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変な金髪のおっさん顔の男に絡まれた。

 俺はいったん他の人魚たちと合流し、女王を見つけたことを報告する。

 人魚たちはすぐに助けられないという話を聞いてみんな落ち込んでいるが、人魚の家にあった財宝を換金することでなんとかなるかも知れないと告げると一様に顔が明るくなる。


 もしダメでも違法に取引されたものなのだから強引に奪ってしまうという手もあるが、それは最終手段なのでできればやらずにすませたい。


「ロックさん……お金で落札した場合他の捕まっている亜人たちはどうなるのでしょうか?」

 マデリーンは倉庫にいた他の亜人たちのことも心配しているらしい。

 できれば他の亜人も助けてやりたい。


 俺たちに危険を教えてくれたドラクルも……。

 だけど、金額的に余裕がなければ難しいだろう。

 もちろん、できる限りのことはするつもりだが。


「他の亜人も、もちろんできる範囲では助けるよ。ただ、商人の人気がこれだけある街で彼の悪事を暴くにしても明後日までにどれくらい調べられるかだな。マデリーンたちも色々と手伝ってくれるか?」


「もちろんです。動ける人魚は全員手伝わさせてもらいます」


 できることからやっていくしかない。

 まずは商人の情報を収集するところから始めよう。

 ただな……俺は人魚たちの顔を見渡す。


 人魚たちはどの子も美人で街で見かけたら男たちが振り返るレベルだ。

 こんな美女ばかりが一斉に商人の情報を集め出したら間違いなく商人に情報がいってしまう。

 それどころか、街で騒ぎになって収拾がつかなくなる可能性だってある。


 どうしたものか……。


「ロックさんどうされました?」

「いや、人魚たちが全員美女ばかりだからどうしたものかと思ってさ。このまま調査にいったら間違いなく商人に調べているのが気が付かれると思って」


「えっ今ロックさんが私のことを美人だって」

「違うわよ。私を見て言ったのよ」

「何言ってるの? あんたみたいなブスが何を言っているのよ。あなたはさっさと半魚人に求婚してきなさい」


 人魚たちは何を勘違いしたのか騒ぎ出すと、ここでも収集がつかなくなってしまった。

 全員に言ったつもりなんだが、なんで個人だと思ってしまうのだろうか。

 

 その間になぜかマデリーンは静かに魔力を練っていく。


「マデリーンどうした?」

「ロックさん、ちょっと待ってくださいね。この子たち全員黙らせますので」


 ニコリと俺に向かってマデリーンが微笑むといきなりキャラが変わる。

「あんたら全員ロックさんに色眼鏡つかっているなら邪魔だー!! しばくぞ!」


 マデリーンは人魚たちを全員風魔法で海に叩き落した。

「マデリーンばっかりずるーい」

「そうよ。そうよ。私達だって仲良くしたい」

「そうやってすぐに魔法使うの良くないよ」


「うるさい! うるさい! もう散れ! サンのところへ全員でいって人間になれない人魚の面倒見るのと海の中から沈没船探して売れそうな貴金属探してきなさい!」


 マデリーンは独断で人魚たちを全員海に返してしまった。

 人魚たちは文句を言いながらもマデリーンには勝てないのか俺たちに手を振ったり、投げキッスをしたりしながら海の中へと消えていった。


 人魚たちは意外に軽い性格なのかもしれない。

 結局今残ったのはメイとマデリーンとラッキーだけだった。


「ロックさんこれで大丈夫ですよ。私達だけで情報収集しに行きましょ」

 マデリーンはニコニコしているが今とのギャップが怖すぎる。

 平常心、平常心。

 深呼吸をして何も見なかったことにする。

 

「そうだな。じゃあここは二手に別れよう。シャノンでれるか?」

「もちろんです」


 シャノンが箱庭からでてくる。

「シャノン、マデリーンと一緒に街のお店で商人の情報を探してくれ。俺とラッキー、メイは冒険者ギルドと酒場とかでちょっと調査してみる」


「わかりました。その……メイさんと一緒で大丈夫ですか?」

 シャノンはメイのことを心配そうに見ている。

 まぁさっきまでの暴走キャラを見ていると心配になってしまうのだろう。


「大丈夫だ。メイはラッキーの言うことなら聞いてくれるから」

「そうよ。私をいつまでも子供扱いしないでくれる? 人魚はすぐに大人の女性へと変わるのよ」

 メイはラッキーの首を撫でながらできる女になったと言わんばかりだ。

 すっかりラッキーに懐いたのか、ラッキーも特に嫌がりもせずメイになでさせている。


「シャノンとマデリーンは2人とも美人だから変な男に絡まれるかも知れないが気をつけてくれ。危なければすぐに逃げてもらって構わない。まぁシャノンがいればどんな相手だろうとほとんど問題はないと思うが」


「シャノンさん、ロックさんって自然とこういうの言えるの?」

「えぇ、無自覚でこういうこと言ってきますから勘違いしないように気をつけてください。多分なにも思っていませんから」


 2人がそろって俺に不満のようなことを言ってくるが、別に美人に美人だと言って何か悪いのだろうか。美人に美人だと言わない方が失礼にあたると思うのだが。

 なぜかラッキーは俺の頭に肉球を押し付け首を横に振ってくる。


 ラッキーになにかわかっているよ、みたいなポーズも心外なんだが。

「とにかく時間がないからできる限りやってみてくれ」


「えっと待ち合わせは……ラッキーさん大きいのである程度情報を聞いたらロックさんを探してそちらの方に合流しますね」


「あぁそれで頼む。それじゃあ行くぞ」

 街の商店街までは全員で行き、そこからは別行動をすることになった。


 シャノンとマデリーンの組み合わせはやはり目立つのか、男たちがみんな2人をじろじろと見ている。シャノンもマデリーンも特別気にもしていないが、かなり目立っている。


 メイだけはそれに不満を抱いて少し自分の胸の上を両手で上下させていたが、見なかったことにしてやった。


「ロック、まずは冒険者ギルドか?」

「そうだな。あとは酒場で何か聞けるか探ってくるよ」


 俺たちがゆっくりと道を歩いていると、反対側から大きなキャリッジと呼ばれる人を運ぶ馬車がやってきた。 かなり大きな商会なのか道行く人みんなが道を譲っている。


 俺たちももめ事を起こすつもりはないのでラッキーと共に道をあけると、ラッキーの前で馬車が急に止まった。俺たちはそのまま止まった馬車を避け冒険者ギルドへ向かおうとする。


 馬車からは金髪の髪がクルクルと巻かれた太ったおっさんのような顔つきの男が降りてきていきなり俺たちのの方へやってくる。そしていきなり金貨を地面に投げ捨てた。

 

 何がしたいのかわからずあっけにとられていると、

「そこの貧乏人! この犬をどこで捕まえたんだ? 私もぜひこのモフモフが欲しい。だから私に譲れ」


 いきなりめちゃくちゃなことを言い出した。

 

「ロックって変なのに絡まれるのが趣味なのか?」

 ラッキーが俺にそう言ってくるが、今回絡まれている原因は俺のせいではない。

 それにしても……なんなんだこいつは?

ラッキー「変なのでてきたな」

ロック「気にしたら負けだ」

メイ(ロックも結構変だと思うんだけど……)


いつも応援ありがとうございます。

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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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