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人魚の救出

 さらに倉庫の中を慎重に進んで行く。

 先ほどの変わった魔物から、段々と気味のわるい魔物が増えていった。


 なかにはトカゲに羽を生えさせた小さいドラゴンのようなものまでいる。

「明らかに自然に発生したものではないな」


 途中で、絨毯に魔法陣が描かれたものがある。

 まったく見たことのない魔法陣だ。


 最近使ったのか、あまり埃もついていない。

 ドモルテがいれば何の魔法陣なのかわかるのだが、今ここではわからない。

 ただ、まともな研究は行われていないようだ。


 バラバラになった魔物の手や身体が山積みになっている。

 生きている魔物がいるってことから、かなり研究が進んでいるようだ。


 念のため魔法陣を回収しておく。


 さらに奥へと行くと、そこには俺の身長の倍くらいの大きな水槽があった。

 水槽の中には半魚人と人魚、それ以外にも海中の魔物たちが閉じ込められている。


「わかりますか? 助けにきました」

 水槽の中で人魚は口をパクパクさせているが声がまったく聞こえない。

 かなり厚めのガラスで作られているようだ。


 これだけの物を作るのにどれだけ金がかかっているのだろうか。


 近くを見回すと大きな梯子があったので、それを使って水槽の上まであがる。

 天井には蓋がされており、外側から鍵がかかっている。


「んっ!」


 思いっきり引っ張って見るが鍵が開くことはなかった。

 今度は剣を差し込んでなんとか開けようと試みる。


「とぉぅ!」

 剣がパリンッと大きな音を立てて先端部分が折れてしまった。

 どうやら相当頑丈な鍵が使われているらしい。


 このまま持って行こうにも、水槽は大きくて持ち運びできそうにない。

 せめて何かないか?

 辺りを見回すが使えそうなものはない。


 檻の中に閉じ込められている者から声をかけられる。


「おい。そこの人間。俺をここから出してくれるなら。その水槽の鍵の開け方を教えてやるぞ」


 そこにいたのは竜神族の男だった。

 竜神族は確か東の方の山頂周辺に住んでいて滅多に人と交流を持たない種族だったはずだ。

 人魚と同じように誘拐されたのだろうか。


「どうやって鍵をあけるつもりだ?」

「鍵を使ってだ。俺はその鍵のありかを知っている」


「お前はどうしてここに閉じ込められているんだ? さすがに犯罪奴隷とかなら助けるのは難しいぞ」

「犯罪奴隷になどなるか。俺の名前はドラクル。誇り高き竜神族にして竜神族長ドラドの孫だ。普段なら人間ごときに油断はしないんだが、1人武者修行の旅にでたら寝込みを襲われて捕まったんだ。何も悪いことはしていない」


 うーん。全部嘘をつかれていたらどうしようもないが、竜神族はどちらかというと脳筋でまっすぐな性格だと聞いたことがある。

 基本怒らせなければ酒好きのいい奴だと。


 あまり時間もかけてられないし押し問答している暇はない。


「わかった。ただ先に鍵の場所が先だ。それを教えてくれたら檻からだしてやる」

「いいだろう。あそこの棚の中に鍵の束が入っている。さすがにどの鍵かはわからんが入れていけばわかるだろう」


 俺の立っていた場所の反対側に小汚い棚があり、その中に鍵の束が無造作に置かれていた。

 ここの檻の中の鍵がすべてあるのか、かなりの数の鍵がある。


「ドラクルはどれくらい閉じ込められているんだ?」

「もう結構長い。ここに奴らはたまにしかこないからな。食事もろくに与えられず、ほとんどが飢えと戦っている」


 ここにはかなり沢山の魔物や亜人がいるがさすがにすべてを今助けるわけにはいかない。

 あとでこの街の衛兵へ報告だけしておこう。


 何十回か挑戦し心が折れそうになった時、やっと人魚の水槽の鍵が開く。鍵はドラクルの方へ渡す。


「ドラクル助かった」

「なに、俺の方こそあんたがこなかったらここで飢え死にするところだった」

「俺の名前はロックだ」

「助かった。この恩はいずれ必ず返す」


 ドラクルは自分の檻を開けると、その鍵を自分で鍵が開けられる亜人に渡し、倉庫からでていった。


 俺もさっさと水槽を開けてしまおう。

 蓋はかなり重かったが、なんとか自力で開けることができた。


 もう少し重かったら従魔全員呼び出してやってもらうところだった。


「大丈夫か? サンとメイからの依頼で助けにきた」

「ありがとうございます」

「ここに捕らわれているのは何人だ?」


「全部で10人です」

「他に捕まっている人魚は?」


「オークションにかけられると言われ1人が連れて行かれました」


 オークションか。

 もし、すでにオークション会場へ入っていたら非常にまずい。

 力づくでの奪還は難しくなるし、もしそれが正規のオークションなら、何かしらの偽装が行われているからだ。


 ここにいる変な魔物からしてまともなことをしているようには思えない。

 

「よし、まずはここから脱出するから人間に変身できる人魚は変身してくれ」

「申し訳ありません。私たち逃亡できないように、変身できないメンバーが選ばれているので変身の魔法が使えない者ばかりなんです」


 どうりで封魔の魔道具などが使われていないと思ったら、元々選別してあったのか。

 俺はガーゴイルくんを呼び出す。


「悪いが人魚たちを外まで運んで欲しいんだけど頼めるか?」

「お任せください。さぁ人魚さんたち行きますよ」


 ガーゴイルくんまじ紳士だ。


「俺たちも助けてくれないか」

 そこには半魚人が2人おり俺に声をかけてくる。


「お前たちは? なんで捕まっているんだ? 操られていないのか?」

「俺たちは魔力が強くて、ペドロの魔法にはかからなかったんだ」


 確かによく見るとこの半魚人たちの背びれは村で見た半魚人たちよりもかなり大きい。 

 いくら操れるといっても限界はあるということなのだろう。


「いいけど、揉めるなよ」

「もちろんだ。あんたの言うことに従うよ」

「人魚でこいつらに運んでもらってもいいって人は?」


 まさかの誰も手を挙げなかった。

 誰か1人くらいいると思ったが、まぁ半魚人のせいでこうなっている以上仲良くはできないか。


「わかった。半魚人たちは自力で歩けるだろうから、他に助けてもらいたい奴がいれば助けてくれ。人魚は俺とガーゴイルくんが運ぶ」


 それから無事に人魚たちを海へと逃がす。

 俺はラッキーの元へ行き、人魚たちに沖にいるサンの元へ案内してもらうように依頼し、今後のことを相談をする。


「今助けられる人魚はこれで全部らしい。後はオークションへ1人連れていかれたみたいだ。もしオークションの中なら助けるのはかなり困難になる可能性がある。どうする? 助けるなら手伝うが」


「ロックさんお願いします。できるなら何とか助けてください」

「わかった。やれるだけやってみよう」


 そうなるとあれが必要になるな。

ガーゴイルくん「最近人魚しか運んでいないんだよな」

人魚「私たちを運ぶの不満ですか?」

ガーゴイルくん「喜んで」

ガーゴイルくんの鼻の下が伸びていたような気がするが、誰もが見なかったことにした


いつも応援ありがとうございます。

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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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