こう・・・それとヴェルーガに、話を聞きたいと思って来たんだけど・・・」
信康はその女性を見る。
「あ~ノブヤスさんじゃないですかっ! おはようございますっ! 御久し振りですっ!」
「俺の名前を知っている? 何処かで会ったか?」
「はいぃっ!? もう私の事を忘れたんですか?! ブラベッドですよっ!」
「ブラベッド? ブラベッド、ブラベッド・・・・・・おお、思い出したぞ。あの賭博騒動の時の女じゃねぇかっ!」
「そうです。漸く思い出しましたかっ?」
ブラベッドの質問に、信康はうんうんと首肯して頷いた。
「そうですか。新聞見ましたよ。大変な目に遭ってたみたいですけど、元気にしていたんですね?」
「あぁ、まぁな。去年の九月頃に冤罪でエルドラズって大監獄にぶち込まれた挙句、九ヶ月も其処で過ごしてやっと出れたと思ったら、海賊に襲われて誘拐され掛けた割には元気だぞ」
「そ、そう聞くと、本当に大変でしたねぇ・・・っ」
「ははははっ。まぁ今では良い思い出だよ」
そう言って笑う信康。そんな信康の豪胆さを目の当たりにして、ヴェルーガもブラベッドも感嘆する他に無かった。
尤も信康は大変さはあれどそれ以上に好き勝手に、エルドラズ島大監獄で過ごしていたので信康の言葉通りと言えた。
「それで、お前はどうして此処にいるんだ? 仕事はどうした?」
「今日と明日は連休を頂いているので、ヴェルーガさんが御勤めのこの食堂で朝御飯を御馳走になろうと思いまして」
「はぁ? お前、隊員でも無いのに食堂で夕食を食おうとか、厚かましくないか?」
「そうケチ臭い事を言うもんじゃないよ、ノブヤス。誰も文句なんて言ってないし・・・それにブラちゃんもコレちゃんも、食費は出してくれるから大丈夫なのよ」
「・・・コレちゃん?」
誰だそれ、と言う顔をする信康。
「コレットの事ですよ。ノブヤスさん」
「ああ、あいつか」
信康は一時期、ヴェルーガが住んでいる部屋で暮らしていた事がある。
その時に、コレットに会った事がある。
第一印象は、人付き合いが悪そうと思った。
しかし話を聞く限りでは、ヴェルーガには懐いているみたいだ。
「懐かれているみたいだな。俺の時は、会っても殆ど無視だったのに・・・」
「う~ん、そうなの? 別に大した事はしてないんだけど」
ヴェルーガは頭を掻いた。
「と、そうだ。話をしていて、忘れそうだった。ヴェルーガ。一応だが、お前に聞きたい事があるんだ」
「聞きたい事? もしかして、お姉さんのスリーサイズ?」
「それは興味深い話だけど、流石にもう少し真面目な話だ」
信康が真面目な表情を浮かべるので、ヴェルーガも茶化すのを止めて真面目に対応するべく信康を見た。
「俺が聞きたい事だが、ザボニーの事で何か知っている事はないか?」
「ああ、ザボニーね。一度会ってから、その後は二度と会ってないわよ」
「会ってない? どうしてだ?」
てっきり自分の愛人にする為に、色々な事をしていただろうと思っていた信康。
「あたしに一度会った後は、ルノワちゃん達がしっかり守ってくれたからね。それに不正やら何やらが全部バレて裁判に掛けられて、判決が出る前に逃亡したのは知っているでしょう? だから会ってないと言うか、会えなかったと言うのが正しいのかな? この場合は」
「成程、それは不幸中の幸いだったな。ヴェルーガ」
ルノワ達がしっかりとヴェルーガ達を守っていた事を知り、嬉しく思う信康であった。
「あたしも聞いて良い? どうしてザボニーの事を今更聞いたの?」
「ん? ああ、あのブタガエルを捕まえる目途が出来たんでな。つい気になって聞いただけだよ」
信康の話を聞いて、ヴェルーガとブラベッドは顔を見合わせて驚いた。
(ミレディから愛人達の住所は分かっているからな。全部捕まえて、ザボニーの金諸共全て奪っててしまえば良いだけだ)
信康はそう言って、悪そうな笑みを浮かべていた。
「・・・・・・ああ、そうだっ! ノブヤスさんっ! 丁度良かったですっ!」
「はい? ブラベッド、何が丁度良いんだよ?」
ブラベッドが思い出した様に呟いた内容に、信康は怪訝そうな表情を浮かべて尋ねた。
「実はノブヤスさんに、うちの楼主様が会いたがっていたんですよ」
「楼主様?・・・そいつってまさか、アイシャの事か?」
信康がブラベッドに尋ねると、ブラベッドは肯定した。
「はい。アニシュザード様です。楼主様、ノブヤスさんと色々お話したいみたいですよ?」
「アイシャが、俺にか?」
信康はこれまで二回会って話をした事を思い出したが、アニシュザードはやり手で敵に回したら面倒そうな女傑と言う印象しかない。
(あいつ、俺に会ってどうする心算なんだ?・・・・・・まさか、グランの事件の時の借りを清算しろとでも言う心算かっ?)
