第12話: アイドルになりたい……かも
「美味かった」
そうして一学期もちょこっと慣れた頃。俺はコヲリの作ってくれた朝飯を食べて、そうして学校に登校する。登校するタイミングはズラしているので、問題はないはず。ただしあくまでカホルとコヲリとホムラがマズいってだけで。
「一緒に登校しようね♪ アクヤ?」
マキノは俺と登校したがった。アレからチョクチョク俺の部屋に入り浸るマキノだったが、どうやら家はちょっとオンボロらしく、住み心地がダンチだと言っていた。とはいえ毎朝朝帰りをするわけにもいかず。たまに来る程度。ただし土日は絶対にうちで泊まっていく。昨夜は二條姉妹と一緒に熟睡して、コヲリが俺の背中に抱き着いて、ホムラを俺が抱きしめた形だ。とても恥ずかしかったが、それはそれとして気持ちよくもあって。性奴隷なんだから抱けよ、と思われるかもしれないが中々それも難しく。
「陰キャだよなー。俺って」
「別にそんなカテゴライズしなくてよくない? それにその顔で陰キャは無理があるって」
それはそう。顔だけは陽キャなんだよ。ヒロインの夜のお相手が出来ないのが陰キャであって。
「そ・れ・よ・り~」
ニヒッとマキノが笑って、俺の腕に抱き着いてきた。
「どう? あーしのおっぱい」
「ブラ付きだろ」
「でも感触はわかるっしょ?」
「まぁ。そりゃあ。なあ?」
「揉みたいなら揉んでいいだよ?」
「童貞に難しい要求しないで」
「そうやって童貞を言い訳に使うよね」
「実際童貞だしな」
なので、この話はおしまい。
「小比類巻さんと登校……だと?」
「クソぅ。俺狙ってたのに……」
「小比類巻さんエロいよなー。マジでいきり立つ」
ほら、色々言われてるぞ。実際にマキノはエロイ。カホルと同じくらいメスの印象がムンムンする。男はムラムラしてしょうがないだろう。
「おはよ。アクヤくん」
で、そのまま教室まで顔を出すとホムラが声をかけてきた。
「ああ、おはよ」
俺は彼女の燃えるような赤髪を撫でる。それだけで嬉しそうな顔になるホムラ。
「…………ボソボソ(ホムラ、メスの顔になってる)」
「…………ボソボソ(マキノだっておっぱい押し付けていたくせに)」
「何を内緒話してる?」
「別に何でも」
「ないです」
男に聞かせらえない話かな? そうして学校が始まって。授業を受けて。まぁ理解は出来て。それとは別のことを俺は考えていた。そのままチラリと隣を見るとマキノと目が合って。彼女は窓際最後方。俺はその隣。で、マキノがニヒッと笑う。なにか余計なことを思いついたらしい。制服のスカートを持ち上げて、少しだけパンチラする。
「…………ヒソヒソ(サービスサービスぅ)」
口パクでそう言って、ニヒヒと笑う。今日のマキノはシマパンで、ギャルなのにっていうギャップが良く映える。いやしかしマキノのおパンツかぁ。マジで興奮するな。処理が大変そうだ。そうして昼休み。
「アクヤくん。一緒に御飯食べよ?」
ホムラがそう言ってくる。クラスメイトとして自然にそう言うことは不自然じゃない。ちょっとだけクラスはざわついたけど。まぁ別にって感じ。そうしてマキノと別れ、コヲリとカホルと合流して学食に行く。そうして四人で四人掛けのテーブルに座って飯を食い始めるが。
「目立ってるな」
「目立ってるね」
「……目立ってますね」
「目立ってるぞ」
異様な注目を集めていた。というのも俺こと九王アクヤが学内の三大ヒロインと昼食を共にしているのだ。違和感と言うほどじゃないだろうがルサンチマンは確実に持っている。気にする俺でもないけど。
「ところでアイドルの件はどうするんだ?」
俺はこの前のことを聞いてみた。スカウトされていたし。なんだかなぁ、な感じ。
「前にも言いましたけど、私は別に」
「……私もあまり惹かれませんね」
「ホムラは?」
チラと、彼女を見る。言葉を言いにくそうにしていた。カホルとコヲリが興味ないと言った手前、言いにくいのだろう。俺はそんなホムラにニッコリ微笑む。
「大丈夫だから。バカにしないから。素直に言ってごらん?」
「えと……やってみたいです……アイドル」
「そっか」
「あ、もちろん……その……アレ……お仕事……というか……アクヤくんへのアレには支障が出ない感じで」
さすがに学食で俺の性奴隷にお仕事が、とか言えないのだろう。俺も言われたら困るのでヒフティヒフティ。
「そっか。アイドルになりたいのか」
「ホムラちゃん歌上手いですよ。ダンスは知りませんけど」
「そこら辺はおいおいやっていけばいいだろうが。アイドルかぁ」
「アクヤくんは反対?」
「いや、応援はするよ。ただ下手なプロダクションに所属させると、それはそれで色々と問題があるというか。どうせならウチの名刺切って大手に所属させた方が……」
「だ、ダメだよ。そんなズル……」
「ズルじゃないって。美少女を資産運用するのがアイドルなんだから、ホムラという美少女の商品価値を適正にプロダクションにアピールするだけ」
「アクヤくんはそれでいいの?」
「…………ボソボソ(もちろん俺の性奴隷であることも忘れずにな?)」
「あ♡ うん♡」
キラキラと目をハートにしてホムラは頷いた。俺はそれで満足してとり天定食を食べることに専念する。
「ホムラちゃんがアイドルかぁ。何するのかな?」
「まずはグラビアだろ。これなら歌もダンスも必要ないし」
「でもあたしおっぱい無い」
偽乳を揉むホムラ。ホムラがAカップでコヲリがDカップ。ただ胸で二人を区別されないようにホムラはパッドでDカップを装っているのだ。
「大丈夫大丈夫。写真加工で何とでもなるから。今時の画像加工技術は神レベルだぞ」
「じゃあ大丈夫……なのかな?」
「やってみて悪いとは言わないが。実際にホムラは可愛いし」
「アクヤくん……」
で、またポーッと俺を見るホムラ。
「…………ボソボソ(……ホムラちゃん……メス顔になってます)」
「…………ボソボソ(ホムラ。ちょっとアクヤ様に惚れすぎ)」
コヲリとカホルがホムラにコソコソと何かを話していた。何だろう?
「じゃ、お先に失礼して」
俺はお盆を持ち上げて、そのまま返却棚へ。
「ホムラがアイドルねー」
グラビアくらいから入るのは妥当だと思う。それで社会の注目度を測れるし。いきなり歌って踊れるアイドルにならなくても、写真に撮られるくらいはホムラでもこなせるだろう。ファッションモデルでもいいかもしれないな。そこら辺の仕事を探してみるか。九王グループなら関わっている会社あるだろうし。
「三人との昼食は楽しかった?」
「とってもだな」
最後に。マキノと合流して、そのおっぱいを肘に押し付けられ幸せな俺だった。




