再度捕まったドラクル
一旦ラッキーとメイの元へ戻ると、地面に落書きをして2人は仲良く遊んでいた。
子供か! とツッコミをいれたくなったが、だいぶ時間がかかってしまったからな。
それにコミュニケーションがしっかりとれているのはいいことだ。
「人魚はいた?」
「あぁいたよ」
「よし。今から奪還しに行きましょ」
そうなるよな。ただここで暴れるのは考え物だ。
他にいた魔物もできれば助けてやりたい。
「ちょっと待ってくれ。できれば他の魔物も助けてやりたい。ただ全部逃がせばいいってわけじゃないからな」
「そんなこといいから早く助けに行こうよ」
『メイ、ちょっと待っていろ。ここで暴れてもいいが、いきなり襲い掛かったらロックのせいになる。メイは海に逃げればいいが、ロックはそういうわけにはいかないからな』
「わかった」
2人で待っている間にメイがラッキーの言うことを聞くようになっていた。
シャノンの時といい、ラッキーのコミュニケーション能力はすごいと思う。
いつも俺の時はふざけているのに。
「ラッキーありがとう。まずは場所を移動して今後の作戦を考えよう」
俺たちはこの街の公園まで移動し周りに人がいないのを確認してどうするかを話し合う。
『ロックどうするんだ? 衛兵に報告するのか?』
「そうだな。衛兵に報告して解決できるなら、それが一番だな。ただ証拠が何もない。相手はかなり大手の商人らしいからな。そう簡単にはシッポは掴めないだろうしな」
「早くお母さんを助けに行こう」
「わかった。まずは衛兵に相談してみよう。それで解決すればいいし、解決しなければ最悪明後日のオークションで落札する。落札できなければ最終手段で襲撃をしよう。できれば襲撃はしたくないが。メイそれでいいか?」
メイの表情は曇っているが、それ以外にできることがない。
それに表立って商人と争ってもデメリットばかりだ。
「わかった。助けてもらえるだけでもありがたいことだしね。ロックよろしく」
そこで俺たちは衛兵を探して、街の入口の詰所のところへ行くと、詰所から両手を後ろに縛られたドラクルがあらわれる。
俺がドラクルに声をかけようとすると、ドラクルはいきなり大声で騒ぎだす。
「なんで、この街の兵士は港に違法な亜人の取引所があるっていうのに摘発をしないんだ。俺は竜神族だぞ! 亜人だからって差別をするな!」
ドラクルはさらに叫ぼうとするが兵士に背中から殴られ黙らせられる。
「うるさい。亜人だからじゃない。商人のチャドさんがそんなことするわけないだろ! この街にどれだけあの人が貢献してくれていると思っているんだ」
ドラクルと一瞬目があう。
彼はわざと衛兵が奴隷たちの味方ではないというのを俺にわからせるために叫んだのだ。
ドラクルはそのまま立ち上がるとゆっくりと前を向き歩かされる。
俺とすれ違いざまにドラクルが小声で俺に囁く。
「気にするな」
ドラクルは自分が助かった後に衛兵の元へ助けを求めにいったのだ。
だが、せっかく助けたドラクルはまた檻の中に戻されてしまうのだろう。
なんて説明をしたのかはわからないが、きっと無理をしてしまった可能性が高い。
ドラクルの身体には先ほど見た時よりも傷が増えていた。
この街の衛兵はすでに商人によって取り込まれていたようだ。
そうとう外面がいい奴なのだろう。
どうやら衛兵に助けを求める作戦はやめた方がいい。
それに襲撃もかなりリスクが高まった。
いったいこの街の兵士たちのどこまで商人の息がかかっているのか。
かなり商人は信頼を得ているように見える。
そうなると、一番確かなのは金で落札することだろう。
それか証拠を見つけて……突きだしてやるしかないが……この短時間であれだけの商人の悪さを見つけることができるか?
俺たちはそのまま街からでて海岸の方へ行く。
「ロックどうする? さっきの人が言ってたのって倉庫のことだよね?」
「そうだね。どうやら商人はこの街でかなりの力を持っているらしい」
「助けられないの?」
「いや、お金で解決できる可能性も高いから、まずはそっちを考えよう。大丈夫。俺がなんとかするから、まずは一旦人魚たちと合流しよう」
「わかった」
メイの足取りは重いが、できることから一つずつやっていくしかない。
いったん他の人魚たちと相談して作戦を考えよう。
ラッキー「更新再開か?」
ロック「そうだな」
ラッキー「大丈夫なのか?」
ロック「大丈夫だ。前に進む以外の道はない」
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