信康が警戒した様子を見せると、ブラベッドが理由を話し始めた。
「ノブヤスさんが投獄されている間、楼主様は随分と良い思いをなされたんですよ。その事で、積る話もあるんだと思います」
「良い思いねぇ?」
(恐らくだが、マリィが言っていた話の事だろうな)
信康はルベリロイド子爵邸でマリーザから、聞いた話を思い出していた。
そんな信康の思案など分からないブラベッドは、信康にある提案をした。
「ノブヤスさんなら直接会いに行っても、楼主様は会って下さると思いますが・・・・・・もし御心配がありましたら、御姉様か妹様を通して会われても良いと思います」
「そうか?」
信康は懐疑的な顔をしていた。
「御二人を挟んだ方が、ノブヤスさんも安心でしょう?」
ブラベットが言う事も、尤もであった。
「・・・・・・まぁ、一人で会いに行くよりは安心だな。妹は誰だか知らないが、姉のシエラは知ってる。あいつに仲介を頼むか」
そうと決めた信康は朝食を食べた後に食堂を出て行き、第二部隊の訓練はルノワに任せてから中年女性の管理人に外出届を出して兵舎から出て行った。
(あれ? そう言えば俺、あのブラベッドに何か約束事をしていなかったか?)
斬影に騎乗しつつシエラザードが居るアパートに向かい道すがら、信康は頭に何か引っかかっていた。
(・・・・・・う~ん。何か約束をしたんだが、何をしたのか思い出せないな)
思い出せないのなら大した事では無いだろうと思い、信康はその事で考えるのを止めて斬影を駆けさせた。
斬影に騎乗した信康がカルレアのアパートメントに到着すると、下馬してから大家であり自分の愛人でもあるカルレアが挨拶しようと部屋に向かう。
カルレアの部屋の前に着き、扉をノックした。
「はぁい。どなたですか?」
「俺だ」
信康が答えると、直ぐに扉が開いた。そしてカルレアが出て来ると、そのまま信康に抱き着いた。
「おはよう、そしてお帰りなさいっ。今日は仕事の方は、良いのかしら?」
「ああ、大丈夫だ。明けだから、特に問題は無い」
警備任務は完了したとライナに言われているので、信康はザボニーの捕縛やカロキヤ公国の諜報組織摘発に専念出来るのだ。
「そうだったの。それで御用件は何か聞いても?」
「ちょっと、シエラに頼みたい事があってな」
「シエラさんに用が? ああ、そうだった」
そう言ってカルレアは一旦部屋に引っ込んだ。
戻ってくると、手には紙を持っていた。
「少し前にシエラさんが出掛けたのだけど、その時にこの手紙を貴方に渡してくれと頼まれたのよ」
「俺に? 何だ、一体・・・?」
信康はカルレアから手紙を受け取ると、中身を開いた。
『ノブヤス殿へ
先ずは出獄の方、おめでとうございます。貴方に直接、口頭で祝わない無礼をお許し下さい。
この手紙を読んでいる頃には私は末妹の屋敷に居ますので、用がありましたら訪ねて下さい。末妹もノブヤス殿と会える事を喜ぶ事でしょうから。
PS
別途の紙に末妹の屋敷の住所を記しておきます。その紙を見て来て下さい。
最後に出来ればレズリーさんやアメリアさんがアルバイトをしている、妖精の隠れ家で絶賛販売中の一番人気のパウンドケーキを一つ買って来て下さい。
シエラザード』
信康はその手紙を読み終えると、手紙が入っていた紙の中にもう一枚の紙を見つける。
その紙にはその末妹の屋敷の住所が、事細やかに書かれていた。
