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ガリ勉の俺がエロゲーの竿役に転生したが童貞すぎてラブコメは無理  作者: 揚羽常時


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第15話:マキノの才能


「おい。アレ見ろよ」


「マジイイ女過ぎね?」


「声かけてみるか?」


 騒めく駅の男ども。既にギャルっぽい春のジャケットを着た小比類巻マキノがスマホを見ながら俺の到着を待っていた。俺はマキノに近づくと彼女の肩を抱いて、そのままギロリと周囲の男を威圧する。


「あ♡」


 その俺の自己主張に、愛らしい声を上げるマキノ。


「まったく不愉快な……」


「えへへ」


「マキノは何で嬉しそう?」


「いや。だってアクヤが俺の女だムーブしてくれたから」


「俺の女だろ」


「そうだったね。アクヤの女だよ。誇らしいでしょ? こんなにおっぱいの大きい女の子を独占して」


「ついでに可愛いしね」


「もう。もう。反則だぞ♡ アクヤ……」


「とりあえず行くぞ。デートとか俺したことないからわからんが」


「ラリルトリオとは?」


「ラリルトリオ?」


「ホムラのラ。コヲリのリ。カホルのル。で、ラリルトリオ」


 うーむ。斬新なネーミング。


「出かけたことはそんなにないな」


「じゃあウィンドウショッピングでもしよっか」


「いや。買っていいぞ? 予算上限なし」


「カード持ってるとか」


「よくわかったな」


「いや。冗談のつもりだったんだけど……」


「俺はいい女を侍らせてマウントを取る。お前は俺から金を引き出す。だろ?」


 童貞が何言ってんだって話だけど。


「でも消費物以外を買われると処理に困るし。ウチは経済的に貧困層だから。高級な服とか買って帰るとお母さんの疑惑を招くの」


「男に買ってもらったって言えばよくね?」


「多分アクヤの自宅にお邪魔して現金返済すると思うよ?」


「ウチの娘がすみません、みたいな?」


「そこら辺の常識感はキッチリしてるから」


「いいお母さんなんだな」


「自慢ではあるんだけど、だから服とかアクセサリーは無しかな」


「わかった。じゃあまずは消費物を奢るか」


「どこ行くの?」


「スタブ」


「まぁカフェなら証拠も残らないか」


 そして俺たちは駅にあるスタブに顔を出し、ほにゃららペチーノを頼んで、デートの合間とした。俺はスマホを弄って父親に連絡。SNSでなら問題はないだろう。ちょっと力を貸してほしい旨と、その内容を送信。思ったより早く返信コメントが来て、ついでに詳細な地図が付随していた。ここに行けばいいのか。適当にウィンドウショッピングをした後で、そこに向かえばいいわけだ。


「服の一着もダメか?」


「多分ダメだと思う。アクヤもお母さんから現金納入されたくないでしょ?」


「俺の立場が無いな」


 なんか最近九王アクヤムーブも慣れてきたな。


「だから昼飯奢ってくれる? それで手打ちとします」


「お前はそれでいいのか?」


「もち。アクヤと食べるなら定食屋でも美味しいに決まってるもん」


「じゃあ、ちょっと紹介された店があるから。ウィンドウショッピングが終わったらそこ行くか」


「どこどこ?」


「それは着いてのお楽しみ」


 人差し指を唇に当てて、ニッと俺は笑った。で、駅近もモールを巡って、ちょっと指輪を買うかどうかの問答をして、そのまま婚約してくれるなら受け取るよと言われたので、そこは断念。ヘタレとなじられたが、ラリルトリオもいるのでいきなりマキノを正妻扱いはな……。そうして問答をしながらモールを歩き。昼飯頃になって、タクシーを呼び止める。表示された地理名を答えて、そこまで送ってもらう。


「お昼ご飯楽しみだなぁ」


 ニコニコしているマキノ。で、付いたのは一件の寿司屋。もちろん回らない方。


「え?」


「証拠物品が残らなければいいんだろ?」


「いや、いやいやいや」


「ちなみにもう予約はしているからキャンセル料を俺に払わせる気は無いよな?」


 理論で追い詰める。


「マジ?」


「ガチだ」


 で、入店。九王の名前で予約し、席を確保して貰っていた。


「とりあえずランチ定食を二つ」


 寿司とおかずと吸い物のセットだ。それでも日本円で五桁はするのだが。寿司が来て。それを頂きます。うん。美味い。オヤジのオススメだけある。


「あの、ちょっと、あーしの心臓についても考えて?」


「まぁいいから。ブランドの服を奢ってもらったと思って楽しめ」


「楽しめ……って」


「ちょっと話もしたかったしな」


 俺としてはそっちが本題。個室を用意してもらって。誰にも聞かれないように……というほど深刻な話でもないんだが。


「お前さ。自分で金稼げるとしたら働きたいか?」


「まぁ。そりゃ。アクヤのセフレとは別方向で稼げるなら飛びつくけど。言っとくけど頭悪いし要領悪いし体力も無いよ?」


「ちょっと思いつくことがあってな。グラビアアイドルとか興味ないか?」


「グラドル? あーしが?」


「そ。水着着て写真に撮られるだけの簡単なお仕事」


 決して簡単ではないのだが、なんとなくマキノに向いているんじゃないかと思ったのだ。


「ファッションモデルと兼任で。出来ると思うんだが」


「いや。あーしが?」


「だってマキノ美少女だし。モテるだろ? おっぱいも大きいからグラドルはマストじゃね? どうせ転校前の学校でも告白されまくったろ」


「…………わかる?」


「俺も惚れてるから」


「美少女でおっぱい大きいからグラドル?」


「まぁお前の返答次第だが。ホムラを売り込もうかなって思ってて。どうせならお前も一緒だと捗るんじゃないかと」


「人気出ないと稼げないんじゃない?」


「そこはマーケット次第だな。一応九王グループの名刺切って信用できる会社に頼むつもりだが。最初は駅の交通代くらいしか出ないからそこは認識してもらう」


「あーしが……グラドル」


 さっきも言ったがおっぱいも大きいし可愛いしで天職だと思うんだが。若い内にしかできない仕事でもあるし。バイトの容認については俺から学校側に説明してもいいしな。


「もしあーしがグラドルしたら……アクヤは嬉しい?」


「抜くと思う」


「そっかー。抜くのかー」


 九王アクヤの性欲だとそれくらいは普通に出来る。マジで持て余してるからな。


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