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買い物とお茶と7

 わたしとミュウと、ロゼとチコ。

 四人揃ってカフェを出る。


「はぁ……チコはお仕事に戻らないと……」


 憂鬱そうにチコが溜息を吐いた。


「そういえばチコ、昨日は大丈夫だったの?」


「なにがですかぁ?」


「ギルドの仕事、サボったじゃない?」


「もちろん叱られましたよぉ」


 なぜかチコは誇らしげだ。


「おかげで今日は残業ですけどぉ……では、クロさんと離れるのは名残惜しいですけど、チコはこれでぇ」


 チコは重い足取りでカフェのはす向かいにある冒険者ギルドに帰っていった。


「さてと、わたしたちも帰るよミュウ」


「……むにゃむにゃ」


「えぇ!?」


 ミュウはわたしの横で立ったまま眠っていた。


「ちょ、ちょっとミュウ」


 肩を揺すってみる。


「……えへ。クロちゃんてば、またワタシを抱き枕にしてぇ……」


「いやいやいや、なんの夢見てるの!?」


 え……もしかして昨夜、一緒に寝たときにわたしはなにかやらかした?

 ばっ、とわたしはロゼを振り向く。

 なにか言い訳をしないといけない気がした。


「こ、これはその違うというか……」


「クロ」


 神妙な顔つきで声のトーンを落としながら、ロゼはわたしの名を口にした。


「……ロゼ?」


 なにか、様子がおかしい。

 そういえば、カフェでもどことなく元気がなかったような。


「少し話がある」


 真剣な表情と声に、気圧される。


「う、うん……」


 いったい、なんの話だろう。


「場所を変えたいのだが……どこか落ち着けるところに」


 落ち着ける場所……またカフェに入るわけにもいかないよね。まだ混雑してるし、落ち着けそうもない。


「……じゃあ、とりあえずわたしの家でいい?」


「ああ、すまない」


「ミュウ、帰るよ」


「ほえ?」


 ミュウは、ぼんやりと目を開く。

 かなり眠そう。

 身体がフラフラと揺れていて危なっかしい。


「自分がおぶって行こう」


 ロゼは颯爽とミュウをおんぶする。


「ありがとうロゼ」


「いいや」


「すぴー」


 早くもミュウはロゼの背中で寝息を立て始める。


「子供か」


 その姿にわたしは苦笑した。



 工房のベッドにミュウを寝かせてから、わたしはロゼが待つ閲覧室に向かった。


「お待たせ。あ、お茶とかいる?」


「いや、大丈夫だ」


「そう」


 閲覧室の長机で、二人向かい合う。

 やはりロゼは、どこか深刻な様子だ。


「それで、話したいことって?」


 わたしが切り出すと「実は……」と重い調子でロゼは口を開いた。

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