表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信康放浪記  作者: 雪国竜
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/418

第153話

 カロキヤ公国軍が仕掛けた挑発行為からの偽装撤退による誘引計にものの見事に引っ掛かった第四騎士団は、カロキヤ公国軍の猛攻により身動きが取れない状態だった。


 撤退する騎兵部隊を追撃して低空飛行していた為に、制空権を有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊三百騎に奪われて魔法攻撃の雨を浴びせられていた。有翼鹿(ペリュトン)とは、翼を持つ大柄な鹿の魔物である。中位等級に分類される、C級の魔物だ。同じ中位等級の魔物でもB級の天馬(ペガサス)の方が格上なのだが、地の利と数の差に押されて苦戦していた。


 更に伏兵として左右の茂みに隠れていた弓兵部隊からも、矢雨を浴びて集中攻撃を受けていたからだ。其処でゲルグスは密集隊形を取り中心に近い団員達に反撃させ、カロキヤ公国軍の攻撃を少しでも軽減させようと頑張っていた。


 しかし、それでも、限界と言うものがある。そしてその限界は時を待たずして、第四騎士団に訪れ様としていた。


「ゲルグス様。このままでは魔法障壁(バリア)の魔石の中和限界を越えます! 撤退しましょう!!」


 団員の一人が、そうゲルグスに提言した。


 戦いに出た以上、犠牲は出るのは当然だ。例えどれだけの圧勝劇であろうと、犠牲者が出ないなど余程の幸運がなければ得られない。


 況してやこの様な敗走寸前の戦況ともなれば、それ相応の損害も覚悟しなければならない。しかしそれでも出来るだけ部隊の被害を減らそうと最善を尽くすのが、第四騎士団が誇る十二天騎の一人として課せられている自分の務めだ。


 絶体絶命の窮地に立たされたゲルグスは、自分にそう言い聞かせて、最後の最期まで踏ん張る事にした。


「もう少し堪えなさい。わたくし達の後続には、第五騎士団と傭兵部隊が近くにおりました。現在(いま)は、敵の妨害を受けて来られませんが、もう少し耐えれば必ず来ますっ。それまで皆、耐えなさい!!」


 ゲルグスも盾で飛んで来る魔法や矢を防ぎながら、第四騎士団に活を入れて士気低下を防いでいた。ゲルグスが言っている事は、飽くまでも希望的観測に過ぎない事だと第四騎士団の団員達も分かっている。


 ゲルグスが諦めて居ない以上、自分達も諦めようとは思わなかった。ゲルグスの激励で第四騎士団は辛うじて、士気が崩壊する事無く膠着状態を維持していた。しかし間もなくその薄氷の如き現状が、破られそうになる事態が第四騎士団に襲い掛かる。


「ゲルグス様っ、西より大鷲(ビッグイーグル)に騎乗した、新手の敵飛行兵部隊が来ます。数は凡そ百騎!」


 団員がそう言うので、ゲルグス達は西の方向を見る。すると報告通り大鷲(ビッグイーグル)に騎乗した、大鷲(ビッグイーグル)飛行兵部隊がこちらに向かって来るのが見えた。


 大鷲(ビッグイーグル)は中位等級に分類される、B級の魔物だ。その名称通り、人間が騎乗可能な程の巨大な猛禽類である。風魔法を使える上に、その気になれば牛一頭すら、その鋭い鉤爪で掴んで運搬する膂力の持ち主なのだ。


「ゲルグス様。今度は東から鷲獅子(グリフォン)に騎乗した、新手の飛行兵部隊が来ますっ! 数は百五十騎ほどですっ!」


 カロキヤ公国軍の増援は、西だけでは無かった。団員の報告通り、今度は鷲獅子(グリフォン)に騎乗した、鷲獅子(グリフォン)飛行兵部隊が東から第四騎士団に迫って来た。


 鷲獅子(グリフォン)は高位等級に分類される、A級の魔物だ。見た目の勇壮さと高い戦闘能力を持つ事から、紋章に使われる程に人気が高い。そして財宝を巣に貯め込んでいると言う逸話が出来る程、光り物が大好物だと言う特徴を持つ。


