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みわかずさまと恋歌
夜が綺麗に見える事がある
田を走る鉄道の影と町明かり
街灯と月とを横切る蝙蝠と
さわさわと育つ葉の音が響くとき
手持ち花火が消えたとき
星空へまぎれまたたく蛍のひ
蛙のうたをしっとりのせた月夜風
十五夜とすすきとだんごと鈴虫と
水盆にひらりひらひら紅葉舞う
闇もまた高く高く澄んでいく
雪道のテールランプの赤い列
月のひかりを反射して静かにきらめく虹六花
ごろり寝てつかめそうな息と星
ねえ、夜が綺麗に見える事がある
夜が綺麗に見える事がある
汽笛に驚いて飛び上がる肩
蝙蝠捕まえた事あるって得意そうな鼻
草の音に微笑むキミ
瞬く小さな火を写す瞳
蛍火を追う子供のような横顔と裏腹なうなじ
腕の中に入れた途端に騒ぐ合唱
りーりーと鳴く声に目を瞑るまぶた
紅葉の錦 きれい と言う珊瑚色
灯篭の光に照らされて
薄っすらと上がる呼気
踏みしめて歩く雪
白く吐く息と凍った睫毛
そんなに喋らなくていいのに 嬉しそうな声
寝転んで見る星より本当は
ああ、夜が綺麗に見える事がある




