表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/146

王都へアンデットの襲来

 ララはドモルテの前に飛び出し俺に訴えてきた。

「違う! ドモルテ様は悪くない。私が勝手に盗んできただけだから。私を捕まえて欲しい」


「何を言ってるんだ。ララは悪くない。私を守るためにやったんだから。それに私はもうそんなに長くない。だから私を犯人として連れていってくれ」


「違う。こんな骸骨ババアなんて知らない。私は冬を越すのに可燃石を集めてただけ。盗んできたのをこいつは勝手に使ってただけで、あげるつもりはなかったの。私が犯人なんだから、私が処罰を受けるべきなんだよ!」


「誰が骸骨ババアだ! えぇい! ただの羽虫がうるさい! 私に逆らうんじゃない。こいつは私に命令されてやったんだよ。だから黙っていればいいんだ。黙っていないと私の獄炎の館に閉じ込めるぞ」


「じゃあやればいいだろ! その死体をもって犯人としてつきだしてくれ。さぁ殺せ!」

 

 2人はお互いに罵りあっていたが、ララの目からは涙がこぼれ落ちていた。


「ララ……ダメだろ。どうしてお前はそんな意地っ張りなんだ。私はずっと一人ぼっちでここにいたんだから。こんな私のために命をはらないでくれよ」


「私だって、初めてできた友達なんだから、そんな簡単に死ぬなんて言わないでくれよ」


 この国では窃盗は厳しい処罰をされることが多い。

 特にピクシーなど魔物が犯人だった場合、一生牢獄で働かせられ死ぬまで外に出てくることできない。


 ドモルテも賢者なんだから俺を倒して逃げるとか、そう言う選択肢もあると思うのだが、お互いがお互いをかばいあってどっちが出頭するかで揉めている。


 本当に仲がいいのだろう。


「それで、一応確認なんだけど2人が武器屋とか商店とか、王国騎士団から可燃石を盗んできたってことでいいんだよな?」


「えっ私はお店からは盗んだけど……王国騎士団? それは知らないよ」

 ララは予想外だったようで驚いている。

 本当か?

 でも、これだけ出頭すると言っていて嘘をつく理由もない。


「王国騎士団で可燃石一袋盗まれたっていうのを知らないか?」


「一袋がどれくらいの大きさか知らないけど、ララが持てるのは可燃石一つくらいだぞ。私も使うのは2〜3日に1個くらいだから、それほど頻繁に必要なわけではないし」


 どういうことだ?

 王国騎士団の可燃石は別の犯人がいるということになる。


 でも、そんな大量の可燃石を盗んでいったい……?


 その時地下室の天井が揺れる大きな地震が発生した。

「なんだ?」

「ちょっと外を見て来る」

「私も行く」


 全員が墓の地下から出る。

 王都の方から身を裂くような悲鳴が聞こえてきた。


「なんだあれは!?」


 王都の中でオーガが暴れているのが見えた。

 あのオーガは……俺たちが倒したオーガか!?


 よく見ると、オーガ以外にも、ここ最近冒険者が倒して騎士団が持って行ったという噂の魔物たちが暴れている。


「おいっ! ドモルテ! お前があの魔物の死体を操っているのか!?」

「違う……でも、あの魔力には見覚えがある。あの魔力はリディアだ。アンデットの秘宝を完成させたんだ。そうか。可燃石を……リディアも可燃石を魔物の核に使ったんだ」


 ドモルテは少し考え、答えを導き出す。

 リディアはドモルテの弟子だったはずだ。


「そんなことが可能なのか?」


「あの子に魔法の才能はない。だけど、私が死んでかなりの時間が経っている。どうやって生きながらえて来たかはわからないが、あの子なら可能だ。あの子には人をたらしこむ才能があるんだ」


「なら急いで止めにいかないといけない。お前たちの処分についてはまた後でだ」


「冒険者! なら私を連れて行け! 王都であんなのを暴れさせる原因を作ったのは私にも一因がある。アンデット対策なら、こんな私でも少しは役に立つはずだ。だから連れて行ってくれ」


「私も行く! ドモルテ様を一人で何か行かせられない」


「わかった。あと俺の名前はロックだ。急いで向かうから振り落とされないようにしてくれよ。ラッキー!」


『オーガ討伐だな。さすがに今回は余裕ぶってるのは難しそうだ。さっさとやっつけるぞ』


「フェンリルだって!? 古の魔物じゃないか。そんなのを使役できるなんて! ロックは一体何者なんだい?」


「いいから乗って! いくよ」


 俺たちが街の中に着くと、すでにそこでは冒険者たちが魔物と戦っていた。 

 住民たちの避難がまだすんでいないせいで、守りながらの戦闘はかなり苦戦をしいられていた。


 それに……冒険者の数が……少なくないか?