「ゲルグス様。数は凡そ五十騎と少ないですが、北からも飛竜(ワイバーン)に騎乗した飛行兵部隊が迫っておりますっ!」


 最後に団員の報告通り、北からは飛竜(ワイバーン)に騎乗した、飛竜(ワイバーン)飛行兵部隊が最後に第四騎士団へ迫って来た。このままでは第四騎士団は地上の弓兵部隊に加え、四方を飛行兵部隊に完全包囲されてしまう。


 因みに飛竜(ワイバーン)とは腕と翼が一体化した、飛行に特化している亜竜の一種だ。更に尻尾には猛毒を分泌する、鋭い毒針が付いている。

 竜種の中では弱い部類なのだが、それでも高位等級に分類されるA級の強力な魔物である。余談だが世界中の国々では、竜種に騎乗出来る人物は一際特別な存在と特別視されている。そしてその様な人物は、竜騎士(ドラグーン)と尊称されている。

 

「ちっ! 完全にわたくし達を包囲して、逃さない心算かしらっ・・・全くっ! わたくし達が良い女だからと言っても、殿方にモテ過ぎるのも考えものですわねっ!!」


 ゲルグスの軽口を聞いて、第四騎士団からは笑声が響き渡った。それにより、緊迫した空気が少しばかり和らいだ様に感じた。尤も、第四騎士団は未だに絶体絶命の窮地に立たされており、現状が幾分も好転出来た訳では無い。それを一番良く理解しているゲルグスは、心中では焦燥していた。


(どうする? このままでは嬲り殺しに・・・いいえ、それだけならまだ良い。もし生きたまま囚われでもすれば、辱めの限りを・・・わたくしだけならまだしも、皆にまでその様な目に遭わせる訳にっ! ああっ、わたくしが他力本願せずに欲張らないで早く血路を開いておけばっ! そもそもわたくしがあの様な見え透いた敵の挑発に乗らなければ、この様な事には・・・っ!!)


 ゲルグスは自身が下した愚断に、心底後悔していた。こうなっては自分が先陣を切ってでも第四騎士団の為に血路を開こうと号令を下そうとした、その瞬間に事は起こった。


帰命したてまつる(ノウマク)あまねき(サマンダ)諸金剛よ(バザラダンカン)梵天よ(ブラフマー)焼き尽くせ(ソワカ)


 その詠唱が聞こえたと思うと、南側から赤い極細の光線が発射されて南に展開していた有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊に襲い掛かった。


 赤い光線は一本だけでは無く、数百本にも及び全ての有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊を貫いた。放たれた赤い光線が消滅した頃には、南に展開していた有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊は一騎残らず撃墜され地上に落下して全滅した。


「ゲ、ゲルグス様っ! 南側に展開していた、有翼鹿(ペリュトン)の飛行兵部隊がっ・・・っ!」


「み、見れば分かりますわっ!・・・しかしあの赤い光・・・あれは、一体・・・?」


 有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊が全滅した事実に、驚きの声を上げる第四騎士団。しかしその原因は、第四騎士団の誰にも分からなかった。


 そしてカロキヤ公国軍にとって不幸な驚きが、第四騎士団にとっては奇跡と呼んで過言では無い現象は続いた。


(オン)迦楼羅よ(ギャロダヤ)焼き焦がせ(ソワカ)


 今度は上空から大きな炎弾が、二つ程飛んで来た。その大きさは信康とフラムヴェルが決闘をした際に、宝具級魔宝武具の爆炎連弾(フレア・ヴァルカン)から放たれた炎弾よりも遥かに大きかった。

