再会
次の日……と言っていいのか分からないが、私はまた一眠りして、目を覚ました。
晴れ晴れとした青空を眺めながら、もぞもぞと起き上がる。
『何時間くらい、眠ったんだろう?』と疑問に思いつつ、私はベッドから降りた。
乱れた服や髪を整える中────不意に部屋の扉をノックされる。
どこか懐かしいリズムに目を細めつつ、私は『どうぞ』と声を掛けた。
「────失礼します」
扉越しに聞こえた声は、聞き覚えがあって……思わず目を見開く。
『まさか……』と絶句する中────扉の向こうから、見知った人物が姿を現した。
「────ハワード……?」
「はい」
「ほ、本当にハワードなの……?」
「はい」
淡々とした様子で返事をするハワードは、至って冷静だった。
生前と変わらぬ彼の態度に、私は『本物のハワードだ』と確信する。
そして、一気に色んな感情を溢れさせ────私はポロポロと大粒の涙を零した。
再会なんて、有り得ないと諦めていたのに……またハワードに会えるなんて!まるで、夢のようだわ!
喜びに満ち溢れる私は、嗚咽を漏らしながらもニッコリ笑う。
人知れず感動に浸る中、ハワードは深々と……本当に深々と頭を下げた。
「レーヴェン様の温情で天使となり、メイヴィス様のお世話を命じられました。もしも、ご迷惑でなければ────今後も、お仕えすることをお許しください」
私のお世話……?じゃあ、これからも一緒に居られるの……?
天使になったことよりも、お世話係に任命されたことに反応を示す私は、大きく目を見開いた。
息が詰まるほどの喜びと幸せを感じ、私は膝から崩れ落ちそうになる。
また以前のように過ごせるのかと思うと、嬉しくて……声すら、まともに出せなかった。
意図せず沈黙を守る中、ハワードは言葉を続ける。
「ご不満であれば、遠慮なく仰ってください。メイヴィス様をお守りできなかった私に、温情など不要です」
自責の念に駆られるハワードは、『要らないなら、捨てろ』と主張した。
自分のことをまるで物のように扱う彼に、私は困惑するものの……真剣味を帯びた声色や眼差しから、本気であることはよく分かった。
天使の証である純白の翼を一瞥し、私は何とか声を絞り出す。
「それを言うなら、私だって……!ハワードを騒動に巻き込んでしまったわ!」
「いえ、『巻き込まれた』とは思っていません。私はメイヴィス様のお世話係兼教育係として、当然のことをしたまでです。まあ、最後まで守りきることは出来ませんでしたが……」
「そんなことは……!」
「慰めは結構です。その代わり、私に罰をお与えください。魂を破壊されても、文句はありません」
こちらの反論を跳ね除け、ハワードは重すぎる罰を提示する。
いつの間にか、お世話係の話から処罰の話まで発展し、私は戸惑いを露わにした。




