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ブランドンの街の倉庫

 俺たちは一端水上へ戻ることにした。

 ドモルテは水中でも呼吸は必要がないのでそのまま水中で玉の解析をしてもらっている。


「星降りの入江って人魚の中でわかる人いるか?」

 マデリーンが率先して手を挙げてくれる。


「私何度か歌を歌いに行ったことがあります」


「そうか。じゃあマデリーンが先頭で案内してくれ。今捕まえられた人魚たちをうちのシエルが追いかけているから、サンは俺を乗せたまま水上を走ってくれると助かる」


「もちろんです」

 人魚たちの半分は一度人間の姿に変身したが、ほとんど活躍することもなく人魚の姿に戻った。

 人魚の中でも人間に変身できる者と変身できないものがいるらしい。


 個性があるように、魔法の得手不得手があるようだ。

 入江まではそれほど遠くないようだ。


 入江から今度は商人たちがいる帆船を探す。

 それまでにシエルと合流ができればシエルに案内してもらうつもりだが、シエルだけをあてにすることはできない。


「ロックさん入江まで行ったらどうするつもりですか?」

 マデリーンが優雅に泳ぎながら話しかけてくる。


「シエルが戻らなければ、まずは帆船を探すかな。帆船が見つかればその街の奴隷商人を探して捕まえれば、どこに人魚がいるのかもわかるからね」


 亜人を勝手に奴隷にして売り買いするのは、もちろん禁止されている。

 犯人を見つけさえすれば後は力押しでなんとかなる。

 もちろん、今回の事件の裏に権力者などがいなければだが。


「帆船の止められる大きな街となると、入江から一番近いのはブランドンの街だったかと思います。商業都市として発展してきましたので、かなりの奴隷商がいますので探すのは大変だと思いますが」


「マデリーンは行ったことがあるのか?」

「はい。もちろんです。人魚も普通に陸に上がって買い物とかしますよ。ここの海って商人が多く渡る海なんですけど、その分海賊も多くて商船が沈められていたりするんですよね。後は嵐に巻き込まれたりで。だから沈没船から回収した人のお金も結構あるんですよ。人間の街の方が変わったもの売ってたりしますから」


 人魚の家を探した時に宝の山があったのを思い出す。

 どうやら、あれは沈んだ商船から拾ってきていたらしい。


「すごいな。どうやって商人が襲われているのとかわかるんだ?」

「派手に戦っている時とかは、結構音が聞こえてきたりしていますからね。水中に魔法打ち込まれたりしますし」


 マデリーンと会話をしているとあっという間に入江についた。

 さすがに入江には帆船がとまれるような場所はない。


「それじゃあ、ブランドンの街へ行って見るか」

「そうですね」


 俺たちがブランドンの村へ向かおうとすると、ちょうど箱庭経由でシエルが戻ってきた。

「おかえり。人魚たちがどこに捕まっているかわかったかい?」


 シエルはコクリと頷くと羽で向きを示し、道案内を始める。

 どうやらブランドンの街で間違いないようだ。


 しばらく進んで行くと、遠くに帆船など沢山の船が見えてくる。

 あと少しというところで、サンは徐々にスピードを落とし海上で止まった。


「ロックさん、申し訳ありません。これ以上近づくと私の場合問題になりそうなので、海上で待たせて頂きます」


 サンは少し申し訳なさそうに俺に切りだす。

 確かに、サンの大きさでは街中を歩くことはできないし、注目を浴びていいことはない。


「わかった。サンありがとう。ここからは別行動だ」

「私は沖で待っていますので、何かあればいつでも助けにいきますので」


「あぁでも何事もなく無事に終わることを祈っててくれ。ガーゴイルくん頼む」


 ガーゴイルくんが箱庭からでてくる。

「それじゃあ俺たちは街へ行くから人魚たちで変化できない者、戦えない者はここでサンと一緒に待っててくれ」


 変化のできない人魚が一緒に行ってまた、捕まったりしたら本末転倒になってしまう。

 俺たちは帆船のいない人通りの少ないところから上陸する。


 今までずっと海の上だったので、久しぶりの固い地面に少しホッとする。

 

 人魚たちは上陸するとすぐに人の服を着る。速乾機能のついた服で歩いているうちに身体の濡れをとってくれる特別な生地でできており魔法がかけられているそうだ。


「もしロックさんが欲しいなら、ロックさんのために1着作りますよ」

「ちょっと興味はあるかな。まぁそれはこれが終わってからにしよう。それじゃあ急ぐか」


 さすがに人魚は美女ばかりで、このままいくと別の注目を浴びてしまうので3-5人のグループに分かれてもらって少し距離を置いて行くことにする。


 シエルが案内したのは、海沿いにある倉庫街の一角だった。

「シエルあそこか?」

 シエルはコクリと頷く。


 入口には見張りも何もいない。

「あまり大人数で行っても目立つから俺が様子を見に行ってくるから、みんなはここで待っていてくれ。ラッキー」

『あいよ』


 ラッキーを箱庭からだし人魚たちの護衛を任せる。

 倉庫は大きな両開きのドアがついており、外からは閂がしまっているだけだった。


 ゆっくりと閂を外し扉をあけるともわっとした熱気と異臭が漂ってくる。

 中には大小様々な檻が置かれており、そこには沢山の生き物たちがいた。


 この辺りでは見ない珍しい動物から、目から生気を失った亜人。

 なかには白骨化している死体もあった。


 倉庫の下から上まで檻が積み重ねられており、手入れは行き届いていない。


 ゆっくりと音を立てずに倉庫の中に入る。

 辺りに見張りなどはいないようだが気を抜くことはできない。


 奥へ進んで行くと、徐々に魔物の様子が変わってくる。

 珍しい魔物……なのか!?

 そこにはゴブリンのお尻からドラクスネイクが生えてきている見たことのない魔物がいた。

 

 いったいここは……?

 何か嫌な予感がする。

ラッキー「それで人魚たちの着替えは覗いたのか?」

ロック「覗くわけないだろ。なんでそんなオッサンみたいな発想なんだよ」

ラッキー「読者サービスも大切かと思って」

ロック(ラッキーの考える読者サービスっていったい……)


応援ありがとうございます。

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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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