その炎弾は真っ直ぐ、カロキヤ公国軍の弓兵部隊が潜伏している森に落下した。


 着弾した炎弾は一拍置いて、爆発音を響かせて森に火を絨毯の如く広げた。その炎により、弓兵部隊は全員焼かれて悲鳴も上げる間も無く焼死して全滅した。


「これで良しっと・・・流石ルノワだな。予定よりも早く来れたぜ」


「っ!? なっ、何者かっ!?」


 第四騎士団の前に、鳥を模した赤い鎧を着た男性が現れた。敵味方の判別が付かない正体不明の登場人物に、第四騎士団の団員達は警戒して一斉に得物を向けた。第四騎士団の団員達に得物を向けられた、鳥を模した赤鎧の男性は肩を竦めながら開口した。


「おいおい。随分な御挨拶だな? カロキヤ軍を片付けてやったと言うのに、その反応は無かろうよ?・・・ってまぁこの姿では、見ただけで俺だとは気付かんか」


「そっ、その声はっ・・・貴方はまさか、ノブヤスですのっ!?」


 ゲルグスが鳥を模した赤鎧の男性の声を聞いて、漸くその正体が信康である事に気付いた。ゲルグスの反応を聞いて、他の第四騎士団の団員達も慌てて得物を収めた。信康はゲルグスの姿を見て飛行したまま、三尖刀を持って居ない左手を振りながら声を掛ける。


「おーゲルグス。お前も無事だったみたいだな。重畳、重畳・・・ん? やっぱりお前も俺のこの姿が気になる口か? 説明するとだな。俺が普段持っている刀・・・あれは魔甲剣の一種で、俺の魔宝武具(マギ・ウェポン)なんだよ」


「そんな大層な代物(もの)を貴方が持っているだなんて、聞いていませんわよ?」


「ははははっ。当然だろう? 俺みたいな傭兵が魔宝武具(マギ・ウェポン)を持っているなんて知られたら、妬まれて命ごと狙って来る奴等が現れる可能性が高い。事実、何度もそうなった事があるんだ。だから今回みたいに必要が無い限り、自分から見せびらかす様な真似はしないさ」


「確かにそう言われてみれば、納得出来る話ですわね。それにしても先程の飛行兵部隊と弓兵部隊を一瞬で殲滅させたその性能・・・凄まじい力を秘めた魔宝武具(マギ・ウェポン)とお見受け致しますわ」


「お褒めのお言葉、恐悦至極・・・まぁこの鎧()集団戦と空中戦用の鎧だからな」


「この鎧()という事は、貴方・・・まだそれと同等の性能を誇る鎧を、持っていると言う事ですの?」


「その通りだ。この金翅鳥鬼鎧きんじちょうきのよろいは確かに俺の切り札だが、飽くまで手札の一枚に過ぎない」


『・・・・・・・・』


 信康の言っている事に、ゲルグス達第四騎士団は言葉を失う。そうして信康達が雑談をしている間にも、南を除く三方面からカロキヤ公国軍の飛行兵部隊が迫って来る。


「おっと。こうして悠長に雑談をしている場合では無かったな・・・此処は俺が引き受ける。第四騎士団(お前等)は後方に居る、オストル達と合流しろ」


「なっ!? お、お待ちなさいっ! これからやって来る飛行兵部隊は、A級の鷲獅子(グリフォン)飛翼竜(ワイバーン)、B級の大鷲(ビッグイーグル)に乗っている飛行兵よ。貴方が先程葬った、C級の有翼鹿(ペリュトン)など比べものにならない強力な魔物ですのよっ! それをたったお一人でだなんて・・・」


 ゲルグスは無謀だと言って、信康の行動を止めようとする。他の第四騎士団の団員達も口では何も言わないが、ゲルグスの意見に同意して何人かが首肯していた。


「おっ? 俺の身を案じてくれるのか?」


「茶化さないで下さいましっ!? わ、わたくしは本気で貴方の事を心配して・・・っ!」


 信康が揶揄う様にそう言うと、ゲルグスは怒って信康に反論しようとした。しかしその途中で信康がゲルグスの頭をポンと優しく手を添えたので、ゲルグスは驚きながら閉口した。そんなゲルグスに、信康は優しく声を掛けた。