「うん? この住所、何処かで行った覚えがある様な気がするな? それに俺に会ったら喜ぶって、以前会った事でもあるのか?」
住所が書かれている紙を見ながら、そう呟く信康。
しかし頭を捻っても誰の屋敷で会ったかまでは、信康も思い出せなかった。
「シエラさんは何と?」
「末の妹の屋敷いえに居るから、用があるなら手土産の一つでも持って来いとさ」
「そう。じゃあ私も、これで」
「ああ、じゃあな」
カルレアのアパートメントを後にした信康は再び斬影に騎乗して、レズリー達がアルバイトをしているカンナ地区にある妖精の隠れ家に向かっていた。
カルレアのアパートメントを出て斬影に騎乗して駆けると、レズリー達が働いている妖精の隠れ家に到着した。
妖精の隠れ家に取り付けられてい店内を覗くと、レズリーとアメリアが一生懸命に働いていた。
頑張っているなと思いつつ信康は斬影から下馬した後、妖精の隠れ家に入店する。
「いらっしゃいませ」
信康を出迎えたのは、妖精の隠れ家の制服に身を通したライリーンであった。
「お前、アルバイト先って此処だったのか?」
「そうよ。悪い?」
目を細めるライリーン。
「お前は接客業なんて苦手な印象イメージがあったから、てっきり別の仕事をしていると思っていたぞ」
「・・・確かに嫌いだけど、出来ない訳じゃないわよ」
ライリーンの話を聞いて無理してないかと心配になった信康だが、要らぬお節介になると思い沈黙を貫く事にした。
「で? 貴方は何の用で来たの?」
「ああ、お持ち帰りでパウンドケーキを一つ頼みたい」
「パウンドケーキね。どのパウンドケーキかしら?」
「何だ。そのパウンドケーキとやらは、幾つもあるのか?」
信康はこの妖精の隠れ家には何度か来ているが、頼んだのは食べ物ばっかりなので甘い物はそれほど詳しくない。甘党である信康からしたら、今更ながら不思議な話であった。
そう言った事情が信康にはあるので、パウンドケーキと言われても何を買ってきたら良いのか分からないのであった。
「ええっと、そうだな・・・一番人気のパウンドケーキで頼むよ」
信康は手紙を出して、其処に書かれている一番人気のパウンドケーキを注文した。
「一番人気ね。だったら、チョコレート味になるわ」
ライリーンにそう言われた信康は、改めてそのチョコレート味のパウンドケーキを注文した。
「大銀貨一枚になります」
「お、おう? 大銀貨一枚とは、意外に高いな」
「冗談よ」
ライリーンがそう言ったので、信康はズッコケそうになった。
「・・・・・・お前さ。冗談を言うなら、もっとこう笑って言わないか?」
「そうね。気を付けるわ」
真顔で言うライリーンは困った様子を見せながら、信康はもう一度値段の方を確認した。
「銀貨二枚と大銅貨五枚になります」
「まぁ、そこそこだな・・・気が変わった。大銀貨一枚払うから、そのパウンドケーキを四つくれ」
それほど高くも無い値段だなと思った信康は、財布から大銀貨を一枚出して四つ注文した。注文の変更に少しばかり面食らったライリーンだったが、直ぐにチョコレート味のパウンドケーキを四つ紙袋に入れて信康に渡した。
「じゃあな。お前も仕事の方、頑張れよ」
「ええ、そうするわ」
そう言うライリーンに、信康は不意に近付いた。
「何よ?・・・はぷ」
何か用と言おうとしたライリーンの口の頬を、信康は引っ張った。
「な、なひするひょの?」
「ほれ、笑顔笑顔。客商売って奴は笑顔でやるのが基本だぞ?」