「ワイバーンたち以外全員出てこい!」


 目の前に従魔とシャノンたちが現れる。


「今から街の人たちを守りながら魔物を討伐する。ただし、誰一人死ぬんじゃないぞ。ダメそうなら俺を呼べ! あとここにいるリッチと妖精は味方だから攻撃しないようにな。指揮はいつも通りパトラ頼む」


「パパーわかったよー」

「わかりました」

「精一杯頑張ります」


 パトラが全員に指揮を出している中、ドモルテが魔法を唱え鳥の魔物を1匹始末した。


「ロック、悪い。今ので魔力が尽きた。魔石持ってないか?」


「何しに来たんだよ!」


「いや、私は魔力はないが知識はある。魔石さえあれば、聖大魔法を放つことができる。私はアンデットだが聖魔法を使うことができるんだ」


 アンデットが聖魔法を?

 普通なら自分まで消滅してしまうはずだが……賢者クラスになると何か秘策があるのかも知れない。


「魔石か……確か……あるぞ」

 パトラが地下をダンジョンにした時に魔石を発見していたはずだ。


「そうか。なら魔石を私に譲ってくれ。そうすればこのアンデットたちを一掃できる」


 パトラとオレンジアントたちが一瞬で箱庭に戻り、魔石を持って戻ってきた。

 まだ何も言っていないのに、よく気が利く子供たちだ。


「パパーこれでいい?」

「ありがとう、みんな。ほらこれだけあれば十分か?」


「あぁ……十分……なんだこの魔石は!? 可燃石なんて比にならない程の力を秘めているじゃないか。こんな魔石使っていいのか? 売ればエール1年分くらいにはなるぞ」


「なんで通貨の単位が酒基準なんだよ! あぁいいよ。それよりゆっくりしている時間はもうない。それじゃあ頼んだぞ」


「これだけあれば王都中に聖結界を張って、全滅させてやる」


 俺たちは、前回と同じように別れる。ガーゴイルくんは少し不安だが、あまり離れすぎなければ大丈夫だろう。

  

 そこへ重装備のリッカさんがやってきた。

 リッカさんは片手斧を装備している。


「ロックさん! 来てくれたのね!」

「リッカさん! これはいったいどうしたの? ラッキー先に魔物を蹴散らしてきてくれ」

『あいよ』


「それがいきなり、騎士団で保管してあった魔物の死体がアンデットになって暴れだしたんです」


 やっぱり。魔物たちは騎士団が保管してあったものだったのか。

 でも、普通はそう簡単にアンデットになんてならない。

 リディアがアンデットにしたのか。


 だけど、どうやって騎士団に近づいたというのだろう。

 それに……。


「冒険者の数が異様に少なくないか?」

「そうなんです。騎士団が冒険者の狩った魔物を横取りしたりしていたせいで、冒険者が近隣の街へ移ってしまったんです」

 

「そりゃそうだろ」

 冒険者は常に自由を愛する。保証がない代わりに一攫千金だって夢じゃない。

 だけど、それを奪われてしまったら生活していくことすらできないのだ。


「今、ギルド長が応援の要請をしていますが、応援が来るまで、まだまだ時間がかかります。ロックさん何とかお願いします」


「できる範囲で頑張るよ」


 全部を助けることなんてできない。

 精一杯やるだけだ。


 そこへ一人の冒険者が駆け寄ってくる。

「リッカさん! ダメだ。切れば切るほどアンデットが増えていく! 魔法使いじゃないと倒せない」


 どうやら、なかなか一筋縄ではいかないようだ。

ドモルテ「この魔石1個でエール一年分……久しく飲んでいない、あの炭酸を……少しだけなら……この魔石を売って……」

ロック「余った魔石は返してもらうからな」

ドモルテの顔には死相がでていた。


スカイバードくん名前候補ありがとうございます。

かなり素敵なものが多いのであの中から選ばせて頂き、後日作中で発表させて頂きます。

今後も何か読者さん参加型のものをできればと思っていますので下の☆より応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