「心配してくれてありがとうな・・・だが、此処は俺に全部任せて、第四騎士団(お前等)はオストル達と合流しろ」


「っっ・・・・・・分かりましたわ」


 ゲルグスは自分より大きな信康の手の感触と温もりを感じながら、優しい眼差しを向ける信康にドキッと胸を高鳴らせた。そして自身の無力さと力不足に苛立ちながらも、撤退する事を承諾した。実はその際に第四騎士団の団員達の何割かが、ゲルグスと同様に信康を見て胸を高鳴らせていた。


「総員っ! 撤退開始っ!!・・・ノブヤスッ! 合流して態勢を立て直したら直ぐに戻って来ますから、この借りを返すまで死ぬんじゃありませんわよっ!?」


 ゲルグスの号令を聞いて、第四騎士団は撤退を開始した。その際に何人かの団員達は信康に、「感謝します」や「御武運を」と言って感謝してから撤退した。ゲルグスは第四騎士団が撤退するのを確認してから、信康にそう言って最後尾に付いて撤退しその場を去って行った。


「・・・戻って来なくても良いのになぁ」


 信康はゲルグスの言葉を聞いて、肩を竦めるしか無かった。


 そうしていると、カロキヤ公国軍の飛行兵部隊が目前まで来た。


 カロキヤ公国軍の飛行兵部隊は、信康の姿を見て怪訝な表情を浮かべる。


「何だ。あれは?」


「あんな味方など知らん。だとしたら、敵だろう」


「ならば、倒すのみっ!」


 信康の下へ、最初に大鷲(ビッグイーグル)飛行兵部隊が襲い掛かって来た。


 信康はその大鷲(ビッグイーグル)飛行兵部隊に、三尖刀を突き出す。


帰命したてまつる(ノウマク)あまねき(サマンダ)諸金剛よ(バザラダンカン)梵天よ(ブラフマー)焼き尽くせ(ソワカ)


 信康がそう詠唱すると、三尖刀の穂先から赤い極細の光線が三十本程生まれて発射された。


 発射された赤い極細の光線は、信康に向かって来る大鷲(ビッグイーグル)飛行兵部隊三十騎を貫いた。


 そして赤い極細の光線が消失すると、大鷲(ビッグイーグル)と騎乗していた騎兵の身体に焼いた様な穴が空いていた。そして間も無く地上に向かって落下する。中には赤い極細の光線に貫かれずに済んだ騎兵も居たが、その騎兵は飛行手段を失って悲鳴を上げながら転落死すると言う末路を辿った。


「な、なんだとっ!?」


「あれはまさか、魔宝武具(マギ・ウェポン)かっ!?」


「ええいっ、一斉に掛かれっ!! 数で押し込めっ!!」


 鷲獅子(グリフォン)飛行兵部隊の部隊長がそう指示すると、飛行兵部隊全二百七十騎が一斉に信康に襲い掛かる。全飛行兵部隊の隊員達は先程と違い、決死の覚悟で信康に挑もうとしていた。対象的に信康は、悠長にある事を考えていた。


「良く覚えていないけど、此処に居る魔物の素材って結構価値があるんだよな・・・此処はやっぱり、なるべく傷付けない方向で行くとしますか」


 信康はそう判断して、三尖刀を構えてながらカロキヤ公国軍の飛行兵部隊に突撃した。



 信康の殿軍を買って出た事で、第四騎士団は後方に居たオストル達と合流する事に成功した。第四騎士団がオストル達と合流した頃には、ルノワ達第四小隊の手でカロキヤ公国軍の鷲頭馬(ヒポグリフ)飛行兵部隊は丁度全滅していた所だ。


 カロキヤ公国軍の鷲頭馬(ヒポグリフ)飛行兵部隊はルノワ達に敵わないと悟って退却を試みた様だが、逃げ切れず全滅した。その戦闘が終了した直後にまるで図った様に、オストル達は退却した第四騎士団と合流した。