信康はそう言って、ライリーンの頬から手を離した。
「お前はただでさえ綺麗なんだから、笑顔でやれたら王都中の野郎共を虜に出来る様な魅力的な女になるぜ?」
そう言って信康は退店して行った。
「・・・・・・・・・・・・」
ライリーンは信康が妖精の隠れ家して行っても、その場を動かず頬に触れていた。それからのライリーンは上の空が続いて仕事にならず、体調不良と言う事で早退する事となったのであった。
妖精の隠れ家を出た信康は、シエラザードから渡された紙に書かれている住所に向かう。
「えっと、カンナ地区の森林区だな。こんな所に家を建てる奴なんて・・・・・・ああ、そう言えば」
信康は以前になりかけの魔物を討伐する際にこのカンナ地区でティファと共に、ある魔族の美少女の屋敷で一休みしていた事を思い出した。
「アザリア・アマンモデウスとか言っていたな、あの娘・・・そう言えばあれ以来、顔を見せていなかったな」
もしかしてそのアザリアが、実はシエラザードとアニシュザードの妹なのかと思いつつ信康は歩く。
そうして歩く事、数十分。
紙に書かれている地図の通りに行くと、カンナ地区の森林内にアマンモデウス邸があった。
「やっぱり此処だったか」
信康は斬影から下馬すると、扉の前まで移動して扉をノックした。
少しして扉が開くと、出て来たのはアザリアであった。
「何じゃ。お主か。久し振りじゃな」
「よっ、久し振りだな。頼まれた物を届けに来たぞ」
「頼まれた物とな? 妾は頼んでいないぞ」
「ああ、頼んで来たのはシエラだったな。取り敢えず、屋敷の中に入れてくれるか?」
「シエラ姉様にか? それなら構わん。入るが良い」
アザリアは屋敷の中に、信康を招き入れた。
屋敷の中に入ると信康は、アザリアが気になる事を言ったので訊ねた。
「シエラ姉様って事は、やっぱりアザリーちゃんがシエラの妹なのか?」
「ちゃん付けやめいっ!・・・うむ。妾は三女。つまり、末妹なのじゃ」
「三女って事は、長女がシエラだから・・・やっぱりアイシャもお前のもう一人の姉になるのか?」
「何じゃ。アー姉様の事も知っていたのか。如何にもその通りじゃ」
「へぇ、そうなのか」
信康は頭の中で、シエラザードとアニシュザードとアザリアを並べた。
三人共、似ているという感じがしなかった。
「・・・確か魔族って血が繋がった親子や兄弟姉妹でも、似ても似付かないって聞いた事があるからな。別に不思議じゃないか」
「それはそうと、お主。今日は何用で来たんじゃ?」
「ああ、お前の姉さん。アイシャに頼みたい事があってな」
「ふむ。そうか。まぁアー姉様とも知らぬ仲でも無さそうじゃし、案内しよう」
アザリアがシエラザード達が居る、大広間まで案内してくれた。
その部屋の前まで来ると、アザリアがノックした。
「どなた?」
「妾です。アー姉様」
「あら、アザリー。来客は帰ったの?」
「いえ、違います。アー姉様に用があるとかで、案内して来ました」
「私に?・・・誰かしらね? 取り敢えず、部屋に入れてくれる?」
アニシュザードが入室許可を出したので、アザリアが扉を開ける。
先にアザリアを部屋に入れて、信康はその後に続いた。
「あら、貴方だったの?」
「ふふふ、御久し振りです。ノブヤスさん」
アニシュザードはちょっと驚いた様子で、シエラザードは予想通りと言わんばかりに微笑みながら信康を出迎えた。




