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人魚たちの解放

 なかには俺とガーゴイルくんの2人で入ることにする。

 メイに騒がれるとまた面倒なのでサンには外で見張っていてもらうことにした。


 家の中も石造りで、家具などが地面にしっかりと固定されていた。

 椅子などはないが、机が置かれていたり台所のような場所がある。


 村長の家ということでリビングくらいまでであれば、サンも入ってこれそうなほど大きな作りになっていた。


 俺とガーゴイルくんはハンドサインで、どちらに進むかを決めゆっくりと進んでいく。

 半魚人に見つからずに進めるのであれば、それにこしたことはない。


 建物自体は、かなり大きめの平屋といった感じだ。

 水中なので扉などはないが、壁で仕切られているので隠れながら進むことができる。


 手前から一つずつ見ていくが、特に人魚も魚人にも出くわすことはなかった。

 だが、油断はできない。


 わざわざ見張りを立てているくらいだ。

 どこかには必ずいるはずだ。


 さらに奥に進んでいくと左右に部屋がわかれている。

 ハンドサインで右側の部屋から見て行く。


 そこの部屋にはサンゴや金銀財宝などが無造作に置かれていた。

 村長はたんまり溜め込んでいるようだ。

 まぁこんな場所なら見つかることもないので盗まれる心配もないのだろう。


 財宝はそのままにして、来た道を戻る。

 反対側へいくとそこには縛られた人魚たちがいた。

 全部で……10人くらいしかいない。


 家の数からしたらもっと沢山いてもいいはずだ。

 人魚以外に中にはサメのような魚人が槍を持ち見張りについている。

 こちらの見張りも外と同じ2人なので、俺とガーゴイルくんは二手にわかれて一気に急襲する。


 水の中では上手く動けないが、俺もガーゴイルくんと同じように風魔法を放ち速度をあげる。

 幸運にも一発でサメ魚人を捕まえ、背中側に回り込むことに成功した。

 背びれがすごく邪魔だが、向こうからも攻撃はできない。


 普通の攻撃は効果が薄いので、そのまま外まで連れ出しサンへ引き渡す。

 痛めつけるよりも縛って放置の方が効率がいい。


 ガーゴイルくんの元へ戻ると、ガーゴイルくんはサメ魚人に噛みつかれていたが、ガーゴイルくんにはまったく効果がなかった。それよりも歯が一部欠けてしまって出血している。


 ガーゴイルくんがサメ魚人を外に連れ出している間に人魚たちを解放する。

 人魚たちは目のやり場に困るくらいキレイな子たちだった。


 人魚たちの拘束とさるぐつわを外してあげる。


「ありがとうございます。えっと……人間がどうしてここへ来られたのですか?」

「リバイアサンのサンと人魚のメイに頼まれて助けにきました。この家にいるのはこれで全部ですか?」


「はい。多分そうだと思います。メイは逃げきれていたんですね。良かった」

「外でサンと一緒に待っていますよ」


 人魚たち10人と外にでると、メイは触手でグルグル巻きになったまま転がされていた。

 外してやるのをすっかり忘れていた。


「これは……うるさかったからでしょうか?」

「そっそうですね。ちょっとサメの魚人と戦うのにじゃまー……安全なところにいてもらおうかと思いまして」


 人魚たちも苦笑いしている。

「それで人魚はこれで全員ってわけではないよね?」


「元から村にいた人数は私たちの数倍います。半魚人の村に連れて行かれたみたいなんです。早くしないと他のみんながどうなってしまうのか」


 人魚の目から大粒の涙がこぼれると、真珠となって砂の上に落ちた。


「人魚の涙って真珠になるのか」

「魔力が高い者の感情が高まった時だけですね。それにしてもこれほど大きな真珠は見たことがありません」


 サンがそう俺に説明をしてくれる。


 涙を流した人魚が真珠を拾いあげ、俺に手渡してくる。

「私の名前はマデリーンと言います。私にできることはなんでもしますので、どうか私たちにお力をお貸しください」


「いいよ。もとからそのつもりだったし。後でできれば美味しい魚介類を生きたまま捕まえるのを手伝ってくれるのとエア草をもらえれば報酬はそれでいいよ。この涙は大切なものじゃないの? 大切なものなら受け取れないよ」


「人魚にとって涙を送るというのは特別な覚悟を決めた時です。ぜひ、その涙は私の覚悟としてお受け取りください」


「わかった。とりあえず預かっておくよ」


「ありがとうございます」

 サンが言っていたように人魚はおかしい者ばかりではないらしい。

 少なくともマデリーンはまともそうだった。


 それから、人魚たちは各家に戻るとトライデントを装備し村長の家の前に集合した。

 全員女性だが、普通に戦えば半魚人よりも強いらしい。


「それじゃあ半魚人の村へ行くか。サンよろしく頼むな」

「任せてください」


 サンを先頭に半魚人の村を目指す。

 途中で俺のエア草をとりかえたが、ほぼ休憩なしで向かった。


 メイは他の人魚たちが面倒を見てくれるということなので、拘束を解き、サメ魚人たちは村長の家の中に縛ったまま放り込んでおいた。

 

 半魚人の村まではそれほど遠くなかった。

 だが半魚人の村の海上には大きな商業用の帆船が浮いていた。

 そこには商人のような男たちが嫌な笑いを浮かべているのが見えた。

ロック「人魚の涙を売れば」

ラッキー「考えがあくどい」

ロック「そのお金で本を自己買いしようかと思って」

ラッキー「何とも言えない」


少しでも面白いと思いましたら下の☆より応援して頂けると嬉しいです。

いつもありがとうございます。

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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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