 すると、ゲルグスは必死の形相で、信康の応援に向かう事を懇願した。オストル達は無理をしない様にと言ったが、態勢さえ整えば戦えると頑なに拒否し第四騎士団の団員達もゲルグスに同調していた。其処でオストル達は部隊を編成し直した後、直ぐに信康の下へ向かった。そして戦場に戻った頃には、驚愕の光景が残っていた。


 既に戦闘は終了しており、カロキヤ公国軍の飛行兵部隊は全て殲滅されていた。大鷲(ビッグイーグル)鷲獅子(グリフォン)飛竜(ワイバーン)も全て、物言わぬ死体になっていた。そしてその魔物達に騎乗していた飛行兵も当然、死体になったまま放置された。しかし、何故か信康の姿だけは見当たらなかった。


 状況が状況なので、ルノワ達の脳裏に最悪の結果が過ぎった。特にゲルグスの態度は顕著に表れており、真っ先に焦燥しながら信康を捜索し始めた。ある程度の時間が経過しても見付からず、思わず涙がでそうになった瞬間、信康が上空から登場した。


 信康の姿が見えた瞬間、ルノワ達から大歓声が上がった。それは第四騎士団と第五騎士団からも歓声があった。


 信康曰くカロキヤ公国軍の飛行兵部隊を殲滅後、周辺を簡単に索敵を行った。すると戦場跡から僅か五キロ先の森に、カロキヤ公国軍の拠点が隠してあったのだ。


 信康は早速カロキヤ公国軍の拠点を潰して、戦利品を回収していたらしい。


 信康が戦場跡に不在だった理由は、まさにそれだった。それを聞いたゲルグスは心配を掛けるなと、涙目になって信康を殴った。ゲルグスに殴られた信康は、ただ苦笑するしかなかった。


 それから戦闘で倒した魔物達の死体は全て回収し、カロキヤ公国軍の兵士の死体を全て信康が焼却処分にした。


 信康達が本陣に残っていた軍馬を回収後に、村へ撤退。日が暮れる前に村に帰還してから信康達は知ったのだが、信康が危惧した通りカロキヤ公国軍の別動部隊である騎兵部隊一個大隊四百騎が再び村を襲撃したらしい。しかしそれもアルテミスとケンプファの指揮の下、カロキヤ公国軍の別動部隊を一騎も逃す事無く殲滅に成功したそうだ。更にケンプファは騎兵部隊の部隊長を、馬ごと真っ二つにして討ち取ったと報告も受けている。


 今回の戦闘でカロキヤ公国軍が動員した兵数は、総勢で三個大隊三千にも上る。その内訳は、以下の通りだ。弓兵部隊、三個中隊六百。騎兵部隊、二個中隊四百騎。飛行兵部隊、一個大隊一千騎。その内訳は鷲頭馬(ヒポグリフ)飛行兵部隊、二個中隊四百騎。有翼鹿(ペリュトン)飛行兵部隊、二個中隊三百騎。大鷲(ビッグイーグル)飛行兵部隊、二個小隊百騎。鷲獅子(グリフォン)飛行兵部隊、三個小隊百五十騎。飛竜(ワイバーン)飛行兵部隊、一個小隊五十騎。最後に拠点に丁度物資を運搬していた補給兵部隊、一個大隊一千。


 カロキヤ公国軍全軍の一割以上に相当する、その少なくない戦力をカロキヤ公国軍は一日にして全て失った。そんな惨状を知らないカロキヤ公国軍の本陣は、消息不明になった三個大隊の行方を捜索すべく飛行兵部隊一個小隊を偵察部隊として出陣させた。戦場跡に偵察部隊が到着すると茂みに必死で隠れていた、大怪我をしたカロキヤ公国軍の兵士を一人発見した。


「化物・・・化物が、襲い掛かって来たんだっ・・・・・・」

 そう言い残して、カロキヤ公国軍の兵士は息を引き取った。偵察部隊は聞いた内容に慄いて、急ぎカロキヤ公国軍の本陣に帰還してそう報告した。


 するとプヨ王国軍の仕業なのか魔物の仕業なのか判別が突かないカロキヤ公国軍は、真相を知るまで大いに混乱し士気が低下する事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