第5話
そして、わたし達は適当な店に入った。
入った店は、昔ながらのカフェであった。
静かで落ち着いた雰囲気で、人もあまりいなかった。
開いている二人掛けの席に座り、注文をした。
「久しぶりに会うけど、元気そうだな」
「う、うん。君も変わりなさそうだね」
獅賀くんと話しながら、私服を見ていた。
夏なのに、袖が長いコートを纏っている事が不思議であったが、それ以外は特に変わりなさそうであった。
傍に長い袋に入った物を置いている事は気になりはしたが、それだけ大事なものなのだろうと思い気にしなかった。
「青淵。今日はどうしていたんだ?」
「ああ、さっきまでアルバイトをしてて終わったから、暇つぶしにブラブラしようと思っていたんだ」
「アルバイト?」
「うん。実はね」
わたしは自分が読者モデルをしている事を話した。
「ふ~ん。そうなのか」
獅賀くんは初めて聞いたのか、少し驚いていた。
新鮮な反応だからか、思わずほころんでしまった。
その後、お互い注文した物に手を付けると、雑談に興じた。
そうして話していると、話のタネとばかりに、わたしは獅賀くんが持っている物を見た。
「・・・それって、なに?」
「ああ、これか」
わたしの問いに獅賀くんは手で軽く叩いた。
「バイトで使う物だ。俺のは危険な事だがな」
「危険な事?」
わたしが尋ねると、獅賀くんが頷いた。
「狩猟人って言えば分かるか?」
「勿論。職業の一つでしょう」
わたしはハンターについて覚えている事思い出した。
隕石が飛来した事で、魔素が世界中に広がった事で、生態系に異変をもたらした。
ファンタジーに出てくるような生物が生まれる様になり、わたし達の生活に影響を及ぼす様になった。
それらの生物の事を魔法生物、略して魔物と言われる様になった。
魔物は通常の武器では効果が薄いのだが、魔素を術式や魔素を用いた技術で生み出された武器で討ち取る事が出来た。
そして、魔物を討ち取る人達の事を猟師と区別する意味で狩猟人と言われる様になった。
かなり危険な仕事だが、その分得られる給料が良いからか、わたしが通う高校の男子学生の中には卒業したら狩猟人なると言っている人もいる。
「狩猟人にも等級があってな。俺は学生だが、アルバイトで依頼を請けているんだ」
「へぇ、危険じゃないの?」
「実家が猟師でその流れから、狩猟人をしている人が多くてな。その流れで、俺もなったという感じだ」
「へぇ、そうなんだ」
初めて、彼の家の事情を聞けて、嬉しいと思えた。
その後、暇だからか雑談に興じていたが、獅賀くんが腕時計を見た。
「すまない。そろそろ、依頼の時間だ」
「あ、うん。そうなんだ」
獅賀くんがそう言って立ち上がるのを見て、もっと話したかったけど、依頼があるのなら仕方がないと思った。
そして、割り勘で払い終えると店を出ると、わたし達は其処で別れた。
わたしは獅賀くんの背が見えなくなるまで、その場に留まっていた。




