12/27
宮里薪灯さまと連歌
夜が綺麗に見える事がある
誰もいない地下道への入り口
フロントガラスから見えるライト
車内から流れるワルツ・フォー・デビー
夜が綺麗に見える事がある
海沿いの国道を西へ走る黒い車
等間隔に現れるオレンジの街灯
運転席に座る男の横顔は見えない
幸せに満ちた沈黙の闇の中で
互いの小指に結んだ赤い糸が揺れる
夜が綺麗に見える事がある
まるで来世で結ばれる私たちを
祝福するかのように
夜が綺麗に見える事がある
気がつけば泡沫の夢
窓際から聴こえる漣が見せた夢
雫となって此処に響ける
夜が綺麗に見える事がある
窓から夜空を見上げた私は囁く
天の星よ、聞いてほしい
昔々の若く愚かな恋物語を
来世を信じた浅はかな二人の話を
今、海は遠く漣の音は響かない
代わりに耳に届くのは、安らかな二つの寝息
あの頃存在も知らなかった伴侶と
愛しい我が子
私は微笑み、健やかに眠る彼らの元へ
夜が綺麗に見える事がある
過去は海の底深く眠り、未来は星の光輝く




