第6話
獅賀くんが見えなくなって直ぐに、連絡手段と取る事を忘れた事に気付いた。
勿体ない事をしたと思い、頭を抱えてしまった。
出来れば、夏休み中にもう一度会えれば嬉しいなと思っていた。
その願い、意外にも早く叶うとは、この時のわたしは思ってもいなかった。
数日後。
仕事先から電話が来た。
マネージャーの話では、野外で写真を撮るのだが、人数が足りないので出て欲しいとの事だ。
給料も少し割増しにしてくれるという事と、丁度出されている宿題を全て片付けてしまったので、丁度いいと思い、わたしはその話を受ける事にした。
そして、直ぐに準備を整えたわたしは、マネージャーが運転する車に乗り現場に向った。
家を出て数時間後。
車が到着した所は、森が近くにある廃墟であった。
既に現場には、何人かのモデルと監督とスタッフが居た。
現場に向かう中で、マネージャーが今回のコンセプトを話してくれた。
簡単に言えば、廃墟を使った観光PRというものをしたいらしい。
人々の営みを静かに語る歴史的遺構を訪れる事で、非日常感とノスタルジーを味わえて、映えること間違いないので、それを使った観光をしたいとマネージャーが監督から聞いたそうだ。
改めて、わたしはその廃墟を見た。
入り口の門は既に錆びだらけで、少し押せば簡単に倒れそうな程にボロボロに朽ちていた。
門の奥を見ると、建物もあるが、外壁はボロボロで剥がれ落ちていた。
所々に苔や緑色の蔦まで絡まっている所を見ると、どうやら長い間人の管理が入っていないという事が直ぐに分かった。
夜に来れば、間違いなく肝試しに使われそうな場所だなと思った。
モデルの何人かは、話には聞いていたが、此処まで廃墟な所で写真を撮るのは嫌という顔をしている人達が居た。
気持ちは分かるので、何とも言えない顔をしていた。
「監督。モデルを連れてきました」
「おお、ご苦労さん。もう少しで機材の準備が出来るから、待っていてくれ」
「分かりました。一応聞きますけど、魔物とか出てきませんよね?」
マネージャーがそう尋ねると、監督は勿論と頷いた。
「ちゃんと事前に狩猟人の人達を雇って、内部調査をしてもらった。それに万が一魔物が出ても大丈夫なように、撮影中は護衛に着く様にしたから」
「そうでしたか。なら、安心です」
マネージャーが安堵していると、丁度その狩猟人の人達が来た。
全員、良く鍛えられた身体を持ち、思い思いの武器を持っていた。
その中で一番年長の人が、監督の下に来た。
「監督。周辺の調査はしたが、魔物の気配はなさそうだったぞ」
「おお、そうか。じゃあ、悪いけど、撮影の間周囲の警備をお願いするぞ。頼むから、モデルとスタッフだけは傷つけないでくれよ。機材の方は保険とか何とか出来るが、そっちは命が掛かっているからな」
「勿論だ。お前等っ、配置に着け!」
リーダー各の人がそう命じると、仲間達が声をあげて応じた。
既に決まっている配置に移動する狩猟人の人達。
その中で、一人見覚えがある人を見つけて、思わず声に出してしまった。
「獅賀くん?」
「青淵?」
わたしの声を聞いて、振り返った獅賀くんは振り返ると、わたしが居るのを見て驚いていた。




